無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
今や日本の一人当たりGDPを上回るシンガポールの歴史を記した本。イギリスの植民地としてスタートし、ラッフルズによる開発を通じて発展した。その後、第二次世界大戦中には日本軍の支配を受け、戦後はイギリスから独立するも、間もなくマレーシアから追放されるなど困難な状況に陥る。しかし、人民行動党とリー・クアンユーの強力なリーダーシップのもと、経済発展を最優先課題とする、いわゆる「シンガポール株式会社」として多様な施策が実行されていった。その結果、目覚ましい経済成長を達成する一方で、韓国・フィリピン・台湾などで民主化が進んだ1980年代末から1990年代にかけても、人民行動党による一党支配が維持され続けた点は興味深い。リー・クアンユー引退後、ゴーチョクトンやリーシェンロンの時代まで触れられている。ASEAN各国や台湾・香港等他の中華系国家とも違う道を進む同国の今後が気になるところである。
Posted by ブクログ
物語 シンガポールの歴史
エリート開発主義国家の200年
著:岩崎 育夫
中公新書 2208
おもしろかった。不思議な国家、シンガポールの成立と、その特徴を解説する本です
かって、マレーシアにコンピュータを出荷した際に、中継港であるシンガポールで戦略物資と勘違いされて、税関で捕まってしまい、1週間以上も納品に遅れたことを思い出しました。そのときも、マレーシアとシンガポールとの微妙な距離感を感じたものでした。
歴史
■シンガポールの誕生
もともと、マレー半島の南端にある島であり、海賊の棲みかであった、他には少数の漁民と、農民がいた
シンガポールとは、ライオンの街と言う意味である
インドを植民地化したイギリスは、中国をめざしたが、途中に中継ポイントが必要であった。
マラッカがポルトガル、オランダの手に落ちると、イギリスは、シンガポールに目をつけた。
1824年、イギリスは、シンガポールを植民地として契約した
イギリスは、地域交易拠点として自由貿易港とすると、世界中から交易船があつまるようになった。
そうすると、シンガポールには、中国人、インド人、ヨーロッパ人が移民してくるようになる
■イギリス時代(1824-1942)
・シンガポールには、日本人の遊女、からゆきさんも、585人もいた
・1824年には、1万人、81年には、14万人、1901年には、23万人と増加していく
・1901年には、中国人72%、マレー人16%、インド人が8%となる。これは、現在の民族比率に近い
■日本占領時代(1942-1945)
・シンガポールでは、1942年2月から1945年8月までの日本占領時代は、「3年8カ月」と呼ばれる
・日本はシンガポールを昭南島と呼び、恐怖の日本化政策を推し進めた
憲兵隊による横暴、高インフレ、密告、そして、住民の監視・管理、体罰が、日本占領時代である
・シンガポールでは、これまでは、それぞれの民族がそれぞれに生活をしていたのであるが、日本占領を機会に、国民という意識を持ち始めるのである
・終戦後、イギリスは、日本に対して、損害賠償を放棄したため、日本へは請求ができなくなってしまう。これを、血債問題という
■自立国家の模索時代(1945-1963)
・イギリスは、マレーシアから、シンガポールを切り出して、単独の直轄植民地とした。
それは、シンガポールが軍事的に極めて重要な地点であったこと、マレー人が華人の政治的影響を懸念したことにある
・シンガポールに住む、華人、マレー人、インド人、ユーラシア人を結び付けていたものは、現地でうまれたということ、そして、英語を話すということであった
・1949年、中華人民共和国が成立すると、対立するイギリスは、華人に中国とシンガポールとの往来を禁止した。それは、共産主義思想をシンガポールに持ち込まれて困るからである。
・華人の少数は、中国に引き上げ、残りの大多数は、シンガポールに残ることを決意する
・シンガポールには、華人グループ(中国的国家)、英語教育集団(イギリス的国家)の2グループが対立する
この2つのグループを、仲介し、シンガポールをまとめようとしたのが、リー・クアンユーであった。
・リー・クアンユーは、人民行動党を結党し、シンガポールを統一していく。1959年、英連邦自治州となり、完全内政自治権が付与され、人民行動党が政権を掌握した。
・1963年マレーシア連邦が結成されると、シンガポールもマレーシア連邦に加盟する
・しかしながら、華人とマレー人との民族暴動が発生すると、その原因は、リー・クワンユーであるとして、マレーシアは、シンガポールを1965年に追放、分離する
・こうして、シンガポールは単独都市国家として、誕生することになる。
■シンガポール国家(1965-2024)
【1】リー・クワンユー時代(1965-1990)
・経済活動で国家を運用する方針を定め、そのためには、公民が一糸乱れず実行する体制が不可欠であるとした。
・共産系労働組合、学生運動、メディアなどを解散させて、政府に協力するものに入れ換えた。市民社会運動にも、容赦はしなかった。
・議院内閣制、一院とし、首相が最高指導者となる。大統領は対外的に国を代表する象徴であり、実権はほとんどない。
・5年任期で、集団選挙区と、小選挙区との組み合わせ。被選挙権は、21歳で、投票義務を課し、正当な理由なくして、投票を行わない場合は、次回以降の選挙権を喪うなど、社会的な不利益を被る。
・シンガポールは、国民皆兵であり、徴兵制、50歳までは、予備役に編入され、定期的な軍事訓練にも参加する義務がある
・英国連邦は、シンガポールを防衛する義務があったが、遠隔地のため、シンガポールはアメリカに庇護を求めるようになる。
・ASEANとは、ベトナム戦争時に結成された、反共5か国の軍事同盟としてスタートしたのであった。
・教育制度は、選抜制である。優秀な学生は、奨学金を得て、政府の重要機関に登用されるが、学力のないものは、最悪、大学を受験する資格もない。こうして、優秀な人材の囲い込みに成功する。成績の悪いものは、これ以上の教育は無駄という考え方である。
・なぜ、シンガポールが、東南アジアの経済的拠点になり得たのか。
それは、経済開発庁(EDB)を設立したおかげである。
シンガポールに進出したい外資企業は、政府の様々な役所と個別に交渉を行うのではなく、EDB、1か所だけと交渉ができるだけとした。以後の各省庁との調整は、全て、EDBが行う仕組みである。
そしてもう1つ、100%の外資を認めたことによる。
こうして、シンガポールは、製造と、金融の二大産業を育成した。
・シンガポールの政府系機関は、3つ。中央官庁、開発公社などの準政府機関、そして開発銀行や、航空会社などの、政府系企業である。
・四大華人企業
リー・コンチェン一族 華僑銀行(OCB)
ウィー・チョウヤオ一族 大華銀行(UOB)
オー・一族 華連銀行(OUB)
移民四兄弟 ホンリョングループ
【2】ゴー・チョクトン時代(1991-2004)
・ハンチントンの第三の波の時代、リー・クアンユーの権威統治に辟易していた民衆は、当初政治自由化に期待した。
・国民の4つのグループ
①批判行動グループ 数%
②政治活動はしないが、批判票を投じるグループ 20%
③政治的無関心 50%
④人民行動党を評価するグループ 30%
・外国人労働者の受け入れ
①建設業・製造業・サービス業 未熟練労働者
②中間管理職、専門技術者、研究者、弁護士、医師、会計士
③その中間、労働許可書と雇用許可書の中間のS許可書をもつもの
・外国人労働者を無制限に受け入れると問題が生じるため
①外国人労働者の比率は、30%を上限とする
②民族バランスを壊さないために、外国人労働者はアジア系民族に限定する
【3】リー・シェンロン時代(2004-2024)
・リー・シェンロンは、リー・クアンユーの長男、エリート中のエリート
・英語、華語、マレー語に堪能
・人民には、リー王朝の後継者として嫌われた
・問題
①水問題 マレーシアから水を輸入しているが、自給化できていない。淡水化プロジェクトなどの対応中
②少子高齢化 急速に高齢化するのは、シンガポールも同じ
③移民 移民の流入により、国民生活に影響がでている
・シンガポールの特徴
①経済発展が国是である
②近隣諸国よりも常に1歩でも、2歩でも先んじて、経済発展を心がけたこと
③経済発展は国家主導であったこと
④政治、民族文化が、経済発展の手段と考えられたこと
⑤シンガポールには、独自の文化が育たなかった
⑥欧米諸国には、政治と経済を使い分けていた
⑦国民の価値軸(アイデンティティ)が模索段階にある
・シンガポールとは、リー・クアンユーが手掛けてきた人工国家であり、芸術や文学などの文化がそだたなかったこと、近隣諸国からは、普通の歴史ある国家とはみなされていないこと、これがシンガポールの限界である。
目次
序章 シンガポールの曙―一九世紀初頭
第1章 イギリス植民地時代―一八一九~一九四一年
第2章 日本による占領時代―一九四二~四五年
第3章 自立国家の模索―一九四五~六五年
第4章 リークアンユー時代―一九六五~九〇年
第5章 ゴーチョクトン時代―一九九一~二〇〇四年
第6章 リーシェンロン時代―二〇〇四年~
終章 シンガポールとは何か
ISBN:9784121022080
出版社:中央公論新社
判型:新書
ページ数:280ページ
定価:860円(本体)
2013年03月25日初版
2022年07月30日8版
Posted by ブクログ
シンガポールに留学、移住するなら絶対に持って行きたい1冊。シンガポールの歴史、経済、政治、全てが学べます。
シンガポールに来る前、この国の歴史について全くわからず、なんかゆるっと「安全だけど厳しい国」という認識でしたが、この本を読む中でなぜそのシステムが必要だったのか、ということが論理的にかつ簡潔に学べます。
良くも悪くもシンガポールはリー・クアンユーによって作られたのだなと再認識できる本であり、彼の目指す社会的な方向性、政治指針が今もシンガポールに根強く残っていることがわかるはず。この本のおかげでシンガポールという世界をよりクリアに知覚できたので、とても感謝しています。
Posted by ブクログ
中公新書の「物語」シリーズ、いくつか手にとって読んだことはあったのですが、今まで読んだ「物語」シリーズの中では一番面白かったと思います。まずその理由は、シンガポールの歴史が浅いので、1冊の本の中でかなり密度の濃い記述がなされていることでしょうか。例えば同じ「物語」シリーズのアメリカ版などは(アメリカもフランス、イギリスと比べれば歴史が浅いのですが)、歴史本に良くありがちな「浅く広く」語っていて、あまり感銘を受けませんでした。その点、シンガポールの歴史は新書250ページくらいあればかなり密度の濃いものが読めると感じます。
次に良かった点として、シンガポールの独立後の経済成長については政治を軸として極めて明快な論理展開がなされていて、ものすごくわかりやすかったことです。これはシンガポール自体がある意味極めて明快な戦略を打ち立てていたからという面もありますし、それを著者がしっかり明快に記述しているからだと思います。シンガポールの生い立ち、経済成長の仕組みなど、初心者にはとても良い本と思いました。
Posted by ブクログ
[昇り竜解剖図]羨望を集めるほどの急激な経済成長で、東南アジア諸国の経済や投資を牽引してきたシンガポール。ほとんど顧みる人すらいなかった19世紀初頭の「発見」から、急速な経済成長を経た21世紀初頭までの歴史を概観した作品です。著者は、シンガポールをはじめとした東南アジア諸国の研究で知られる岩崎育夫。
非常にコンパクトにシンガポールの経済、政治、そして社会についてまとめられているため、同国に関心を持つようであればとりあえずオススメしたい一冊。現実主義に徹したシンガポールの世界観がどのように形作られ、成功を収めることになったかがよくわかるかと思います。シンガポールと東南アジア諸国の関わりについても頁が割かれているため、広く同地域に興味を持つ人にもオススメです。
〜比喩的に言えば、シンガポール株式会社の社長が創業者オーナーのリー・クアンユー、副社長がリーの片腕のゴー・ケンスィー、第一線の営業部長がエリート開発官僚、一般国民が事務職や現業の社員に相当する。そして、株式会社である以上、シンガポール株式会社は利益獲得に経営原理が置かれ、社長の大号令以下、社員全員が一丸となって会社の発展に励んだのである。〜
いつかあの不思議な形のホテルに足を運んでみたい☆5つ
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用
ビジネス・実用