中沢康彦のレビュー一覧
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星野リゾートで起こった様々なトラブルを組織として、どう乗り越えてきたかをまとめた本。
まず大前提に代表の星野佳路氏は「トラブルに遭遇したときに正しい経営判断にたどりつくためには、チーム内で正しい議論ができる環境が必要で、そのためは普段からフラットな人間関係が不可欠」としている。
その状態を作るために星野代表は、「結論にいたるまでのプロセス」を重要視しており、結論そのものにはこだわってない。ただし、結論にこだわらないのは、自律的なチームが十分な情報に基づき熟慮し、提供するサービスに情熱を持ち、論理的に発想する正しい議論が行われている場合のみとしている。
この考えのベースとなっているのが、米国の経営学者、ケン・ブランチャード氏のエンパワーメント理論。これは、①全社情報を全社で共有、②階層組織の思考をやめる、③失敗を学習の機会と考えるーーーというステップを忠実に実践することである。そして、その1つの方法が役職や年齢にかかわらず、自由で対等に意見交換する「フラットな組織文化」を導入することである。
このうち②の「階層組織の思考をやめる」が非常に重要だと感じる。①のように、どんなに経営情報をオープンにしても、そこに組織的階層がある限り、情報の選別は無意識的に行われてしまうし、情報の受け手側も、ポジションの差(役職かそうでないか、上位職にいるかいないか等)がある限り、その情報発信者や情報そのものに絶対的な信頼と肯定を元にその情報を受け取るのは難しいからだ。そこにヒエラルキーがある限り、人間はシンプルな思考回路では物事は受け取りづらい。
一方で、星野リゾートでは、フラットな組織文化を醸成するからといって、議論するときに「温かく見守る」「任せてみる」といったスタンスをあえて取らず、言いたいことを言いたいときに主張することにしている。正しい議論においては、「誰が言っているのか」が重視されるのではなく、「何が正解に近いのか」が重視され、そこにチームの結論が自然に帰結していくことを理想としている。
なお、議論を重視するからといって、結論は多数決ではもちろん決めない。最終意思決定をする役割を担っているのは、施設の場合になら総支配人。総支配人には必要な意思決定をタイムリーに行う権限と責任があるからだ。最後に決めるのは、その場のリーダーなのである。
これを繰り返してくことで、現場チームがより一層自ら発想し行動する組織となり、徐々に強くなっていく。 -
Posted by ブクログ
2022年1月7日 再読
ついつい、定期的に読みたくなる。メモ。
キーワード
・教科書通り
・経営の定石⇔正しい経営判断の確率に差が出る
行動のブレが少なく、決断に自信を持ち、判断理由を明確に説明できる
・思い切った判断に勇気をもって踏み出せる
⇔何も買えられないことが一番のリスク
・書かれている理論を理解すると同時に、自社にどのように当てはめればいいのか、どこを変える必要があるのかと考えながら読む。頭の中が次第に整理され、やがてうつべき対策が見えてくる。
2018年
経営全般に関して、必読書が網羅的に記載されている。その書籍が企業経営においてどのようなシュチュエーションで必要かも理解することができる。
企業経営や、企業の戦略立案に携わることになった人は、最初何をすべきか、何をヒントにすべきかさえ、分からないと思う。
この本の中にある、教科書を熟読し、実行すれば、少なくとも、星野さんの発想と、業績には近づけるのかもしれない。
3度目くらいの読み返し。自分の会社のビジネスにとっての今の課題と、どこから手を付けていけばいいのか。まずは、実績に直結するMKTに集中して取り組みたい。 -
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雲海テラスには行きたいなあと思ってたのだがこれがアルファリゾート・トマムだとは結びついていなかった。
経営破綻トマムの再生に乗り出した星野社長がスタッフに言ったことは「リゾート運営の達人を目指す」「コンセプトを明確に定め、顧客満足度を上げよう」「全員が自由に意見を出そう」。これまではトップダウンでコストカットばかりが言われていたためスタッフはなかなかなれなかった。顧客満足度を上げるために部門ごとに今後一年の戦略を発表するように言われたゴンドラ・リフト部門は悩んだ結果お客様にあいさつをしようと決め、最初はぎこちなかったがだんだんと慣れていった。ある時戦況報告会で「トマムの夏の魅力を高めるために何ができるか考えよう」というお題が出され途方にくれたゴンドラ・リフト部だったが顧客満足度を上げるという意識は身に付いたものになって来ていた様だ。部長の伊藤がある時ゴンドラ山頂駅付近で作業していて見慣れたいつもの雲海を見ながらふとつぶやいた。「お客様にも、この眺めをぜひ見せたいなあ。ここでおいしいコーヒーを飲んでくつろいでほしいなあ」
ゴンドラ部門7人でどうやってカフェを運営するのか、裏方でそんな経験はない。しかしレストラン部に研修を頼み込みゴンドラのメンテはやり方を見直し時間を作り出した。そして試験営業は大成功だった。よくある発想ならばレストラン部にヘルプを頼んでいただろうが自分たちでやると決めていたゴンドラ部門はその後も雲海予報などお客さんに喜んでもらうためのサービスを考えだしていく。実は星野社長もゴンドラ山頂の景色の魅力には気づいていたのだが方針を決めた後はテラス建設の投資判断以外は全てスタッフに任せた。
この本ではこういった星野リゾートで起きた事件が11例紹介されている。課題は様々だが「事件が会社を強くする」。
例えば軽井沢の「村民食堂」では焼酎水割りを2杯飲みちょうど飲み終わった頃にもりそばが出来上がるのを楽しみにしている常連客がいた。ある時不手際で飲めない熱さのお湯割りが出て来て冷めないうちにもりそばが出て来てしまった。この客が焼酎が冷めるのを待って飲み終える頃にはそばはすっかりのびきっていた。責任者の大串がクレームの電話を受けたのは夜の9時、この日は遅いので翌日直接謝罪に行くことにし先ずこのクレーム内容をスタッフ全員に共有化しメールで議論が進む。次の機会のためのやり直しをどうやるか?
翌日午前中に謝罪に言った大串は昨日の議論で生まれた「やり直し」をさせてもらえないかと件の客に頼み込んだ。「本日はそばと天ぷらの材料、道具一式をお持ちしております。焼酎もお持ちしました。調理スタッフも一緒に来ています。改めてここでメニューをお楽しみいただきたいのです。その準備のために、台所をお借りさせていただきたいのですが」固辞する客を押し切り食事が進むうちにこの客の表情は緩みクレームは笑顔に変わった。
普通に考えればここまでやるのはやり過ぎだ。しかし、顧客のためでなく自分たちのサービスは何か?を見つめ直すためにここまでやる必要が有ると判断したと言うことは伝わってくる。前日の議論のメールは全て星野社長も読んでいたが口は出さなかった。
「日本の観光をヤバくする」リクルートの星野リゾートのエントリーページには若手社員が考えたこのコピーが載っている。星野リゾートのヴィジョンと言って良いだろう。世界の一流リゾートなみに日本の観光を一流にする。そのためには最前線のスタッフの判断の質が問題になるが時には上手く行かないことがある。星野社長は社内での様々な行き違いやトラブルを「事件」と呼び、この事件をその場で何とか収めるのではなく、スタッフに事件の本質を考えさせ原因を追及させ共有化してサクセスストーリーに昇華させることを考えている。それが「事件が会社を強くする」ということだ。 -
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星野リゾートの某ホテルには4回行っている。それは、あそこに行けば必ず楽しく過ごせるという確信と期待があるからだが、本書を読んで、それが「顧客満足度を高めてリピーターを増やす」という星野リゾートの戦略の成果だということがよく分かった。
本書は、星野リゾートの各施設における破綻から再生のストーリー、特にそこで働く人の変化に焦点を当てたドキュメントである。1つ1つの話の主役は、そこで働く人なのだが、影の主役である星野佳路社長の存在も大きい。再生に当たり、入念なリサーチを行い、コンセプトを決めたらぶれずに徹底するということ以外は、各施設で働く人の自主性に任せるという星野スタイルは、次々に成功を収めている。おそらく、徹底したコストカットにも目を光らせているのだろうが、本書で語られる揺らぎのない姿勢に魅了された。 -
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事件簿とのタイトルになっていますが、星野リゾートにおける人の働き方、社長である星野氏の人扱い方が学べる本です。
お客様中心に考えろとか現場に考えさすと口で言うのは簡単ですが、実現するのがこれほど困難な事ありません。ただこの本を読んで星野リゾートが現段階でうまく行っているのは、社長自身が非情に気配りをする人であると同時に確固たる判断軸を持っているからだと思えました。
現場に任せたら任せたで、上に立つ人は歯痒い思いをしたする場合もあります。ただ任すと決めた以上人を育成する長期的な視野を重視し、自分がトップダウンで意見を述べて、従業員同士の議論を終了させたりしない。
クレームを伝えた社員を怒ると、今後委縮してクレームを上げなくなるので怒らない。
忙しい中従業員が議論する時間は無駄に思うかもしれないが、長期的に見てお客様にプラスになることを考えるなどの考えは、現場に任し、現場に考えさせるといった信念を忠実に守っている確固たる証拠かと思いました。
難しい状況で仕事を再生させるには戦略も戦術も大事ですが、一流のコミュニケーション能力と信念が必要な点を理解させてくれる良い本だと思いました。 -
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本屋さんで「なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?」の文字に惹かれて買いました。
「日経トップリーダー」の編集者さんが取材・まとめたものだそうだけど
とても読みやすくて良かったです。
同業者だからと言ってまねできることがあるかというと
そうではないかもしれないけど
とにかくどんな立場の人でも意見を言い合える環境の大事さが何度も出てきたと思う。
エピソードの1つ雲海カフェは行ったこともないのに
スタッフが試行錯誤しながらいきいき働く姿や
お客さんが喜ぶ顔
そして素晴らしい景色が目に浮かぶようで感動しました。
個人的には「あとがきにかえて」の中の
―働き方の多様性―について共感を覚えました。
働く女性として将来のことを考えると
まさに嬉しい制度だなと思うのです。 -
Posted by ブクログ
星野佳路社長の「人を活かす経営手法」により自主的に行動するようになったスタッフが繰り広げるストーリー集。それぞれのストーリーには、スタッフ、そして社長自らの戸惑いが描かれながらも困難に立ち向かい顧客を第一とした解決策を出していく様が見ていて心地よい。星野リゾートのホスピタリティの原点を感じ取ることができる。
ほしのや軽井沢に宿泊し、ホスピタリティに直に触れる機会を得た。そこで感じたことは、ほしのやのサービスは、外資系一流ホテルにあるような徹底された一流のサービスではなく、スタッフ一人一人が自ら考え、行動することを徹底されていること。少しの未熟さはありながらもそれをカバーし余りある温かさを感じるもてなしであった。
社長の日本の観光をやばくするという大きなテーマは日本の観光業の再生を担う動きであり、今後の楽しみだ。 -
Posted by ブクログ
レストランで起きた従業員のミス。
それがきっかけで入った一本のクレーム電話。
これに対してどう対応するか。
詫びるだけだはダメ。
さて、星野リゾートの従業員はどうするのかあまり期待しながら読み進めた。
すると驚愕した。
クレームのあった翌日午前に責任者が厨房のシェフを伴って自宅を訪問。
そこで台所を借り、メニューを再現した。
この対応はすごい!
成功の裏には、徹底したマーケティングがある。そのうえでコンセプトを固め、とことん継続し追求する姿勢。
そして、飽くなき顧客満足度向上。
私は雑誌の編集者という仕事の違いはあるものの、顧客満足度=読者満足度を追求する点では共通しており、共感する部分がたくさんあった。
<メモ>
「最終的なお客様の顔がはっきり見えない」ビジネスにもどかしさ -
Posted by ブクログ
【メモ】
•教科書に書いてあることを全て忠実に
•競合環境戦略:コストリーダーシップ、差別化、集中(特定の領域に自社の経営資源を集める)。競合を避ける
•リーダーは市場でトップシェア、チャレンジャーは2番(リーダーを攻撃)、フォロワー2番(波風立てない)、ニッチャー(大きな市場でフォロワーにならずに小さな市場でトップに立つのを目指す)
•コモディティ化、サービスや製品の品質による差別化が難しくなる
•よなよなエール→味のラインナップを増やさない、1つの味を伝え続ける
•おいしさ保証
•真実の瞬間→判断の根拠となる情報を持つべきだ
•ワンツーワンマーケティング→ITの発展
•ビジョナリーカンパニー