【感想・ネタバレ】柳生忍法帖 上 山田風太郎忍法帖(9)のレビュー

あらすじ

寛永19年春。女人救済で名高い、鎌倉東慶寺の山門をおびただしい女性の血で染めた「会津七本槍」の七剣鬼。暗愚な藩主加藤明成を使嗾し、硬骨の家老堀田主水一族を皆殺しにした暴虐に今天誅が下される! 大いなる恨みに燃える堀家の女七人を助けるべく、徳川千姫の命により、柳生十兵衛が、いま見参!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

山岡荘八の「柳生宗矩」という正真正銘正統派の後なので、破天荒な柳生が読みたくて山田風太郎を選択。

忍法とあるけれど、印を結んでドロンは登場せず、せいぜい敵首領の銅伯が修法を使い、体を鉛のように変化させる程度。風船になって空を飛んだり、他人に化けるというような現実離れした忍法は登場しない。敵の7人はそれぞれ武器を手に真っ当に勝負を挑んでくる。
対するは我らが十兵衛。
ではなく、7人の女性。武家の妻や娘たちとは言え、武芸にはほど遠い彼女たちが、十兵衛の指南を受けて武術を体得し、復讐を遂げていく。

十兵衛が手出しをしない、というルールを作ったのが秀逸。これで立ち会いはスポーツ化し、勝ち抜き戦の様相を呈することになる。
でも圧倒的に強い十兵衛も何度も窮地に立たされ、絶体絶命の境地に追いやられる。その十兵衛の危機を何度も救う女性たち。チーム一丸となって敵を倒すのだ!
風太郎なので女性はすぐに脱がされる。それも想定の内だったので、期待していたのだけれど、どこかあっさりしていて、ネチネチとしたエロさが無いのがやや不満。できればもっと下半身もわくわくさせて欲しかった。

話が広がり、沢庵以外の雲水が活躍するのもやや興奮度を下げているかもしれない。だって坊さんたちは最初から死を前提に敵に対するのだから。
「生きるための剣」ではなく、「他人を生かすために自分が死ぬ」法になってしまっている。それでいいのか? そこだけ、気になりました。

十兵衛のイメージはもちろん千葉真一。野獣系のハンサムでスマート。さっぱりしていて、剣の駆け引きが大好き!
帰りの電車でも睡魔よりも面白さが先に立って、ほぼ一気読みとなりました。

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2012年08月26日

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