あらすじ
次なるパイロットに選ばれたキリエは、チズが死亡した戦闘の4日後、彼女が復讐を望んでいた男・畑飼を呼び出していた。かつて自分に相談を持ちかけたチズの無念を想い、彼女を弄んだ畑飼の真意を探ろうとするキリエだったが、畑飼はいっこうに悪びれる様子もなく、得々と持論を語り始めた挙げ句「俺と友達になろう」と言ってきて…?
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Posted by ブクログ
地球の、宇宙の生き残りをかけて襲い来る敵と戦う。
勝てば、相手の次元の地球(宇宙)が滅び、負ければ、自分たちの次元の地球(宇宙)が消滅する。
戦いが終わったら、勝っても負けても、パイロットは死ぬ。
ここまで、少年少女のいろいろな戦いと死を見てきて、もし自分だったら、地球を救うためとはいえ、自分の手で誰かを殺めるくらいなら死んだほうがましだ、とか思っちゃうかもしれない…とぼんやり思い始めていた。
だから、キリエの「自分たちが生き残るべきかわからない」「自分は正義かもしれないけど、相手も正義かもしれない」という考えはすごく理解できたし、偽善的と言われるかもしれないけれど共感した。
「あなたは好むと好まざるとにかかわらず、もうすでに生命の犠牲の上にある」
だからその犠牲に感謝し、精一杯自分のすることをするのが、生きていくものの責任。
それが生きるということ。
自分でもまだうまく消化できていないのだけれど、田中さんの言葉はそういう「死んでもいい」という甘い偽善をひっくり返した。私たちは生きていることがそれだけでもう生き残りのための犠牲を強いられているシビアな運命だったんだなあ、と。難しいけれど、確かにそうだ。
個人的な戦いをしてきた今までの子供たちとは一味違い、そもそも「どうして戦わなくてはならないのか?」にひとつの決着をつけてくれたエピソードだと思う。
続いてコモの話。
死ぬとわかってから世界の美しさや世界とのつながりを実感し、世界が豊かになったと感じるコモ。
敵のパイロットの逃亡、一般被害者からの恨みを思い知らされる子供たち。自分たちの背負っているものの重さ、戦いに向けられる非難の目の厳しさ。
改めて話の運び方というか展開構成がうまいなあ。
コエムシの転送の説明は、面白いけど、なんというかPC上のデータの話みたいだなあと、いまいち三次元で起こりうるのか疑問に感じてしまう。
佐々見さんだんだんなじんできたな。
大人たちが登場したときは子供たちの行動を阻害したり支配しようとしたりするのかと思っていたけれど、予想外に子どもを尊重してくれるいい大人たちだった。今後どうなるのかな。。
Posted by ブクログ
切江みたいに全ての命を等価値に見てしまっていたら、きっと生きていくのは辛すぎるだろうな。切江を諭した田中さんの言葉は、当たり前と言ってしまえばそれまでなのだけれど、改めて言語化されて、頭で再認識すると、そうだよなぁと。
命は主観的に見れば等価値じゃない。
Posted by ブクログ
切江の話が一番好きである。禅問答的な部分があるが人間だから悩む。地球いるある生物体型はある意味できれいなモノではない。捕食して生命を繋いでいくという流れに疑問を持ち、億年単位での勝者としての自分を考えさせられる。
Posted by ブクログ
ここ数ヶ月最大の自分内ヒット作、最新刊。どんどん明らかになる戦いの真実と、それと正面から向き合う羽目になった少年少女たちのそれぞれ。人にはオススメしにくい作品ですが、最高。
Posted by ブクログ
キリエみたいに考える人間は結構いる。
が、自分がその考えに至るまで生きながらえてきたという事の理由をどうしても精神論に偏らせてしまう。
単純に、肉でもサカナでも野菜でも、自らの手を汚すことすら無く殺してきた結果、生物として存在し続けている。
その事に責任があるのかないのかはわからないけど。