あらすじ
◆動乱の幕末を必死に生きる男たちの挽歌。
新選組隊士・松原忠司。
幕末を無器用に生きた利他の男が必死に守ろうとしたもの―――
長州奇兵隊発案者・高杉晋作。
混迷のこの国に、長州から“春風”を吹かせようとする男の決起―――
肥後の尊攘剣客・河上彦斎。
幕末四大人斬りと恐れられた男の末路―――
縦横無尽に史実を描き、史実の間隙を大胆に往く斬新本格幕末雄篇漫画! 混迷の国で、国の行く末を、人々を想い、それぞれに必死に生きる者たちを描く第30巻!!
「新撰組」の作品は数あるが、もうお腹いっぱいという人にも是非読んでもらいたい作品。
剣術メインのストーリー構成と迫力満点の立会い、そして個性豊かなのちの「狼」たちのコミカルなやり取りがこの作品の魅力だ。
沖田総司となる惣次郎は格別の強さと「頭の弱い」感じの微妙なバランスが魅力的。そして、惣次郎が慕う近藤勇は引きこもり気味だが、圧倒的な大らかさと立会時の凄まじい迫力に読んでいて引きこまれてしまう。
そんな二人が通う道場・試衛館には、竹刀剣術とは異なる「斬る」ことを主とした教えと人を引き付ける近藤の魅力で「狼」が次々に集う。一人一人の「狼」を背景から丹念に描き個性豊かに仕上げているのも作品の魅力だ。
ただ、やはり一番の魅力は見ごたえ十分の立会シーン。刀は斬れる。その当たり前を存分に活かした描き口は、迫力がコマから溢れだす。