岩崎育夫のレビュー一覧
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とっても短いシンガポールの歴史を、
主に政治、経済成長の観点からまとめた一冊。
シンガポール在住の筆者ということもあり、
歴史事実の背景からしっかり調べてあって、
なぜシンガポールが東南アジアでも独特の国として、進化を遂げ、東南アジア随一の経済先進国としてなったのかが、背景からよくわかる。
筆者のいうとおり、
ひとりあたりGDPで日本を上回る経済成長が実現できたのは建国者であるリークァンユーの力によるものだが、その代償も小さくはなかったということもよくわかる。
筆者が最後にシンガポールはまだまだアイデンティティを模索中の国だとまとめている。
今後若い世代を中心として、
新しいシンガポールの姿を模索する動きも出てきており、良くも悪くも実験国家として、まだまだシンガポールという国もおおきく変わっていくのだと思う。
シンガポールの歴史の全体感を理解する上でこの上ない一冊。シンガポールに興味があるすべての人に。 -
Posted by ブクログ
ラッフルズがインド・中国の貿易の中間点で、便利な港として「発見」したジャングルの島が、イギリス植民地、日本占領時代を経て、マレーシアの一部になるも追い出され、「誰にも祝福されない」独立を成し遂げてから、いかにして水も資源もない小国が今の経済発展を成し遂げていったか、ということを分かりやすく解説する本。
イギリスの分割統治の話(p.21)や、日本占領時代はナショナリズム意識を生むための「膨大な犠牲を払った学習機会」(p.56)としても捉えられる話なんかは納得だった。本書にも書いてあるが、シンガポールに行って、国立博物館の展示を見ていて思ったが、日本占領時代は苦難の時代だけれども、イギリス植民地時代はとても良いものとして描かれているのが印象的だった。
今の旅行者の目に映るシンガポールからは想像もできない独裁が行われていたというのは驚きだった。例えばインド人弁護士のジャヤレトナムという人(p.100)は、1980年代に国会で不適切な言動を行ったとして潰されてしまったし、2011年ですら「野党の立候補届けが受付時間を三〇秒ほど超えたため立候補を認められなかった」(p.209)ということがあったらしい。「野党候補者を選んだ選挙区の公共住宅修繕を後回しにする」(p.208)というのもあったらしく、すごい独裁だなと思った。北朝鮮という国が近くにあるだけに、これくらいのことなら大丈夫なのかなあとか思う。
シンガポールには宗教はないが、あるとすれば「プラグマティズム」というのは、恐ろしいというか、その中で生きていく人は大変だろうなあと思う。例えば「成績の悪い者には、これ以上の教育は無駄という『効率』が、教育でも原理とされている」(p.120)なんて、恐ろしい。「生存のための政治」をせざるを得ない状況がそうさせているのだということがよく分かった。(16/07/29) -
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2016/2/10
シンガポールの改革を進めてきたリー・クアン・ユーの一生のような本。
・極めて合理的な政策により経済成長してきた反動で、この国では文化・宗教といった経済以外の教養が忘れられている。
・リー・クアン・ユー時代の人民行動党はこれまで野党の勢力が少しでも拡大すると厳しく弾圧してきた。
・ゴー・チョク・トンやリー・シェンロンの時代になり、自由な言論が許されるようになってきたこともあり、海外誘致の姿勢により国内を顧みてこなかったつけが回ってきている状況。
今後の舵取りは、経済成長一辺倒であった10年前よりも、遥かに難しいだろう。
資源をもたない経済大国シンガポールの今後の動向は今後も注視していくつもり。 -
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一人当たりGDPで日本を抜き、アジアでもっとも豊かな国と言われるシンガポール。本書では、シンガポールの英国植民地時代から現代に至る200年の軌跡が描かれている。筆者も文中で述べているように、政治・経済に重点が置かれている面はあるが、そちらの分野に興味がある私にとっては良かった。リー・クアンユーというカリスマ政治家がいかに現在のシンガポールを築き上げたのか、その手法についての解説が非常に興味深かった。経済至上主義で発展を遂げてきたシンガポールでも、民主化の動きが起こるのか。人民行動党の一党独裁はいつまで続くのか。今後もシンガポールから目が離せない。
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ネタバレ内容的には、マクニールの時のような感動はなかった。
巻末の引用文献集の中に次に読みたい本が何冊かあったのは良かった。
優位勢力の考え方は著者のオリジナルではないのかもしれないが、それに基づく世界史の整理は面白かった。
内容も各論は飛ばして、極めて概論的なことにしか触れていないので、世界史の知識が無くても問題ないし、
知識が少ない状態で読んだなら、各時代の世界史の中心を意識できて、世界各地の歴史の連動を掴みやすい(歴史を地域と時間の二次元が複数ではなく、空間(世界的な広がり)と時間の三次元で掴める)かもしれないと思った。
最終章の、次の優位勢力(今後の世界)については著者とは完全に意見を異にしている。
著者の並立の世界観は間違っており、・・というより、著者の考え方ではこれまでの優位勢力の考え方を全く踏襲していないと言え、これまでの内容は何だったのか(自分でまとめた内容を理解できていないのか?)となった。
著者の考え方は新たなパワー(技術的ブレイクスルー)の登場を全く考慮に入れておらず、現在の状況が質的には変化しないと思っている。
これではこれまでの優位勢力の奢り(?)と一緒ではないか。観察者たる研究者が同じ穴にはまってどうする。
「陸→海→空と来たら、次は宇宙だろう」と思っていた私としては拍子抜けで、とても残念な気持ちになった。
宇宙空間(まずは衛星軌道)を抑える事になれば、従来のパワーをより高空から抑えることとなる。宇宙空間からの地上攻撃能力があれば、核を搭載した弾道弾でも発射直後に敵の国土内の地表近くで爆発させることもできる。
他国の打ち上げを宇宙からの攻撃により不可能にする事もでき、人工衛星を使ったシステムもすべて手中に収めることが出来るので、衛星軌道を掌握すれば次の優位勢力への道が開けるだろう。
そういった考えから、次はスペース(サテライト)パワーの時代だろうと私は考える。
旧来のパワーが"地球を狭くする"方向で動いていたのとは別の要素が現れてくるだろう。人類は地球を飛び出そうとしているのだから。
現在、宇宙探査に力を尽くし、猛烈に成果を上げているのは中国である。先行するアメリカを猛追しているのは間違いない。次世代の優位勢力は資源的にも恵まれ、単独でマンパワーも内需もすさまじい中国かもしれない。
また、
衛星軌道、月での争いが膠着すれば、次は太陽系内の資源探査、宇宙での大航海時代・他惑星での植民地争奪が起きるだろう。
そういう意味では、サテライトオービットパワー、スペースパワー、やがてはディープスペースパワーへと遷移していくことになるだろうか。
自国に資源が無くても他惑星から供給できるならば地政学的なパワーバランスは崩れる一方、太陽系内で人間が安定して居住できるのは地球だけであるので地球の価値は変わらないはずだ。
人間の「楽をしたい」という欲望が完全に満たされない限り「皆で平等に」などという気持ちにはなるまい。「他人が苦労しても楽をしたい」のが人間の本質で利益がないのに「苦労をともにする」ことはあり得ない。
次のフロンティア(=楽の源)を探す駆動力は消えず、優位勢力に押し上げる力はよほど将来まで消滅しないと私は考えている。 -
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シンガポールの歴史と国としての簡単な紹介がコンパクトに纏められた一冊。ネットの記事とかで、日本より圧倒的に金持ち、教育レベルが高い、等の声をよく目にしてたので気になってこのタイミングで本を読んでみました。
で、感想ですが、やっぱり天国だけじゃないんだなと。まさに敏腕経営者が創設した毎年高利益を叩き出し続ける巨大企業そのものって印象でした。。。
ぶっちゃけゆとりが全く感じられない。そして予想以上な超格差社会、国民個人のアイデンティティがまさに経済生産能力で評価されてる感じで、トップに逆らったら絶対救われなそう......。
生産能力が低い僕の個人感想ですが、シンガポール、地獄っす。日本は一人当たりのGDPが高いアメリカ、シンガポールを目指すのではなく、デンマーク、フィンランドといった国を真剣に目指してほしい、マジで。 -
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ネタバレ[ 内容 ]
二〇世紀後半のアジア諸国の政治を眺めると、七〇年代に始まる開発独裁の時代と、民主化運動の爆発や民主的政権交替が起こった八〇、九〇年代との対照が際立つ。
なぜ、アジアに開発独裁政権が生まれ、その多くが八〇年代後半以降に終焉を迎えたのか。
「市民」はどのような役割を果たしてきたのか。
韓国、台湾、インドネシア、マレーシア、シンガポールの政治と社会の構造的変容を概観し、アジア政治の今後を展望する。
[ 目次 ]
序章 現代アジア政治への視点
第1章 韓国―軍事独裁から民主化へ
第2章 台湾―国民党一党独裁から政権交替へ
第3章 インドネシア―スハルト開発主義国家の崩壊
第4章 マレーシア―揺れるマハティールの開発主義国家
第5章 シンガポール―開発主義国家維持の懸命な努力
第6章 開発主義国家をめぐる問題
第7章 市民社会をめぐる問題
終章 現代アジア政治の行方
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☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
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☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
アジアの大半の国は第二次世界大戦後に独立したものだが、歴史文化、民族、宗教、産業・経済など実にさまざまで、同じタイプの国は一つもない。
しかし政治をみると、政治混乱が続く国、軍政や権威主義体制の国が少なくないし、民主主義体制の国も欧米諸国の民主主義とはかなり異なっている。
なぜ、アジアには政治が不安定な国や民主主義政治が歪んでいる国が多いのか、その原因は何か、今後どの方向へと進むのか、読者と一緒に考えてみたい。
[ 目次 ]
序章 アジア政治をみる眼(現代アジア政治の諸相;本書の分析視点と手法;分析視点の補足的説明)
第1章 開発体制を巡る問題(開発体制とは何か;アジア諸国の開発体制の実態;開発体制の特徴;アジアの経験にみる開発と政治の問題)
第2章 民主化を巡る問題(民主化とは何か;アジア諸国の民主化の実態;民主化の特徴)
第3章 民主主義を巡る問題(多様な民主主義論;アジア諸国の民主主義の実態;アジア諸国の民主主義の解剖)
終章 アジア政治の課題と展望(アジア諸国の課題と行方;アジアの新たな政治舞台)
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