あらすじ
どうもこの頃お妙の体の調子が優れない。俵屋の若旦那から、お梅との祝言の料理を何品か作ってもらいたいと頼まれたばかりだったのだが……。そんなお妙の代わりに、祝言の料理を作ると決めたお花。お妙から受け継いだぜんやの味で、緊張したお梅の心をほぐすことはできるのか――。若旦那とお梅の新たな門出を祝う梅若汁、滋養にとんだ利休卵、菊花のお浸しを混ぜ込んだ握り飯、琥珀色に輝く軍鶏鍋。傑作時代小説、めでたい第七弾!
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Posted by ブクログ
「居酒屋ぜんや」のセカンドシリーズ、“花暦 ”・第七弾。
別嬪女将・お妙が切り盛りする居酒屋〈ぜんや〉が舞台の人情噺。
お妙と只次郎の養女・お花と薬種問屋〈俵屋〉に奉公する熊吉の視点が交互に描かれる連作五話が収録されています。
お花の友人・お梅と〈俵屋〉の若旦那との祝言の料理を依頼されたものの、女将のお妙の体調が優れなくて心配な状況でしたが、実は”おめでた”だったのですね~・・良かったねぇ只次郎!
そんな訳で、身体を労わらなければいけないお妙に代わって、今回はお花が頑張っております。
営業時間を短縮したとはいえ〈ぜんや〉の料理をメインで作ることになり、献立も食べる人の体調を気遣って考案しているお花の、
「・・夏の疲れがまだ残っている人もいるでしょう。おっ母さんに食べやすいものは、その人たちの滋養にもなると思って」
・・という台詞に、”お妙イズム”をしっかりと受け継いでいるな、と頼もしく思いました。
そして、お梅ちゃんの祝言でも任された膳をしっかりと作ることができましたし、汁物が足りないという思わぬトラブルにも機転をきかせて乗り切り〈俵屋〉の台所女中さん達に感謝されていましたね。
今回登場したお花のオリジナルメニューも結構美味しそうで、特に「利休卵」は私も食べてみたくなりました。
一方、熊吉はちょっと足踏み状態で、(肉体的にも精神的にも)成長著しいお花を見て焦りを覚えると同時にお花を異性として意識し始めた様子。
そんな熊吉も女性の不妊の悩み(特に跡継ぎを望む武家)に効く薬の販路を模索し始めたようで、こちらが上手く軌道に乗ると良いですね。
ということで、お祝い事が重なりほっこり気分で読んでいた本巻だったのですが・・終盤での千寿の”爆弾発言(?)”で、次巻は大荒れの予感が・・どうかお花が辛い目に合うのは勘弁してくれよ~と思いつつ、続きが気になって仕方がない私です~。