あらすじ
「わたしを騙したんですね」「なんといっていいか…」手習塾で予期せぬ再会をしたわけありの男女を放っておけない紋蔵は。手習塾市川堂の男座の師匠を務める、青野又五郎を目の当たりにした安芸広島浅野家の奥女中の奥林千賀子は、「わたしを騙したんですね」と言い放つ。南町奉行所の同心、藤木紋蔵が、次々と持ち込まれる厄介事をさばきながら、ついにたどりついた二人の事の顛末はいかに?シリーズ随一の静かな"恋物語"誕生。
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匿名
密通女の思う壺
きよの事件に青野又五郎が少し出てきて、それがこの巻の大きな話の伏線になっている。
家督を捨てる女の決意
真綿でくるんだ芋がくる
正直者の道具屋親子の話。こころがあたたまる。
にっと笑った女の生首
本格的な捕物話
御奉行に発止と女が礫を投げた
牢で生まれ牢で育った七つの娘
作者は毎作ごとに新しい登場人物を作り上げているが今回はこの「はな」という娘がそうである。とても印象的に描かれている。余慶という言葉が良い。
霊験あらたか若狭稲荷効能の絡繰
江戸時代の先物取引の話が出ていて、よく調べられていて、とても面白い。少し、話が出来過ぎのところがあるが、おもしろく読めた。
手習塾市川堂乗っ取りの手口
市川堂の乗っ取りのために雇われた師匠はろくなものでなかったが、最後は青野又五郎が、もとのお師匠になる話の流れで終る。最後の「二人は春霞の江戸の町を東に西にと走った。」という描写が青野又五郎の喜びをあらわしているようで、素晴らしい。