あらすじ
法華経研究の第一人者が、「経王」(諸経の王)と尊ばれてきた「法華経」全27章を縮約しつつ、各章ごとにその要諦を徹底解説。長大なだけでなく難解かつ理解しにくい言い回しの多いこの経典の核心部はどこにあるのか。その思想の真意はどのようなものなのか。サンスクリット原典からの精緻な訳、最新研究をふまえた徹底解説により、法華経の「本当のすがた」を浮き彫りにする。
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Posted by ブクログ
師匠と弟子のやりとりで比喩に対して比喩で確認するみたいなことがあったりで、謎が深まるミステリー要素もある。シャカの死後に起こった出来事も踏まえてシャカに集約し、数百年かけて成立していった経典が、後世の私たちに伝えたかったシャカの真意とは?
Posted by ブクログ
著者はサンスクリッド語などを勉強して仏典を正確に訳すことでより正確な内容を把握しようと熱心に研究されている。仏典と真摯に向き合う姿勢に感心する。
なかでも、文中に「法華経」とすればいいのに、「白蓮のように最も優れた正しい教え」と自身の訳を繰り返し使っていて大変気に入っていることがうかがえる。
法華経の成り立ちから経典の内容まで、丁寧に解説してくれている。著者が法華経を敬う姿勢の顕れだ。
「思想としての法華経」「ほんとうの法華経」も合わせて読むといいだろう。
Posted by ブクログ
◯訳のおかげで、読みやすくなっているとはいえ、解説が無いと理解が難しい内容。しかし、お経について知る機会はあまりないため、大変興味深かった。
◯維摩経は物語としての展開がある分、頭に残りやすいが、法華経は難解な思想書の様相であり、お経特有の繰り返しや、過剰な賞賛によって本質も取りにくい。
◯法華経自体に後年付け足しが行われた形跡があるという点については、自らの信仰を正当化する意図なのか、不純な印象を受ける。
◯しかし、それら全てを包含し、あまねく法華経を授持する全てのものが救われるとする思想こそは、まさに仏教における宗教改革であり、実に興味深い。
Posted by ブクログ
なかなか恣意的に紙面を選び出しているようで、私が確認しただけでも従地涌出品の、「なぜこんなにも多くの菩薩が出現することができたのですか?」「それはあらかじめ仏陀の教えに触れたことのある善男子たちが仏陀に教育されたので染み入るように理解できるのである」等のエリート主義的な記述が省かれている。縮訳版ではなく、全文、できれば梵漢和比較版で確認すべきである。