鶴見太郎のレビュー一覧
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2021年7⽉12⽇のウラジーミル・プーチン「ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について」(⼭形浩⽣ 訳/以下「プーチン論文」という。)に抗して読んだ。/
(1)《ロシア⼈とウクライナ⼈は⼀つの⺠なのだと述べた》(プーチン論文)/
プーチン論文では、ホロドモールについて、次のようにふれている。/
《1930年代初期の集産化と飢餓という共通の悲劇はウクライナ人の虐殺として描かれる。4》/
《4 訳注:いわゆるホロドモールのこと。⼤規模不作による飢饉で⾷料徴発と「富農」弾圧が⾏われたときにはウクライナが特に標的とされ、農業の基盤そのものが破壊された。飢餓の推定死者数も圧倒的にウクライナ⼈ -
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[ 内容 ]
民間習俗の由来を調査するに止まらず、研究成果を援用し、現在の生活を改善しようとした柳田民俗学。
だが現代社会で、柳田の姿勢は失われつつある。
「家」「モヤヒ」「故郷」「憲法」「伝承」などの領域で、研究者、画家、作家たちが展開した民俗学の具体例を広く取り上げ、柳田民俗学の実践的な課題を近現代史のなかから掘り起こす。
柳田民俗学が本来目指したものとは何か。
その答えと可能性を追究する一冊。
[ 目次 ]
第1章 『遠野物語』再考
第2章 家
第3章 民俗学が生む“方法”について
第4章 思想への態度
第5章 生活から生まれる論理
第6章 “モヤヒ”の思考
第7章 座談が捉えた思想像 -
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[ 内容 ]
柳田国男は、歿後四〇年を過ぎても、いまだに日本の学問・思想界に絶大な影響力を保っている。
しかし、彼が独力で開拓したと言っても過言ではない民俗学は、その後、独創的な継承者を得られず、彼一代の学問として燦然と輝いているのである。
本書は、民俗学の黎明期にあった柳田の詩的な精神が、民俗学者ではなく、むしろ異分野の研究者、思想家、作家などに受け継がれていった経過を、丹念に追跡する試みである。
[ 目次 ]
第1章 柳田がみずからを語る―神秘体験、その他
第2章 郷土会
第3章 柔軟な組織について
第4章 周辺の人々
第5章 古希に集う
第6章 読者群像
第7章 実践者のゆくえ―橋浦泰 -
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話題の本ということもあり読んでみました。
冒頭に、ユダヤ人の捉え方として「主体」と「構造」から考える必要があると書かれていましたが、これに加えて「意図」と「解釈」も重要な軸ではないかと思いました。
ユダヤ人がユダヤ人として生きていくため、与えられた「構造」の中で、彼ら彼女らの正義や合理性に基づいた「意図」をもって「主体」として行動するわけですが、それが新たな「構造」を生み出し、その「構造」が、まわりの人々に、「意図」とは異なる「解釈」を生み出す。
その結果、ユダヤ人が差別の対象となり、さらに新たな「構造」が生まれる。
そして、差別を克服すべく、ユダヤ人は新たな「意図」のもと、「主体」として次 -
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日本人の多くは、ユダヤ人について”アンネの日記”程度の知識しか持ち合わせないのだと思います。私もその一人。
そもそも、ユダヤ教とキリスト教の関係性からして理解していませんし、そこにゾロアスター教などというものが入ってくると、もはやオカルトや悪魔祓いな世界。
なんとか通読はできたのですが、正直、字面を追うのが精いっぱいで、特に、中世の欧州周辺の超複雑な栄枯盛衰は、悲しいくらい頭に残らない。
それでも、特定の領土を持たないユダヤ人な人々が、各時代、各場所で適応しながら生きながらえ、シオニズムの流れが今のイスラエルに結実するまで、激動や混沌を生き抜いたことはなんとなく理解できました。
読後、 -
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映画ファンなのでさまざまなホロコーストに関する映画や、スピルバーグの『ミュンヘン』なんかを何となく観てきちゃったが、改めてユダヤ人について知ろうと読んだ。もちろん現在進行形のイスラエルの暴走についても興味があった。
ユダヤ人は宗教と民族の混在した類稀な集団であり、その中には信仰の度合いや政治的指向の異なる人がいると。
『国の法は法なり』という精神からイスラエル暴走の理由が垣間見える。
古代から現代までの歴史をユダヤ人にフォーカスして読むことは特別な体験であったが、とにかく読みづらい…。なんとなく知れた、くらいの達成感。引き続き注視していきたい。 -
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ユダヤ人3000年の歴史。
圧巻。
ユダヤ教とユダヤ人の関係。
宗教って複雑。
歴史の複雑さ、、著者言うところのめぐりあわせと組み合わせがすさまじく、
殆ど記憶に残らない。
唯一印象的なのは
アメリカのユダヤ人人口は600万人で、
これはイスラエルのユダヤ人人口700万人に続くということ。
これじゃアメリカはイスラエルを指示せざるを得ないわな。
酷い話だ。
いっそイスラエルをあきらめ、全員アメリカに行ってくれれば、
どんなに世界が平和かと思うが、
そうはいかないのがあの聖地ということなのだろう。
だからと言ってガザ市民を殺戮していいわけはないのだが、、、
宗教の力なのか?わけがわからない -
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ユダヤ人3000年の歴史を一冊にした本でわずか半年程度で重版を重ねているので読んでみました。確かに3000年もの歴史を一人で記述するというのは困難なことであるため、卒業論文のような未消化でざらついた部分があったが、なんとか読み下すことができました。ユダヤ人にもスペインのユダヤ人を起源とするスファラディームとポルトガル貿易に関わってオランダやドイツに流れたユダヤ人であるアシュケナジーム、そして東方系ミズラヒームなどの区分がある。そしてユダヤ人は世界史の多くの場面で大きな役割を果たしてきたこと。ホロコーストの犠牲者がドイツでは16万人であったのに対して、ポーランド300万人、ソ連100万人もの犠
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悲惨なニュースが続く国際情勢。
パレスチナ問題とは?イスラエルとは?と都度調べていたものの、かつて日本史選択だった私にはピンとこない事柄も多く、折良く出版された本書で勉強することにしました。
本書のはじまりは紀元前1220年から……ということで、3000年かけてユダヤ人の足跡を追っていく、途方もないつくりとなっています。
旧約聖書のあたりは以前読んだ阿刀田高先生の「アイヤー、ヨッ」を思い出しつつ、じっくりとその流れを辿っていきました。
教科書的な記述が多く、もう少しコラム的な内容があれば楽しく読めたのに……とこれは少々残念な点。
ただ、「むすびに」で紹介された現代のユダヤ人については初めて知 -
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この本を読み終わって数日経過したところで、連日、イランとイスラエルの争いがテレビで報道されています。報道の映像をみるたび、頭の中で繰り返しTHE BLUE HEARTSの「青空」が流れます。この本を読まなければ、恐らく脳内のTHE BLUE HEARTSも流れないし、ニュースに目も止めていなかったと思います。「意識していなかったものを意識するようになる」、やはり読書という行為は、素晴らしいものだと改めて思いました。
理系なので、全体的な世界史の流れには疎く、読みづらい部分も多々ありました。ただ、ホロコーストの話を読むと、何だか胸が締め付けられるような想いになります。
ユダヤ人と聞くと、アン -
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イスラエルにもユダヤ人にもロシアナショナリズム等に詳しくない自分には難解な部分も多かったけれど、イスラエルの国民性がどういう流れを辿ってきたのか、うっすらと輪郭を掴むことができた。
ディアスポラ、ポグロム、ホロコースト、シオン主義、福音派、そういった人々が世界に散ったことでむしろ結束が強まる一面があったこと。
ガザの戦争がなかったら一生知る機会のなかったことかもしれない。
⚫︎あらすじ
ハイテク産業で鳴らしているイスラエルは、軍事力が高く、好戦的な国としても知られてきた。なぜか。一般には、あるいは今日のイスラエル人自身にとっても、ホロコーストを二度と繰り返さないためにそうなっているという説 -
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ウクライナの地域とそこに生きてきた人々の歴史。物語風に書かれており読み易い。事件がウクライナのアイデンティティにどんな影響を与えたか、ウクライナ人・ユダヤ人・ロシア人といった住民達が何を経験したかにフォーカスしており今出版されるべくしてされた本だと思った。
上巻は20世紀初頭まで。フルシチョフ・ブレジネフ・ゴルバチョフのファミリーヒストリーを通じて19世紀後半のウクライナ/ロシアの移住事情が語られるのが面白かった。
ただ、一部の例外(ブレスト合同とかコサックとか)を除いた個別の事件や周辺国の状況についての記述に乏しく、また地図もないのでロシア史・ポーランド史が何となくでも頭に入っている人でない