【感想・ネタバレ】風来忍法帖 山田風太郎忍法帖(11)のレビュー

あらすじ

時は天正18年。豊臣秀吉麾下2万余の軍勢に対し、わずか数百人の手勢を率い北条方の小城・忍城を守る美貌の麻也姫。姫を陰に陽に護るのは、忍びの者として天下に鳴る風摩組。中に割って入る戦場荒らしの7人の香具師(やし)は、麻也姫の貞操を狙う。香具師vs.風摩忍法、武州の地で機智と詐術を巡らす縦横の戦い!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

やってることは最低だけど剽軽でどこか憎めない七人の香具師たち。
そんな彼等を追いかける七人のくノ一。
自由気ままな彼等に感情移入しちゃった分だけ、後半に一人また一人と減っていくのが寂しくてやりきれなかった。

それでも大好きな姫君や悪源太のためにみんな命を張って見せ場を作って、明るく悲しくそして痛快な物語だった。

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2013年09月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

時は天正18年、豊臣秀吉き下2万余の軍勢に対し、わずか数百人の手勢を率い北条方の小城・忍城を守る美貌の麻也姫…文庫の裏表紙にはこうあります。おや?これはこれは石田三成の手による武州忍城の水攻め、最近読んだ『のぼうの城』と同じです。史実を独自の解釈でアレンジし奇想天外な忍法を掛け合わせ一大エンターテイメント時代小説に仕立てあげるのは、山田風太郎氏の得意とするところです。しかしながら…


裏表紙はこう続きます、姫を陰に陽に守るのは、忍びの者として天下に鳴る風摩組。中に割って入る戦場荒らしの七人の香具師は、摩也姫の貞操を狙う。香具師vs風摩忍法、武州の地機智と詐術を巡らす縦横の戦い!香具師?どうやら主人公は香具師らしい…wikiで調べると、簡単に言うならテキ屋の兄さんのハシリ。フーテンの寅さんのご先祖のような者たち、とのこと。


天下取りの秀吉の小田原攻めに付随するのが忍城の攻防です、序盤から香具師七人を中心にその背景が述べられ、彼等の活躍が語られます。wikiで調べたような活躍じゃありません!戦場を歩きハイエナのごとく荒らし、女と見れば犯し辱めた上で売り飛ばす!このあたりの描写は酷いもんでした。したかしながら住処を持たず自由気ままに旅して金と女の匂いに執着する彼等の生き様、まさに自由闊達、その時代の主従に縛られた侍とは違います。その自由と底抜けの明るさにちょっと男気を感じることは感じました。


そんな彼等の前にヒロイン麻也姫が現れます、女を粗末に扱う様をなじり、配下の忍者(風摩3人)を使って懲らしめ、主人公悪源太の顔を土足で踏みにじります。これに我慢ならなかった香具師達「ヨツにカマす」(強姦して辱め売り飛ばす)を合言葉に麻也姫を追い狙います。しかしながら守るは風摩の忍、超絶忍法を駆使する手馴れ揃い。対する香具師七人は権謀詐術に長けるもののそれぞれが持つちょっとした特技以外、徒手空拳。ここに素人vs忍者のバトルが成立することになりました!


物語は二転三転し疾走していきます、香具師達の執念深さと、何者にも縛られない自由とバイタリティと、徐々に麻也姫に迫っていくものの、麻也姫に近づくにつれ「ヨツにカマす」の合言葉が揺らいでいきます。聖母の呼称が解説にて与えられていた姫ですが、彼女を取り巻く環境と相まっていつしか敵味方が反転します。姫を守る香具師vs奪う風摩3人へ…


このあたりの香具師達の心象の変化は描き方が巧みで、すごく感情移入してしまいます。神農直系の末裔を名乗る彼等が、孤立無援ながらもけなげに城を守り続ける麻也姫に従い、守る存在に変わっていく様は、己が決めた己が守るものの為の戦いへ変わり、ここに自由こそを尊ぶ彼等の男気が花開いたと言えます。


忍法帖において、封建的主従、忍びの鉄の戒律に縛られた忍者達の戦い、その中で苦悩する者達、そして哀切漂う幕切れが自分の中での不文律でした。(甲賀忍法帖、忍びの卍等)自由を尊ぶヒーローとして柳生十兵衛がいますが、彼はまごうことなき剣客であり、その自由は強さあってのものです。今回主役の香具師達、徒手空拳ながら超絶忍法に立ち向かうにいささかも及ばざることなく、その要因として明るさと彼等兄弟の絆の強さでしょう。


後半になりバトルが本格化してくると彼等は風摩を道連れとし次々に倒れ、いえ散っていきます。彼等香具師達に寄り添い加勢した風摩くノ一7人(これは悪源太の特技のなせる技で加勢することになります)は哀れでした。もう少し優しくしてやれよ!悪源太!と叫んでました。最後はやはり胸に迫るラストとなりました…


どんな角度から見ても完成度は完璧で、数多くのファンが推すのもうなずける大傑作でした。忍法帖№1かもしれません。

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2012年06月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

泣いた…久しぶりの忍法帖。おもしろかった!!

女性をモノにし売り歩く…下衆野郎なのに、なぜだか憎めない7人の香具師たちの物語。彼らはひょんなことから、北条方の麻也姫を守ることとなる。

姫を男たちが守る、というストーリーは、【忍法八犬伝】に似ているが、香具師たちの、姫に対する復讐心から恋慕うに至る心の動きが新鮮だ。
忍法帖の中でも、分かりやすい恋愛ものでありながら、登場人物たち全員にその認識はない。

悪源太も、最後まで自分の想いを認めず死んでゆく。彼らのそんな未熟さが、彼らにとって姫との出会いがいかに人生における光であったかを物語る。

ラスト、悪源太が仲間たちの元へ戻るのも泣ける。そして麻也姫がみた陽気な7人の幻が、物語を悲しくも明るく締めてくれる。

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2024年09月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これは面白かった。
忍法帖のなかでも一番いい!
7人の香具師たち、人間としては最低だけどたくましい生き方。忍者じゃない(スーパーマンじゃない)ところもまたいいです。ま、人間離れした特技は持ってますが。

舞台となっている忍城、「のぼうの城」と同じ石田三成が攻めて、北条滅亡時に唯一負けなかった城。
也姫のちょっと天然なところもよかった。

そして悪源太のラストシーンはちょっと涙しちゃいました。

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2024年02月21日

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