あらすじ
江戸市中あちこちで起きる厄介事は、なぜかこの男の許に持ち込まれる。
南町奉行所の窓ぎわ同心の藤木紋蔵。今日もまた難事件に奔走する。
火事場のどさくさに紛れて、火の中に行く盗人の真意は?(「目隠し板貼り付け要求の裏の絡繰」)
薬箱持ちから身を興した評判の医師の悩みの種は、自分の許に通ってくる弟子と一人娘のことだった。
表題作「敵討ちか主殺しか」含む8編収録の人情物語。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
物書同心居眠り紋蔵と言う主人公を冠した時代小説。そして廻船問屋伊勢徳の隠居である徳兵衛。最初は徳兵衛が出てきて、その後追っかけで紋蔵が登場する。紋蔵は、どうやら物知りで、今で言う判例と引用に秀でているようだが、他の時代小説の主人公のような活躍はしない。でも、何故だか周りから頼られる。他方徳兵衛はお大尽。お金は惜しみなく使い、興味あったことには何処にでも顔を出す。ときに役人まがいの聴き取りも行うが、それが良い方に出る。人を信じ、人から頼られる。
この小説は8編の各々の話からなってるが、この二人は顔を出す。でも、それぞれ出方、活躍も違う。でも、8編がすべて繋がってるように感じさせる、不思議な作家が佐藤雅美だ。もうなくなってるのが、残念だ。2019年逝去。