あらすじ
しがない小役人の山本庄蔵は葵の御紋が付いた提灯や長持を使って、ひと儲けを画策する。お上に知られた庄蔵に下されるのは「江戸払い」か「御扶持召放」か? 差し戻された裁決は、紋蔵のもとに。紋蔵が悩まされるなか当の庄蔵はちょこまか江戸を動きまわり、聞きしに勝る図太さで、へこたれない。表題作含む8編収録の人気捕物帖第12弾。人気の紋蔵シリーズ読み応え充分の新展開!
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匿名
音羽者の知恵
稲の旦那様である鉄三郎が亡くなる。これは紋蔵一家の全編を通して綴られる通奏低音のようなストーリーの大きな動きである。紋蔵一家の物語である。それと別に各物語は紋蔵一家の話と絡まって綴られる。音羽の岡場所が取り潰されることに対して、大竹金吾の機転で矛先を避けることができた。
へこたれない人
紋蔵の南の同僚の山本庄蔵の物語、山本庄蔵はこの巻では何回か重要な場面で出てくる。新しいキャラクターの登場人物を丹念に描いている。
夢見る夢乃助
文吉(剣持忠三郎)と夢乃助の出会いの巻。夢乃助と夢乃助に関する出来事に紋蔵が関わる。出来過ぎの話であるが、痛快である。捨吉が紋蔵に対して、「おまえさんが動いたことによって辺りの気が動き、それが事態を解決させたのかもしれない」と言うところは面白かった。
牛込原町名主支配離れ願い一件始末
文吉とおちよに惚れた男の喧嘩の件と、牛込原町の名主の件が微妙に関係しあい、面白い話になっている。江戸の名主の制度をこれだけ精確に描くのは相当の量の資料を読みこなしているのだろう。紋蔵が名主の悪行を咎める案などは相当の裏付けがないと書けないであろう。