【感想・ネタバレ】ちよの負けん気、実の父親 物書同心居眠り紋蔵(十一)のレビュー

あらすじ

※本作品は 2014年2月21日~2014年7月10日まで販売しておりました単行本版『ちよの負けん気、実の父親 物書同心居眠り紋蔵(十一)』の文庫版となります。本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。

八丁堀小町と呼ばれているちよは、料理茶屋・観潮亭の看板娘として評判を得ていたが、抜群の三味線の腕を持つみわに看板娘の座を取って代わられる。さらに、みわの出生の秘密を知り、負けん気を起こしたちよが「あたいは公方様のお姫様かもしれない」と思い込み……。器量よしの娘と三味線の名手の娘、ふたりの看板娘の自負心が引き起こす厄介事に周囲の大人はてんてこまい!表題作他全8編収録の捕物帖第11弾。

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匿名

ネタバレ 購入済み

 佐藤雅美の作品には多くの魅力的な人物が描き出されているが、「みわ」もその中の一人である。その出生、母親との関わり方、まわりを取り囲む人々、そして何よりその三味線の腕前が魅力的なのである。話の展開が出来過ぎているところもあるが、私的にはツボにはまってハラハラし、泣けて、最終的にはハッピーエンドに心を洗われる思いがする。
 話の中では「孰か微生高を直なりと謂うや」がとても面白かった。孔子の言葉を元に、紋蔵が金吾に講釈を述べるくだりが興味深い。孔子の言葉もこのように具体的な話を付け加えて説明されると納得がいく。みわの実の母親「かよ」も上品に描かれていてその親子が最後はうまくよりを戻すことができてよかった。

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2019年11月27日

Posted by ブクログ

目次
・真冬の海に舞う品川の食売女(めしうりおんな)
・象牙の撥(ばち)と鬼の連れ
・みわと渡し守
・磔(はりつけ)になる孕(はら)んだ女
・取り逃がした大きな獲物
・中秋の名月、不忍池池畔の謎
・孰(たれ)か微生高(びせいこう)を直(ちょく)なりと謂(い)うや
・ちよの負けん気、実の父親

なんかひねりのない長いタイトルが増えましたが、手抜きではないでしょうね。
話も過去の判例や法の解釈よりも、紋蔵の周囲の家族の話が多かった。
それはそれで面白いんだけど、窓際族の報われない紋蔵がびしっと難事件を解決する話も読みたいものです。

「孰か微生高を直なりと謂うや」とは
”微生高という男は善意に満ちた正直者と評判をとっていた。その微生高のところに、ある人が酢を借りにいった。あいにく家には酢がなかった。微生高は隣の家から貰ってきて貸した。そんな、微生高がいかに善意に満ちた正直者かを物語っているかのような逸話があるのだが、孔子さんはそうは思わないという。できないものは素直にできないと断ればいい。無理をしておこなうのはおかしい。おこなおうとすると無理や破綻が生じる。だから孔子さんは、微生高は本当の善意に満ちた正直者だとは思わないのだといわれる。”
ということだそうです。

できないことはできない。
これが言えずに無理を重ねている人、今の世の中にもたくさんいますね。

ところで、ちよの負けん気。
確かに負けず嫌いでおきゃんなちよは可愛げがあったけど、今巻の千代はちょっといただけない。
他人の美点や努力を認めることなく、自分が一番でなければ気がすまない。
こんな調子ではきっと幸せになることはできない。
今回のちよの反省は、彼女の転回点になるのだろうか。

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2019年03月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初の「真冬の海に舞う品川の食売女」の舞台として相模屋(土蔵相模)が出てくるが、先日、映画『幕末太陽傳』を観たばかりだったので、リアルに想像することができた。
作者も参考にしたのかしらねぇ。

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2014年06月04日

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