あらすじ
「エピローグ」では、主人公たちのその後が描かれる。彼らそれぞれに、どんな未来が待ち受けているのか……。訳者・亀山郁夫が渾身の力で描いた「ドストエフスキーの生涯」と「解題」は、この至高の名作を味わうための傑出したすばらしいガイド=指針となるにちがいない。【光文社古典新訳文庫】
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Posted by ブクログ
解説が充実していて、そこを読むのも大変楽しかった。
スメルジャコフが死んだとき「壁の釘にぶら下がってた」とあるのが気になる。釘といえばスメルジャコフの父親説が出ているもうひとりの人物「ねじ釘カルプ」。釘に始まり釘に終わるというのも興味深いから父親はカルプだったりしてと思ったけど……さすがに偶然かな。他の訳と見比べたい。
解題で指摘されたミーチャの散財癖と、それに反するような金に対する無執着さが気になる。この性格から私が思いだすのはファム・ファタール(≒男を狂わせる女)。金をせびるが、そのわりに手元に残すことなく使いきる様子がよく似ている。カテリーナさんがもしミーチャにぞっこんだったら、ミーチャはカテリーナさんのオム・ファタール(ファム・ファタールの男版)になっていたかもしれない。
最初に「第二の小説はアリョーシャが皇帝を殺す話」説を見たときそんな馬鹿なと思ったけど、「第二の父親殺し」という言葉で納得。皇帝=より大きな範囲の「父」。そう考えるとフョードルの殺害は父親殺しの第一ステップということになる。コーリャたちがメインで動いてアリョーシャが支援する説、たしかにそれが一番自然やなと思う。ペレスヴォンはほんとにジューチカなのかって指摘も、コーリャの闇感あってハッとなったし。
解題や『ドストエフスキーの生涯』を読んだ後に改めて見るとコーリャたちがラストで叫ぶ「カラマーゾフ万歳!」って言葉はちょい怖い。そもそもこのカラマーゾフという名前は、実際に起こったアレクサンドル二世狙撃事件の犯人、ドミートリー・カラコーゾフという人物が元になっているらしい。
子どもたちのくだり何だろ〜とも思ってたけど第二の小説(第二の父親殺し)のための前日譚と言われると納得。続編というか本編となる第二の小説も読みたかった。書かれなかったのが悔しい。
解説は作品の面白さがより感じられた。丁寧に解説を書いてくださって本当にうれしい。あと、読みやすい訳にしてくださったのも私的には大感謝でした。
Posted by ブクログ
エピローグ。
4巻前半の「子どもたちのエピソード」は一体何だったんだ?と思っていたけど、ここに繋がってくるとは。
本来は全2部作の構想だったものが、著者の急逝で未完になってしまった。
彼らのこの先は、読む側がそれぞれ想像していいのかな。
とはいえ、やっぱりドストエフスキーの描く彼らのその後を読みたかった。
ドストエフスキーの生涯は、作品の背景を知ることができて良かった。
そして、訳者・亀山郁夫さんの解説。
とても丁寧で熱量のある内容だったけど、今回は解説よりも余韻を大切にしたくて、軽く目を通しただけ。
Posted by ブクログ
長かった。読めて良かった。
やはりドストエフスキーは人間の中に希望を見出す作家なのか。4巻の終わり方でバッドエンドかと思いきや5巻を読むと印象が変わる。
イワンの大審問官、ミーチャの餓鬼夢、イリューシャの死それぞれ印象的な話は多いがそれがどのようなメタファーなのか再読する時に考えたい。
ミーチャのまっすぐな感じが一番好きかな。内容が分かった上で何度も読み返したくなる作品。解説を読みます
追記
餓鬼夢はあれか、大審問官前に出てくる善良な子供の受難に対する思いを示唆してるのか。イワンと同じ境地に至った?ということか?
Posted by ブクログ
長い物語の中で、いくつもの父と子の関係が描かれている。
ヒョードルと実子たちと私生児
二等大尉とイリューシャ
血のつながりだけではなく、「父=教え導く者」としての関係性も散見される
長老とアリョーシャ
アリョーシャとコーリャ(コーリャに父がおらず、偏った考えで突き進むところも印象的)、こどもたち
そして、ロシア正教に基づく神と登場人物たちの関係
勤めを果たさない父を持った4人のカラマーゾフの兄弟のうち、外の世界に父を求めたアリョーシャだけが、精神の安寧を、救いを得たようにみえる。
最後のシーンでアリョーシャは、両親の元で幸せに過ごす幼少期の尊さを少年たちに説くが、今後の自分たちの繋がりを強調する。
両親に恵まれなくても、求めれば導きを得られ、精神を貶めず引き上げていくことはできる、という思いが込められているように読めた。
…しかし、面白かったけど長かった!
普通の会話でも登場人物が軒並み「!」と叫んでいて、エネルギー過剰、、とやや当てられて(嵐が丘でも同じ印象を受けた)さらにイワンの1人語り問答のわけのわからなさもあって、途中ちょっと停滞しました。
でもモームが紹介している中で「冗漫で読み飛ばすこともある(大意)」と書いていたので、そっか〜理解しきれなくても一度読み通してみよう、と少し気楽に付き合えました。
ロシア正教について予備知識があった方がより面白いかな、と初心者向けのキリスト教の本を併読したことで、ドミートリーの罪の意識などが多少理解しやすくなって良かったです。