あらすじ
「何だ、これは?」追跡捜査係の頭脳・西川大和は思わず声を上げた──。「おいおい……」定年まであと八年のベテラン刑事・岩倉剛はコンビニエンスストアの前で固まってしまった──。二人を驚愕させた週刊誌の見出しは、三十一年前迷宮入りしたバラバラ殺人事件の新証言。誰が、何の目的で。警察の面子を守るため、そして刑事になった契機の事件を追うため、似た者同士の知性派二人が動き出す。捜査を阻む時の壁に挑む、書き下ろし長編警察小説。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ラストラインシリーズとのコラボらしい。机上の西川と足の沖田のコンビではなく西川とラストラインシリーズのガンさんとのコンビ。31年前の時効になったバラバラ殺人事件を追う。時効のになった事件の結末はどうなるのか気になりながらのラストシーンは最高。次はラストラインシリーズの『骨を追え』よも♪
Posted by ブクログ
作者は幾つもの“シリーズ”の作品を送り出している。本作は<警視庁追跡捜査係>のシリーズになっている。が、同時に<ラストライン>の中の作品という感さえする。
<警視庁追跡捜査係>は本部の捜査一課に設けられていることになっている係の捜査員達が活躍するシリーズだ。捜査が進められた経過が在って、未解決になっている事案に関して調べるという役目を負った係で「粗探しをしている?」と捜査関係者の間では少し煙たがられている係だ。この係の主要な捜査員に西川刑事が在る。西川刑事は資料を徹底的に読み込んで、死角になってしまった事項を探し出し、それを探って推理を巡らせて事件解決を目指すというような捜査員だ…
<ラストライン>は南太田署刑事課の、50代になっている岩倉刑事の活躍するシリーズだ。過去の事件に関する驚異的な記憶力で知られる“名物男”であるが、「この線で…」と捜査本部が走り出しそうな場面で「一寸待て!」という論を展開することでも知られる人物だ。本部で、捜査情報関係のAIを研究する事業に協力するように仕向けられていて、それを嫌って所轄署への異動を希望した。そして密かに交際する女性が住んでいる場所にも近い南太田署に在るという訳だ…
本作は、西川刑事と岩倉刑事が共演、或いは競演している。西川刑事が主要視点人物になる部分、岩倉刑事が主要視点人物になる部分が概ね交互に在って事案が展開して行くのだ…
物語は、オフィスに出勤した西川刑事が発売されたばかりの週刊誌に載った記事に驚き、思いを巡らせている場面から起こる。
週刊誌に載った記事とは「31年前の“バラバラ殺人”」という一件のことだった。
公園の池で、人体の一部が入ったゴミ袋が浮かんだ。騒ぎを受けて調べると、バラバラになった人体が幾つかの袋に容れられて池に遺棄されていたのだった。殺害した遺体を損壊した事件として捜査本部が設けられて捜査が進められた。が、遺体の身元を特定するに至らず、時効となってしまったのだった。
時効になってしまった31年も前の事案に関しては、未解決事件を調べる追跡捜査係としても正式に捜査ということにはならない。が、事件当時に敢えて公表しなかった、ゴミ袋の色というような次元の「当事者以外に知り得ない事柄」を含む記事であることから、事案を“調査”ということになり、西川刑事が取組むこととなった。
同じ頃、南太田署の岩倉刑事も同じ週刊誌を視て驚き、思いを巡らせていた。
件の「31年前の“バラバラ殺人”」は学生時代に住んでいた地区で起っていた事件で、「こういう事件の捜査をする刑事に…」ということを思い立った契機となった事柄で思い入れが在ったのだ。
岩倉刑事は件の記事を掲載した週刊誌の関係者に、過去の事件で出くわしていた、連絡を取れば会うことも出来るかもしれない人物が在ったことを思い出す。そして接触を図り、週刊誌に情報を持ち込んだという人物が南太田署の管轄地域に住んでいるということを知った。
岩倉刑事も時効になってしまった31年も前の事案が捜査ということにならないとは思ったが、或いは報道を受けて事情をしる調査は行われる可能性が在ると考えた。その調査を担当するとすれば追跡調査係だ。
そして岩倉刑事は西川刑事と連絡を取る。週刊誌への情報提供者が南太田署の管轄地域に在る。「自分が手伝えるように手を回せ…」と岩倉刑事は西川刑事に伝え、西川刑事は応諾した。
こうして西川刑事と岩倉刑事は、「31年前の“バラバラ殺人”」に纏わる事柄の調査に乗り出した。
正式に「追跡調査係が南太田署刑事課に協力を依頼した調査」という体裁になったことから、岩倉刑事は早速に件の情報提供者に関して調べ始め、そして住まいの辺りで行動を観察し始めた。程無く事態が動き、31年前の別な事件の関係者の姿が視え始める…
両刑事が各々の持ち味で、似ているようで実は違う両者が事件に向き合い、共闘、張り合いと色々在って、31年も前に何が起こっていたのかを解き明かしていく物語である。酷く愉しんだ!
Posted by ブクログ
西川と沖田コンビのシリーズ。
だが、沖田の出番はほぼなし。シリーズで初めてではないだろうか。
連続ドラマに俳優の都合で無理やり病気や転勤を理由に登場しなくなるような感じに似ている。
代わりに、ベテラン刑事ガンさんこと岩倉が登場。
ガンさんの一人舞台のごとく話は展開する。
読み終わった後に、読者レビューを読んで知ったのだが、岩倉は著者のラストラインシリーズの主人公。
このシリーズ読んだことはないが、ドラマで村上弘明が演じているやつ?でしょ。
すっかり本を読んでいる間に出来上がった岩倉像があまりに村上と違う。
あんなスマートな感じでないイメージで読んでいたので。結構しつこく、待っていられない性格みたいだし。
内容としては、刑期を終えた者がシンガポールで成功していることもあり、この未解決事件との関係も見え隠れしたものの、
最後の最後に未解決事件の犯人になにか釈然としないものが残る。
今回良かったのは、前回までうるさいほど西川が妻のいれるコーヒーに言及していたのが、かなり回数が減ったことだ
あまりにコーヒーがうまいというので、そのうちコーヒーに絡んだ事件が出てくるのではと思ったりもしていた。
次の作品はいかに。
Posted by ブクログ
全く関係のないようなことがどんどんと結びついていく様子がとても面白かった。登場人物の個性も様々で、朝のファミレスの様子や、街の様子、食べ物の表現がとても好きでした。
Posted by ブクログ
普段と顔ぶれが違うのと、ラストラインを並行してよんでいるのとで
追跡捜査係を読んでいる感じがイマイチ薄かったのだけれど。
終盤、いろんな糸が一本に集約していくさまは見事。
このワクワクがたまらない。
Posted by ブクログ
31年前 起きたバラバラ事件時効は過ぎているが、週刊誌を見てその事件を岩倉と沖田が捜査し始める。結果的に週刊誌にネタを売った人が犯人、それだけお金がなくて最後は自分で大穴を掘った。ガンさんの様な警察官が居るのだろうか。定年したら今迄の事件を小説にしたいらしい。最高な男、
Posted by ブクログ
ふんふん。まずまずの出来やん。
堂場瞬一君ももう作家デヴュー20年か。よくこんだけ多作できるもんや。お陰で登場人物が多すぎて訳がわからんわ。相関図はありがたいが、忘れてる人物もいるしなあ。
まあ、でもオモロければ何でもええんやけど。頑張りや、堂場君。
でも、新装版で違う出版社から出すのはなんとかならんのかいな。新しいのんでたと思って、思わず手に取るやんか。
Posted by ブクログ
時効になった事件を現役警察官が追う異色な作品。端緒になった事件が事項になっているためなのか追跡捜査係シリーズ扱いだがラストラインシリーズに組み込んでもおかしくないくらいに岩倉が大活躍している。半分私刑も混じっているような事件の締め方だが逃げ続ける悪には現実社会でもあって良いと思う。
Posted by ブクログ
所轄の記憶力抜群の岩倉刑事と警視庁追跡捜査係の妻のコーヒーが世界一好きな西川刑事が時効となった事件の真相を追うお話。
時効撤廃となる以前に時効が成立してしまっている事件の場合はどうやって捜査するのかがわかる一冊。(あくまでも小説)
2人の刑事が捜査する様子が本当に細かくて情景が目に浮かぶ。
この手の小説は何冊読んでも飽きない。
Posted by ブクログ
非現実的なトリックとかがあるわけではなく、地道に足で稼いだ情報を紡いでいく。
登場人物も個性があり、人物描写も散りばめられているので好みの作風。
ただ、設定がなぁ。。
時効を迎えてる事件に警察がここまで関与しないよなぁ。推理小説でありがちな、保守的な組織、あくまで公務員としての警察とは真逆の動きをする本作、最後も社会的制裁云々とはいかがなものか。
Posted by ブクログ
シリーズ第10弾。
西川と沖田のコンビが主体のシリーズだけど、今回は西川が別の刑事、岩倉と31年前の事件を追う。
ただ、古い事件なので時効が成立しているので、捜査ではない。
岩倉はこの事件に思い入れがあるようで、時効とはいえ、どんどんと突き進んで真実を暴こうとする。
今回の捜査は似た者同士の二人。
最後は意外な展開に…
2024.4.28
Posted by ブクログ
一応追跡捜査課シリーズになっているものの、沖田刑事は殆ど登場しないし、西川刑事やりむしろ岩本刑事の出番の方が多いくらいでラストラインシリーズの方が適切かも。
犯人の一人だけ逮捕されて既に解決済み扱いの現金輸送車強奪事件と、とっくに時効が成立しているバラバラ殺人事件の両方の犯人が新たに判明するわけですが、二人の頭脳派の共演も流石にこんな私的制裁じみた解決はないと思う。
少し中弛みの感もあり、せっかくのコラボ作品なのに星3つです。
Posted by ブクログ
【警視庁追跡捜査係シリーズ第10作目】
週刊誌の記事は31年前迷宮入りしたバラバラ殺人事件の新証言。内容は犯人と思われる。
時効が廃止する前に時効が成立してしまった事件で警察としては何もできない。だが警察としては、週刊誌に犯人を暴かれるというのは面白くない。
結局、警察はまだ調査していました、という名目がほしく、追跡捜査係に依頼がくる。沖田は別事件を追っており、西川が担当することになる。
時効は成立しているので、捜査ではなくあくまで調査だが。
この31年前のバラバラ殺人事件がきっかけで刑事になり、所轄にいるベテラン刑事の岩倉は、追跡失踪課にいたこともあり、西川に自分の調査に加われるようにお願いする。岩倉は記憶力がずばぬけてよく、外回りが好きで、沖田のよう。今回は沖田の出番はなく、西川・岩倉コンビで調査・解決していく。
途中でアナザーフェイスの大友がでてきて嬉しかったが、ガンさんは初見でよくわからなかったが、「ラストライン」の主人公でコラボだったようだ。先に知ってラストラインを読んでおきたかった。ただ、ガンさんはちょっと好きになれなかった。「ラストライン」読めば好きになれるだろうか。
この週刊誌をきっかけに別の事件が起こり、31年前のバラバラ殺人事件の真相がわかっていく。犯人は時効が成立しているので警察としては追及できないが、社会的制裁はできたように思う。
Posted by ブクログ
沖田さんはお休み作
代わりにガンさんと西川さん
面白いけど沖田西川が好きな私には物足りない…
時効が成立した未解決事件の情報が週刊誌に掲載された事で動き出し、また新たな死者が出た
会社の金の横領から始まり、強盗、殺害
これらを隠して生活してきたのに浅はかな考えで週刊誌に情報を流した
結果時効が成立しているため逮捕はされないこそ、社会的制裁にあう
バカな犯人だった
参考人としての事情聴取しか出来ないため、状況証拠を辿りぽつぽつと出てくる手がかりに、これがどう繋がっていくのか
補填される西川とガンさんの予想が加わって、もどかしさを感じつつ楽しめた
追跡捜査係から異動した庄田三井も活躍
沖田西川と関わると仕事人間になるのかもしれない
2人らしい新婚旅行だったのではないかと思う
Posted by ブクログ
本当にそんなの可能なのか?と疑問に思うところもあるが、真相究明に向けてパズルのピースがはまっていく様な、警察小説特有のカタルシスは感じる事は出来た。
Posted by ブクログ
時効事件の解決に向けて、複数のパーツが結びついていくことに気持ち良さを感じました。事件の解決に焦点か当たり過ぎて、登場人物の人隣の描写が少なかったのが個人的には残念!番外編だからやむなし?
Posted by ブクログ
ガンさんシリーズまだ読んでなくて…
そっちも読んでおけば良かったな。
沖田さんの事件とも繋がるのかと思いきや関係なかったー
時効だから逮捕はできない。
その辺なんかスッキリしない感はあったかな。
Posted by ブクログ
これはコラボする必要があったのか。ガンさんのホームで良かったんじゃないか。
沖田の方の事件は、次回作に出てくるのか?
諸橋のしたことについて、ちょっとリアリティが感じにくいのが、強い感情が湧いてこない理由か。
Posted by ブクログ
「何だ、これは」?追跡捜査係の頭脳・西川大和は思わず声を上げた──。
「おいおい……」定年まであと八年のベテラン刑事・岩倉剛はコンビニエンスストアの前で固まってしまった──。
二人を驚愕させた週刊誌の見出しは、三十一年前迷宮入りしたバラバラ殺人事件の新証言。
誰が、何の目的で。警察の面子を守るため、そして刑事になった契機の事件を追うため、似た者同士の知性派二人が動き出す。
Posted by ブクログ
03月-13。3.5点。
追跡捜査係シリーズ。今回はラストライン岩倉とのコラボ。
沖田は大阪で別件捜査中、西川と岩倉。
31年前のバラバラ殺人事件、迷宮入りしたが週刊誌に新記事が。岩倉・西川が真相を追う。
異色のコラボ。いつものように地道な展開だが、真相に近づくとジグゾーパズルが完成していくような快感あり。
Posted by ブクログ
シリーズ10作目だが、沖田はほとんど登場せず、西川のみ。相棒は「ラストライン」シリーズのガンさんで、ラストライン色が濃くて、ラストライン第4作の方があってるように思える。すでに時効の事件の後追いで、正直、追跡捜査係案件としてはイマイチだった。あまりコラボの効果が出てない作品だったなあ・・・