芹沢一也のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
GDPのG、つまりGROSSには、資本減耗が加味されていない。一人当たり実質GDP額が420万円だとすると、これは生産活動による額だが、年収はここから減価償却を1割減らし、370万円が平均という事になる。これは計算を単純化した図式であって、GDPは、本来付加価値、つまり仕入れと売りの差益である。差益は、給与と内部留保になり、経済成長しても、企業が儲けるだけで、賃金が上がらない事もある。
中盤、経済学を切り口にっていう事で期待したが、湯浅誠や赤木智弘の人選によるものか、貧困を如何に減らすかという格差是正に対する政策論が目立つ。この手の話の究極は、自己責任論をどのように設定するかだ。
マクロ経 -
Posted by ブクログ
ネタバレ題名の通り「経済成長が必要なのはアタリマエだ」という前提で書かれている。この場合の経済成長は、いわるゆ戦後の高度経済成長やバブル景気といったレベルではなく、ゆるやかな、年2%程度の、それこそ普通の先進国が普通に成し遂げているものをさしている。
統計などの数字で裏付けしつつも、読者には「数値を読み取る」といったことを強要せずに、きちんと言葉で説明しているのが好感。
白眉なのは湯浅氏との対談で、同氏の運動の“戦術”である「うしろめたさ票を確実にとりにいく」という言葉を引き出したくだりか。
その一方で、話の内容に出ている経済概念、つまり「新自由主義」の意味やその論者・フリードマンやハイエクなど -
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「少子化」「福祉」「失業」「格差」「貧困」そして「生存」という,バックグラウンドにあるテーマ.
私は,個人的にもこれらの問題の早期解決を望んでおりますが,
いわゆる「日本」という体質が今後,
日本の景気回復・経済成長,
利益の適切な再配分,
適切公正な制度改善,
企業や社会の体質改善・・・
を
阻みつづけてしまうのか,
本当にこれらの問題を解決しようという意思はあるのか.
支持されない層,数が少ない層の声は無いように扱われてしまうのか
「個人の問題」に落とし込まれてしまうのか.
ともすれば,「希望は戦争」になってしまうのか,
すこし古い本なのですが,
社会経済(またはそれに近い思考法)の -
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”人はなにもしなくても慣れやコツの会得により2%くらいは年々成長していく。そのままでは従業員100人を必要としていた企業は翌年98人で事足りることになる。だから経済成長をしなければ失業が増えてしまうのだ”
慶応義塾大学で現代社会論を教えている飯田泰之さんが、エコノミストで戦後の成長を見続けてきた岡田靖さん、希望は戦争というフレーズで一躍有名となった赤木智弘さん、反貧困運動の代表格である湯浅誠さんとの対談をまとめた書。
物凄く「分かりやすく」書かれているのは感じるが、私には「分からな」かった。本書に出てくる人はみな経済学を学んでおり(飯田さんは自身を経済ド素人だと言っており謙虚である)、学ん -
Posted by ブクログ
日本の貧困問題について、経済学の立場から切り込んだ本です。
この本を読んで、自分が経済学についてわかっているようでわかっていないこと実感。
いろいろな政策がある中で、経済的合理性の視点で確認する必要があることを感じました。
それと正規・非正規問題では、正規の雇用条件を悪く(解雇しやすくする)方向での解決策を考えていたけど、それでは受け入れられないから、他の方策を検討すべきというのは示唆に富んでいると思う。
それにしても、贈与税や相続税減税は消費を減退させるって本当かな?大前研一さんも主張しているぐらいだから消費の活性化になると思っていたんだけどね~ -
Posted by ブクログ
タイトルそのものの答えは、「日々社会は進歩→新しい価値を生み出さないと人が余る→成長そのものが社会を支えるために必要」というとこでしょうか。やっぱり少し詭弁かなと感じてしまう…
Anyway, コーディネーターの経済学者が私より若いことに驚きました。キレのある文章を書くなー。論理構成やスタンスは賛同できますが、あらまほしき社会像というのはやはり個々違うのかな。
それから、「年越し派遣村」を主催した湯浅誠さんのインタビューは面白かったです。単なる活動家ではなく、思想背景の部分や現実の戦略に落とし込む際の葛藤(「いかに中流階層に共感してもらうか」)などを垣間見ると、優れた人なんだろうなぁと思いまし