あらすじ
たとえば湾岸戦争のような、異なる国の軍隊が共同して戦う連合作戦は、いかに遂行されるのか。指揮系統の上下間や部隊間で、スムースな調整を行なうためには、ほとんど機械的とも思われるぐらいに、「見方、考え方」の順序を厳密に定めることが不可欠だ(「軍隊の思考過程」)。一方で、組織の上に立つリーダーの思考法はまったく正反対である。体験的知識をもとに「直覚」を活用し、電光石火、手を叩く間もなく決断し行動する(「プロの思考過程」)。本書では、古今の軍隊の豊富な事例と名将の言葉をもとに、状況判断における二つの思考過程を徹底解剖する。軍隊にかぎらず、日本の組織はますます専門化し、IT化している。人間のもつ決断の速さと創造性と総合性は、むしろこうした時代だからこそ必要とされるだろう。「『人生は決断の連続である』と覚悟することが必要なのだ。そして『決断』するには『クーラージ・デスプリ(精神的勇気)』が必要なのだ」。
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Posted by ブクログ
2003年に発刊された本書を2008年に購入。一度読んで、その後長いこと本棚にあったものを再読した。
松村劭(つとむ)氏(1934-2010)は防衛大学を卒業後、陸上自衛隊作戦幕僚、防衛研究所、イギリス国際戦略研究所などで働いた、戦略・戦術の専門家である。
昔は本に書かれている内容の一言一句を理解したいと思っていたが、最近はそうではない。一つでも二つでも得るところがあれば良いと思って読んでいるが、本書はその読み方しかできないだろう。戦争の体験もなければ戦場に行ったこともない私が本書を理解できるわけあるまい。
しかし、本書から学べる点は多々ある。名将の状況判断は直観的だ。それは情報を総合し、知識と経験を総動員して導かれる直観的判断だ。それは名将の成せる技であるから、一般的には「演繹的帰納」を使う。目標を見定めた上で戦術を選ぶ思考法である。経営コンサルタントは所詮、この手法ではないか。MBAホルダーが敬遠される理由もここにある。科学的で論理的で一般的な手法。それが成り立たない世界では通用しない。
Posted by ブクログ
スポーツ、ビジネス、戦場..。
あらゆる場面やシーンにおいて適切な『状況判断』というものが求められる。
自分の目標を明確化し、相手の予想される行動と、自分に出来ることを見比べた上で最適な戦略・戦術を選択する。こうした複雑な意思決定のプロセスの要諦を、"軍隊の意思決定手法"に学ぼうというのが本書。
世界の軍隊が採用する「演繹的帰納法」による意思決定スキームや、過去の戦争を指揮した名将達が用いた意思決定手法を参照しながら、自分達はどのようにして状況を判断し、最適な戦略を選択すれば良いのかを示唆してくれる。
また著者が元自衛官であるせいか、世界的な軍事戦略研究所の研究員であるというバックグラウンドを生かし、国際政治や軍事に関する戦略的視点についても言及がなされている。
Posted by ブクログ
状況判断のための秘訣や考えなければならない事がわかりやすく書かれていてとても参考になった。
これは、日常の生活にも応用できるところが何箇所かあり、とても良かった。