鶴見太郎のレビュー一覧
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本来は「いつかはパレスチナの地でユダヤの国を作りたい」という、とても共感できる理想からはじまったシオニズム。かつて離散を経験し、各地で抑圧され続けてきたユダヤ民族が、結束してカナンの地に国を作るという野望が、イスラエルという国として実現されるというドラマチックな物語の背後で、その主義思想としてのシオニズムがどのように展開していったのかという興味深い内容。
2度の世界大戦を挟む激動の200年の間でシオニズムは様々な思想に分かれ、塗り替えられ、現在のパレスチナとイスラエルの対立構造に陥ってしまう。その過程と因果関係が非常に精緻な文章で語られており、ユダヤ民族の見方が大きく変わった。
わたしたち -
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アブラハムに始まり、現代のイスラエルとガザの戦い、そしてウクライナ・ロシア戦争まで広範な時代を豊富な情報に満ちていて、ユダヤ民族史を知っているつもりの私にも目が開かされる驚きだった。特に中世でのユダヤ教とイスラム教の親しかった時代、むしろキリスト教よりもこの2つの宗教の親和性があったのは、確かにそうかも知れない。ナチスドイツのホロコーストは主犯格ではあるが、ポーランド、ウクライナなどでのポグロムなどのユダヤ人虐殺などの背景があったにも関わらず、ナチスにすべての罪を被せて追及されずに現代に至っている!なんとドイツ敗戦後の1946年7月にもポーランドでポグロムが起こっていたらしい。ロシアでのユダヤ
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3000年におよぶユダヤ人の歴史をコンパクトにまとめた一冊である。コンセプトは「組み合わせ」。国を持たないユダヤ人たちは、それぞれが住む国で「国の法は法なり」としてその国の法律に従う一方で、自分たちの宗教とその律法を守り続けてきた。そして、ユダヤ人集団が社会の中で適合する位置を探り続けてきたというのだ。しかし、それは宗教と自分たちの文化を守るが、条件が変わるとほかの集団からたやすく攻撃される立場である。貴族と結びついて徴税を請け負う仕事をしていたポーランドでは、農民の恨みを買いポグロムを招き、それはホロコーストにもつながった。しかし、今のイスラエルは、国際社会の中で最適な位置を探ろうとしている
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2021年7⽉12⽇のウラジーミル・プーチン「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」(⼭形浩⽣ 訳/以下「プーチン論文」という。)に抗して読んだ。/
(1)《ロシア⼈とウクライナ⼈は⼀つの⺠なのだと述べた》(プーチン論文)/
プーチン論文では、ホロドモールについて、次のようにふれている。/
《1930年代初期の集産化と飢餓という共通の悲劇はウクライナ人の虐殺として描かれる。4》/
《4 訳注:いわゆるホロドモールのこと。⼤規模不作による飢饉で⾷料徴発と「富農」弾圧が⾏われたときにはウクライナが特に標的とされ、農業の基盤そのものが破壊された。飢餓の推定死者数も圧倒的にウクライナ⼈ -
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[ 内容 ]
民間習俗の由来を調査するに止まらず、研究成果を援用し、現在の生活を改善しようとした柳田民俗学。
だが現代社会で、柳田の姿勢は失われつつある。
「家」「モヤヒ」「故郷」「憲法」「伝承」などの領域で、研究者、画家、作家たちが展開した民俗学の具体例を広く取り上げ、柳田民俗学の実践的な課題を近現代史のなかから掘り起こす。
柳田民俗学が本来目指したものとは何か。
その答えと可能性を追究する一冊。
[ 目次 ]
第1章 『遠野物語』再考
第2章 家
第3章 民俗学が生む“方法”について
第4章 思想への態度
第5章 生活から生まれる論理
第6章 “モヤヒ”の思考
第7章 座談が捉えた思想像 -
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[ 内容 ]
柳田国男は、歿後四〇年を過ぎても、いまだに日本の学問・思想界に絶大な影響力を保っている。
しかし、彼が独力で開拓したと言っても過言ではない民俗学は、その後、独創的な継承者を得られず、彼一代の学問として燦然と輝いているのである。
本書は、民俗学の黎明期にあった柳田の詩的な精神が、民俗学者ではなく、むしろ異分野の研究者、思想家、作家などに受け継がれていった経過を、丹念に追跡する試みである。
[ 目次 ]
第1章 柳田がみずからを語る―神秘体験、その他
第2章 郷土会
第3章 柔軟な組織について
第4章 周辺の人々
第5章 古希に集う
第6章 読者群像
第7章 実践者のゆくえ―橋浦泰 -
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話題の本ということもあり読んでみました。
冒頭に、ユダヤ人の捉え方として「主体」と「構造」から考える必要があると書かれていましたが、これに加えて「意図」と「解釈」も重要な軸ではないかと思いました。
ユダヤ人がユダヤ人として生きていくため、与えられた「構造」の中で、彼ら彼女らの正義や合理性に基づいた「意図」をもって「主体」として行動するわけですが、それが新たな「構造」を生み出し、その「構造」が、まわりの人々に、「意図」とは異なる「解釈」を生み出す。
その結果、ユダヤ人が差別の対象となり、さらに新たな「構造」が生まれる。
そして、差別を克服すべく、ユダヤ人は新たな「意図」のもと、「主体」として次 -
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日本人の多くは、ユダヤ人について”アンネの日記”程度の知識しか持ち合わせないのだと思います。私もその一人。
そもそも、ユダヤ教とキリスト教の関係性からして理解していませんし、そこにゾロアスター教などというものが入ってくると、もはやオカルトや悪魔祓いな世界。
なんとか通読はできたのですが、正直、字面を追うのが精いっぱいで、特に、中世の欧州周辺の超複雑な栄枯盛衰は、悲しいくらい頭に残らない。
それでも、特定の領土を持たないユダヤ人な人々が、各時代、各場所で適応しながら生きながらえ、シオニズムの流れが今のイスラエルに結実するまで、激動や混沌を生き抜いたことはなんとなく理解できました。
読後、 -
Posted by ブクログ
映画ファンなのでさまざまなホロコーストに関する映画や、スピルバーグの『ミュンヘン』なんかを何となく観てきちゃったが、改めてユダヤ人について知ろうと読んだ。もちろん現在進行形のイスラエルの暴走についても興味があった。
ユダヤ人は宗教と民族の混在した類稀な集団であり、その中には信仰の度合いや政治的指向の異なる人がいると。
『国の法は法なり』という精神からイスラエル暴走の理由が垣間見える。
古代から現代までの歴史をユダヤ人にフォーカスして読むことは特別な体験であったが、とにかく読みづらい…。なんとなく知れた、くらいの達成感。引き続き注視していきたい。