水生大海のレビュー一覧
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女性ばかりの大仏ホーム経理部の中でも、ちょっと浮いた存在である天野ゆいか。彼女は他の人のようなコミュ力やOLっぽさはないが洞察力が鋭く、人と話をしているうちに意外な真相を見抜くことも多いのだった。
女性主人公の「安楽椅子探偵」をグルメに絡めてやりたかったんだな、というのが凄くわかる反面で天野ゆいかのキャラクターがどうにも、文章だけで読んでいくと、他の人に対してあんまり気遣いができないただの理屈っぽい不躾なヤツじゃん的な、初っ端からあまり好きになれずという感じだった。
扱う事件が、ちょっと(一般人の思考とはズレもあるような)妙な理論じみたテーマのことも多く、会話と食事の途中でゆいかが、謎が解け -
Posted by ブクログ
前作同様星3つ。1~3月期でTVドラマ化されたストーリーも含まれていましたね。TV版ではゆいかの過去に隠された謎があって、それを解き明かすという展開でしたが、あれは原作にはないTV版用のオリジナルであったことが、この本を読むとわかります。
で、本作ですが、物語の構成は前作と同様、ランチ合コンで出会う相手から謎を聞き出し、それを解明するというもの。謎にまつわる諸々が現場の描写としてではなく、合コンに参加した男性からの口伝であるため、状況把握にそれなりに気を取られてしまい、ストーリーを楽しむ余裕をちょっぴり奪っているような気がします。
また合コン参加者のセリフもどれが誰のものか、わかりづらいと -
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Posted by ブクログ
TVドラマ化決定と書かれた新聞広告で知って読んでみました。OLが昼休みのランチ合コンで謎解きするという構成は新鮮といえば新鮮ですね。「昼休み」という時間的制約があるからか、掲載されている短編はいずれもテンポよく話しが進みますし、読みやすかったです。
ただその反面、話しの舞台はランチのレストランに限定されており場面転換がなく、また謎解きのネタそのものも”小粒”なものばかりです。この点については読者の好みがわかれるかもしれません。
唯一ぬいぐるみの話しだけは実際に現場へ行ってみる、という展開が待ち受けており、「おっ、それで実際はどうなっているの?」と先が気になる出来栄え、他の話しは可もなく不可もな -
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帯に惹かれて購入。
終始、重たい気持ちで読んでいました。
登場人物のほとんどが、闇を持っているんじゃないかと思うくらい、いい人がそんなにいませんでした。
20年前の事件だけでもお腹一杯なのに不倫やら、嫉妬やらドロドロした事柄がふんだんにあるので、良い意味で不愉快な気分になり、面白かったです。
物語の構成としては、主人公の朱里の視点と刑事の憲吾の視点が交互に進行していきます。
「あなたは犯人を見破れるか。」というキャッチフレーズで、予想もつかない犯人と宣伝されていますが、色々警戒していた分、あまり驚きはありませんでした。たしかに予想はつきませんが、最後の方で、色々な真実が登場してきて、それまで -
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働く女性を応援するお仕事アンソロジー第2弾。
今作はガッツリ仕事をしている女性ではなく、自分の仕事に悩む主人公が多い。
スイミングインストラクター、宅配ピザ店店長、遺品整理会社の社員など、自分の生活には馴染みのない職業が多いことから、今までのように「分かる!」と共感出来る箇所は少なかった。
唯一、社労士の話は長編で読んでおり、作品そのものは知っていたが、あまり主人公が好きではなく…今作でも、やはり好きになれなかった。
ミステリーやファンタジーの要素も多かった第2弾だけど、やはり最初に読んだ第3弾が一番面白かった。
ぜひ、この企画またやって欲しい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ小学生の5人の危険な好奇心が巻き起こした一つの事件。その過去の事件を巡る青春ミステリ。それぞれの視点による口語調を交えた軽めの文体だが、内容はややリアル寄りであり、起こした事件そのものではなく、事件の爪痕が残した現代への影響が話の主軸になっている。事件が現在進行形ではなく、過去に起こした事件(読者にとって既知の情報)が周囲に発覚するという体裁を取っているため、前半の小学生パートに比べ、本編の高校生パートはややスリルに欠ける部分がある。その代わりというわけではないが、高校生の造形はかなりリアル。男子はやや幼く愚かで、女子は少し大人びているように描かれており、スクールカーストの描写も見事。特に主人