植木雅俊のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最近原始仏典を読み始めたのだけれど、なぜか法華経も気になって、積読してたこの新書を引っ張りだした。
話がサクサク進むので、入門向きではないです。あと分厚い。
法華経の内容はざっくり予習でいいけれど、まずは仏教の歴史を一通り頭に入れた上で読んだほうがわかりやすい。
実際にお経の本文から、この部分は当時の仏教がこうだったから~ということや、サンスクリット語の原文をいかに訳すべきかなどが具体的に解説されているので面白い。
「誰でもさとれる!」と言うためだけになぜこんなに長いお経を…?という疑問が、少し解けた気がします。
鳩摩羅什の訳も日蓮の読み方も、法華経の編纂者たちの意図をしっかり汲んでいる -
Posted by ブクログ
◯訳のおかげで、読みやすくなっているとはいえ、解説が無いと理解が難しい内容。しかし、お経について知る機会はあまりないため、大変興味深かった。
◯維摩経は物語としての展開がある分、頭に残りやすいが、法華経は難解な思想書の様相であり、お経特有の繰り返しや、過剰な賞賛によって本質も取りにくい。
◯法華経自体に後年付け足しが行われた形跡があるという点については、自らの信仰を正当化する意図なのか、不純な印象を受ける。
◯しかし、それら全てを包含し、あまねく法華経を授持する全てのものが救われるとする思想こそは、まさに仏教における宗教改革であり、実に興味深い。 -
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これは極めて重要な1冊だ。
特にフェミニズムにとって、重要な思想の歴史になるだろう。
古くは中村元師の翻訳があり、早島鏡正師のものがあり、そういう先人の成果をしっかりと踏まえたものだ。
この翻訳は読みやすいし正確だし、素晴らしい。
後半の、テーリー・ガーターを説明している文章も分かりやすい。
翻訳と、説明と、★★★★★
なぜ岩波文庫じゃなくて角川だったんだろう?とにかく、素晴らしい本だ。
ただし、筆者は法華経信者で、このような学問的にも重要な仕事を、法華経の正当性を語るための材料として使おうとする時だけは、偏狭なカルト信者の本性をむき出しにする。
そこがキモチ悪いので、マイナス★1点。
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大乗仏教って、なんか大仰だよね〜。
というイメージを代表するのが法華経で、苦手な世界。
このお経は、最高だぞ、と言うばかりで、なにがどうスゴいのか、中身がわからない。
やたらたくさん、菩薩やら人々がでてくるし、地面から菩薩がでるわ、空中に浮かぶわ、とんでもない数の羅列。。。スペクタクルではあるのだけど、で、結局、なにがいいたいの?みたいな印象。
という法華経なのだが、この本を読んで、ようやく意味が分かった、気になった。
要するに法華経は、
・だれもが仏になることができる
・というか、自分のなかにすでに仏はいる
・ブッダも仏であると同時に菩薩でもあって、世の中に仏の教えを伝える存在であっ -
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ネタバレP58で、子どもを生き返らせる薬を捜している母親に対し、釈迦が『芥子の実をもってきなさい。ただしその家からは一人も死者を出したことのない家でなければならない。』と諭すと、母親はいくつもの家を訪ね、どの家でも死者がいたことに気が付き、死という事実を受け止め、自身でその悲しみを乗り越えるしか道はないと。体験するシーンがある。このシーンで身内の死に悲嘆にくれ号泣する人や、叫ぶ人がいる外国の事を思い出した。その点日本ではそのような過激な指向性は薄いなと感じた。やはり根底に仏教が流れているのだろうか
?薄知の私では計り知れないと感じた。
第二章では中国語に関する内容が書かれている。漢文では書きえない -
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著者は仏教研究家の植木さん。サンスクリット語の仏典を読み解き中国、日本へ伝わった仏教の誤解といったことが主テーマかと思い興味深く読んだが、そんなに興味を惹かれる所は多くなかった。
印象に残ったのは、釈尊が弟子から「世尊の教えはサンスクリット語に翻訳して伝えた方がよいのではないでしょうか」と尋ねられ、「その必要はない、その地域の言葉で伝えなさい」と答えたこと。そしてその通り、アジア各地ではその地域の言葉で伝えられたが例外は日本で、漢訳のまま受け入れて、大和言葉に翻訳されることはなかったとのこと。したがって多くの人はお経を聞いてもいみがわからない。お経というとわけのわからないものの代表格になって -
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サンスクリット原典の厳密な解釈にもとづいて『維摩経』や『法華経』の現代語訳を手がけてきた著者が、サンスクリット語・パーリ語原典と漢訳経典、さらに日本における漢訳経典の受容の諸相について検討をおこない、仏教の思想がどのように変容していったのかということを、さまざまな事例を紹介して解説している本です。
著者の翻訳のしごとを通してあらたに明らかになった事実の紹介が中心となっており、さらにそこから展開されたインド・中国・日本の比較文化論的な内容の議論が示されています。「仏教、本当の教え」というタイトルから、初期仏教の思想的核心を掘り下げていくような内容を期待した読者は、肩すかしにあったような気分にな -
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NHK 100分de名著 より。植木雅俊 「仏教本当の教え」
変容した日本の仏教をインド仏典から見直した本。タゴール、諸法実相、常不軽菩薩 の話は 面白い
タゴールの思想「アジアは 文化によって 一つでなければならない〜仏教によって実現されていた時代があった」
タゴールが見出した 仏教の現代的意義
*徹底した平等
*迷信、占いを徹底して排除
*西洋的な倫理観を説かない〜神対人間ではなく、人間対人間の中で倫理観を説く
諸法実相
*諸法=あらゆる物事、現象、実体
*実相=ありのままの姿、実在、普遍的実在
*インドは実相が重視→日本は諸法が重視
*諸法から実相を見、実相から諸法を見る
法華