【感想・ネタバレ】忍法八犬伝 山田風太郎忍法帖(4)のレビュー

あらすじ

八犬士活躍後150年。若き城主里見忠義が快楽を貪った代償に、家宝の"忠孝悌仁義礼智信"の八顆の珠が"淫戯乱盗狂惑悦弄"にすり替えられた。これぞ、里見家取り潰しを狙う本多正信―服部半蔵の策謀。甲賀卍谷で忍法修行した、八犬士の末孫八人vs.半蔵指揮下伊賀者の女忍者八人の熾烈果敢な戦いやいかに!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

あまりに有名な伝奇小説「南総里美八犬伝」をモチーフにした忍法帖、里美家断絶のピンチに八犬士の子孫が活躍するのですが…

名前こそ同じものの末裔たる彼等は揃いもそろってグータラで、彼等の父君が自害をもって招いたる危惧の責任をとったのに、彼等は知らん振り、しかしながら美貌の姫君村雨(やや天然)の頼みをもって立ち上がらざるを得なく…本当の動機は村雨に、いいとこ見せてやる!という、スケベ根性によるだけで、ここらへんないかにも忍法帖テイストに溢れていて好きなところです。

ところが黒幕たる本田正信き下、服部半蔵とくのいち達は強敵!奪われた珠を奪還すべくもその都度あっさりを犬士達は倒れていきます。もともと修行に出された甲賀卍谷を忍術修行が嫌で逃げ出してきた彼等なので、度胸とハッタリ出たとこ勝負に頼る故、繰り出す忍術も出したら己もそこまでよ!で、いいとこ見せたい!でそんなにやるのかよ!と思いつつも、その潔さが忍法帖2大潮流の一つだと思いました。

オリジナル八犬伝のキャラを踏襲しており、そのグータラふりもとても個性的です。また敵くのいちも同名のキャラ立ちがあって楽しめました。

そしてラスト…倒れ散っていく者の描写を、これほど叙情的ロマンに満ちた筆で描くとは!日本語の修辞と著者の技にただただ感激いたしました。

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2012年04月03日

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