隆慶一郎のレビュー一覧

  • 吉原御免状
    長年の積ん読本。片付けものをしていて、ふと手にとって2,3ページ読んだら、止められなくなった。
    吉原で剣豪で、となれば、色恋にチャンバラに、基本、男性向け娯楽本なのか?とどこかで思っていたのだが、一筋縄では行かぬ、力技の怪作だった。
    こういうジャンルの本を数多く読んでいるわけではないので、感想がどれ...続きを読む
  • 死ぬことと見つけたり(上)
    全2巻。
    絶筆。
    ぎゃー。

    日本が誇るベストセラー、
    武士道の代名詞「葉隠れ」を生んだ、
    佐賀鍋島藩の武士達の話。

    あいかわらずキャラが良い。
    ニヤニヤが止まらない。
    猿とか熊狩りとかのエピソードが好き。
    文中で主人公達が泣きそうになると
    自分も泣きそうになる。

    上巻は文句無し。
    下巻で若干1...続きを読む
  • 吉原御免状
    理由もなく歴史物を敬遠していた私が勧められて初めて手にとった「歴史モノ」。結果から言うとものすごく面白かったです。夢中になって読んで、次の日には財布を握り締めて本屋のはしごをしていました。
    この人の作品はどれも、大胆な切り口と暖かいものの見方で、史実ではないにしろ、ここに真実があると思わせてくれるロ...続きを読む
  • 時代小説の愉しみ
    エッセイ集。
    織田信長の評論なども確かに面白いんですが、それ以上に、「救急車をタクシーと思うべし」や「教える罪」など、作者本人の語りの方が、隆慶一郎作品っぽくて良かった。
  • 一夢庵風流記
    作者の「こういう男をかっこいいっていうんだよ!」という声が聞こえそうな作品。歴史小説、というより戦国ロマンだなあと思いました。
    前半の利家や秀吉とのエピソードや終盤の会津でのシーンなど、伝承に基づいて、ある意味作者が縛られて書いた部分こそ、命がけの逆風の中で悠々と傾く慶次郎がかっこよく、逆に自由に想...続きを読む
  • 死ぬことと見つけたり(下)
    20100829
    軍国主義のバイブルともいえる「葉隠」に取材していながら、著者自身の戦争体験に基づく葛藤を経て、痛快な人間賛歌の物語へと昇華した本作。杢之助・求馬ら主人公の生き様が実に格好良く、すがすがしい。著者急逝により未完の作となったのが惜しまれる。というか本当に続きが読みたいです。一応巻末に、...続きを読む
  • 鬼麿斬人剣
    鬼麿強い。松永誠一郎に次ぐ厨キャラ。

    隠れた名工山浦清麿の弟子鬼麿が、若い頃の師匠が金に困って作ってしまった数打ち(量産品)の刀を折る旅に出る。意地を張って頑として刀を渡さない老武士、戦いの中でなら折ってもいいという剣客、露骨に値をふっかける悪党など、様々な持ち主達を自作の大太刀「古釣瓶」でバッサ...続きを読む
  • 死ぬことと見つけたり(上)
    作者の隆慶一郎さんは本当に大好きな作家さんの一人でした。私の住む地方新聞の夕刊に掲載されていた「影武者徳川家康」を読んだ時からの大ファンです。「武士道とは死ぬことと見つけたり」という言葉は死を肯定しているかのように聞こえるかもしれませんが、私は「武士道」とは「生き方」なのではないかと考えます。
    前の...続きを読む
  • 死ぬことと見つけたり(下)
    おもしろかった。願わくば最後まで佐賀藩の行く末を見たかった...隆先生の冥福を祈ります。
    佐賀県民であることを誇りに思える瞬間でしたね。
  • 死ぬことと見つけたり(上下)合本版(新潮文庫)

    つくづく残念・・・。

    隆慶一郎氏の著作は素晴らしい作品ばかりなのですが(当然本書も!)、もう一作の、『花と火の帝』同様大変残念な事に《未完の絶筆》なのです。
    元々は映画の脚本家として活躍された方で、小説家デビューの時点でそれなりの御歳でしたが、早逝された為に本当に愛読者としては残念至極な事なのです。

    この点は大事な事な...続きを読む
  • 死ぬことと見つけたり(下)
    光茂にイライラする為、上巻の方がスッキリ読めた。

    それにしても未完だったとは…
    続きが気になってしょうがない。
    先生の他の作品や司馬遼太郎なども読んでみようかな。
    しばらくは漢の時代小説でも読んでみます。

    七光りの光茂との吉原喧嘩
    男二人の生き様が武士。
    これ以上は言葉にすると陳腐なので辞めとき...続きを読む
  • 吉原御免状
    宮本武蔵に預けられ、武蔵の死後も遺言を守り26歳になるまで修行を続け、遺言を守り江戸に出てきた主人公。

    武蔵直伝なので、剣の達人。

    吉原遊郭で起こる柳生との争い。
    そして世良二郎三郎(家康の影武者)との密約。

    デビュー作だが、すでに作者の中では「影武者 徳川家康」の構想ができていたと思うと小説...続きを読む
  • 影武者徳川家康(上)
    家康yearにふさわしい
    関ヶ原で替玉家康になった二郎三郎の話なんだけど妙に説得力があって面白かった。
    ほとんど忍者小説な気もする。そして秀忠が嫌な奴すぎる。その秀忠の先手をいく二郎三郎が痛快。
  • 新装版 捨て童子・松平忠輝(下)
    隆慶一郎最後の長編「捨て童子・松平忠輝」。上中下全三巻の下巻。

    読み終えてまず感じたことは、隆慶一郎は秀忠のことが嫌いなのではないか、いや嫌いだろう、ということ。「花と火の帝」と同様に悪役に配置された秀忠。彼の悪辣さが酷い。まずは秀忠を悪役にすることを決めてから書いているのではないか、と思うほどに...続きを読む
  • 新装版 捨て童子・松平忠輝(中)
    隆慶一郎最後の長編「捨て童子・松平忠輝」。上中下全三巻の中巻。

    生まれ持った性質が曲がらずに、とにかく最大の成長曲線を持って成長した忠輝。
    彼の境遇を鑑みると、これは奇跡でしかないのではないか。

    読み終えたトータルの感想は下巻で。
  • 新装版 捨て童子・松平忠輝(上)
    隆慶一郎最後の長編「捨て童子・松平忠輝」。上中下全三巻の上巻。
    家康の第六子に生まれたが、容貌魁偉なために「捨てよ」と言われた鬼っ子の忠輝の生涯。

    感想は下巻で。
  • 一夢庵風流記
    天下の傾奇者前田慶次郎の一代記。慶次郎の傾奇くスケールの大きいこと!身近にいたら理解できない奴なのだが、脇役の描き方含めて隆慶一郎は上手い。しかし前田慶次郎、共感しづらい男だ
  • 影武者徳川家康(下)
    本書三巻をやっと読み終える。後書きの解説に網野史学と谷川民族学を取り込み、村岡素一郎の「史疑徳川家康事績」から影武者説を起こし、父方の家系から繋がる漂泊の民への思いが、本書に結実したことを知りました。様々な史料との格闘から本書が成り立っていると理解しても、自分が期待した小説のエンターテイメント性には...続きを読む
  • 影武者徳川家康(中)
    上巻に次いで中巻を。家康の影武者が家康亡き後、家康にまごう程の政治、処世をするが、話しの筋に使い過ぎではないかと思うほど忍びが登場。若干、興が削がれる。下巻の展開を期待するしかない。
  • 新装版 柳生刺客状
    ドラスティックな事件を下敷きにする作品群の中で、「張りの吉原」は、情愛を軸に淡々と進むバランスが面白かった