あらすじ
「しろがね」と「自動人形」の戦いの歴史を語るルシール。その内容のあまりの苛烈さに驚く鳴海…そして、すべての鍵を握る「柔らかい石」の秘密にたどりついた。しかし、「真夜中のサーカス」から恐るべき使者がやってきた。その者の名は自動人形・アルレッキーノ…最強の人形の一人だ!!
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身の丈ほどもある大きなトランクを持った少年・才賀勝に「サーカスに連れて行ってくれませんか」と頼まれた、拳法家の青年・加藤鳴海。そこに人間と見紛う奇妙な人形が現れ、勝を連れ去ろうとします。拳法が通じない人形相手にピンチを迎えた2人の前に現れたのは、謎の銀髪の美女・しろがね。さあ、ここに世紀の機巧活劇が開幕する――。
不死の体を持つ人間「しろがね」と自動人形(オートマータ)との闘いを、国境そして時空を超えて壮大なスケールで描いた藤田和日郎先生の代表作。
これほどまでに人間の持つ感情、喜怒哀楽全てがビビットに描かれた作品を私は他に知りません。ストーリーは闘いを中心に進んでいくのですが、その闘いに身を投じた「しろがね」達の生き様、闘いに巻き込まれた人間の悲劇、そして「しろがね」ではないものの大きな鍵を握る存在である勝の成長――その全てがクソデカ感情でもって読者の胸に迫りくるのです。
登場人物たちは火傷しそうなほどの熱さを持った愛すべき奴らなのですが、物語は彼らをあざ笑うかのように残酷な展開を見せます。なので、後半は傍らにティッシュのご用意を。
「面白い」「ドキドキする」「泣ける」「感動する」「怒りを覚える」「声を上げて応援したくなる」。こうした漫画体験の全てが詰まったこの作品、陳腐ですが、読まないと人生の半分損してると言わざるを得ません……!
感情タグBEST3
柔らかい石とは?
フランス・クローグ村での惨事は200年ほど前、春のお祭り時に村に現れた錬金術師が持ち込んだもので、死ねない、という苦しみだけが残りました。
生命の水の源たる柔らかい石って、いわゆる賢者の石、でしょう。
この作品ではからくり人形ベースで表現されていますが、チューリングテストにも合格するAIも、似たような人間性を持てるのかどうか。
アルレッキーノも出てきます。
巻末近くでは久しぶりに才賀勝君とかも。しろがね、の意味もハッキリしてきました。
匿名
記憶をなくしてしまってしろがねそっくりのフランシーヌの姿に戸惑再会ったり、その姿を見てると鳴海ははやく勝達に再会してほしいと思います。
キャラへの造形が深い
キャラをここまで掘り下げて見せることが出来るのは、本当にすごい。
分野は、アクション&ダークファンタジー、という括りになるのかな、と思います。
笑いもあり、感動する個所もあり、スピード感があるのでどんどん読み進めることができるけれど、心が暗くなるというよりはどんどんテンションが上がっていく感じの作品です。
見ごたえがあります。