あらすじ
ゾシマの死に呆然とするアリョーシャ。しかし長老の遺体には、信じられない異変が起こる。いっぽう、第2巻で〈消えて〉いたミーチャは、そのころ自分の恥辱をそそぐための金策に走り回っていた。そして、ついに恐れていた事態が。父フョードルが殺された! 犯人は誰なのか?【光文社古典新訳文庫】
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Posted by ブクログ
いろんな意味で衝撃でしたしミステリー小説の始まりみたいになっちゃってて、おや?私は世界的に有名な文学作品読んでるはずでは?と戸惑いました。
始まりは不穏としか…これまで数々の奇跡が語られてきたゾシマ長老の棺から、腐臭が漏れだし、あっという間に噂になってしまう。反長老派や不信心者たちからは嘲笑われることに…
アリョーシャが打ちひしがれながらも長老の言葉通り修道院をでてゆくと、神学生仲間の嫌味なヤツ、ラキーチンによってグルーシェニカの元へ。
ここで、村上主春樹さんの『街とその不確かな壁』に登場するベッドの上に残された葱を2本を思い出さずにはいられないエピソード、第3部第7編の3章に「一本の葱」とタイトルがついた章が!
やたらとアリョーシャになれなれしいグルーシェニカには頭にきますが、小さい頃に聞いたという寓話を披露してくれます。それが、まるで芥川の「蜘蛛の糸」のような葱のお話しです。思い出した方はきっとバー・スメルジャコフの会員でありましょう。
このあとはミーチャの破天荒ぶりが暴露されてゆきます。グルーシェニカと一緒になるために、元婚約者のカテリーナへの借金を何とかしようと金策に走り回るミーチャ。
3000ルーブルのゆくえです。(半分豪遊して使ってます)めちゃくちゃで私にはとうてい好きになれないキャラクターでしたね。
そして最初からムンムンしていたフョードル、カラマーゾフ父がついに殺害されます…
Posted by ブクログ
狂乱と喧騒の第3巻。
途中まで、ミーチャの魅力がまったくわからん……と思いつつ読んでました。
思い込みで突っ走るし、浪費家でお金にだらしがないし。
なんで、作者から「高潔な」と人物描写されるのか、他の登場人物からなんだかんだ言いつつ好意をもたれているのか、理解できん、と。
でも、終盤で彼が絞り出した
「親父の血にかんして、ぼくは無実です! 罰を受け入れるのは、親父を殺したからじゃない、殺したいと思ったから、ひょっとするとじっさいに殺しかねなかったから、なんです······」
というセリフで、今までの彼の支離滅裂な行動も、性格の甘い部分も、ぜんぶが反転して人間らしく思えてくる、見事さよ!
そしてこれは、1巻でスメルジャコフが展開した、キリスト教徒が受ける迫害と改宗の問題への「屁理屈」(と、私は思ってる)に対する、痛烈なドストエフスキーの答えになっているのではないかな。
宿屋で繰り広げられる狂気じみたオールの描写に圧倒されつつ、前半で提示された信仰に関する問いが見事に回収されていく手腕に驚くしかなかった本巻。
改めて作品のスケールの壮大さに圧倒されて、まだほんのり残っていたお正月気分も一気に吹き飛びましたとさ。