西智弘のレビュー一覧
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自分の中では明確になっている安楽死制度。
定期的に知識のアップデートをと思い手に取りました。
内容については、筆者の言わんとする事は理解できますが、筆者自身が「個人レベルから社会レベルへの議論を」と言いながら、やはり個人レベルの問題に収斂されるのが気にはなります。
私自身は、法制度化に反対。理由を列挙する。(ただし、安楽死自体否定するのではなく、何らかの形でこれを可能とするスキームには期待したい。)
・安楽死を望む患者本人が、空気に流され安楽死を選択してしまう可能性が排除できないこと。
・患者本人が、わざわざ生か死の選択の余地を与えられてしまうこと。
・法制度を悪用する犯罪が発生す -
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読書記録76.
#だからもう眠らせてほしい
緩和ケア内科医である医師のノンフィクション作品
(個人情報的観点からの仮名などは含む)
安楽死と尊厳死
知ってるようで理解していないその違い
緩和ケア
生きる事、生かされる事
持続的な深い鎮静という初めて聞く処置
痛み、苦痛の程度は誰が決めるのか?
心の痛み、肉体の痛み苦しみの基準
その本人にしかはかれないものを汲み取る医師の苦悩
安楽死という選択についての意見が医師、当事者である患者だけでなく様々な立場の人が語るところに見方の違いを知る事ができ、重いテーマでありながら偏りのない主張に読む力をもらえた
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Posted by ブクログ
末期患者のQOLをなるべく良いものにしようとする“緩和ケア”の専門医による著書。ある2人の癌患者との出会い(と別れ)を軸に、緩和ケアの在り方、安楽死制度の是非についての考え方が書かれている。
タイトルは、病気の耐え難い苦痛に襲われた患者が、鎮静剤による醒めない眠り=緩やかな安楽死を求めて発した言葉。
少し前に『“最悪”の医療の歴史』という本を読んだ時に、過去の医学が現代から見て如何に的外れだったかに驚くと同時に、「現代医学も未来から見ればまた未熟に映るのかもしれない」という感想を抱いた。
ガンや感染症、難病等の治療についてもそうだが、医学以外の領域も絡んだりして、現代では判断がグレーだったり -
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全員、いつか、必ず死ぬ(なんかそれも覆りそうな気配だけど、現時点では、まだ)。そして、どう死ぬかを決めなきゃならない事態もありえる。だから、哲学者の論考も大切だけれど、みんなが手にとれるポピュラー・哲学みたいな本もあっていい。これは、そういうニーズにうまくはまる本だと思う。
医学って、残酷だ。患者にとってもそうだけど、それ以上に、死なせるか死なせないかを決めなきゃならない医師の方の心のケアってどうなってんだろう?あと、遺族のケアは??制度として安楽死が設定されてなくても、尊厳死は(患者の精神力次第では)今の日本でもできる。死ぬ本人はいい。納得ずくだし、後がないから。たぶん。でも、そうさせた医 -
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ネタバレ身内に早期のがんがわかり、勉強しようと思って見つけた本。
緩和ケアについて、治療を断念して病棟でそのまま終末期まで看取るという理解でしかなかった。
訪問診療につなげたり、治療を継続する場合もあるということだった。
がんとその患者さんの人生を真摯に受け止めて支援されていて、交流の中での患者さんの一言一言がとても心に響く
p110「つながりを再構築する」
医療者と患者さん 病状の適切な理解の支援 ストレス対処の支援 家族のケア
がんと診断された時点で、すべてのものとの関係性が一度立たれてしまう 家族、友人、仕事、社会との関係 がんを抱えている自分として再構築する必要がある
p113「近代ホスピス -
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過去に点滴で生かされて空を見つめるご老人たちの病室をみて、自分もこうなるのかと怖くなり安楽死が日本でも可能にならないかなとずっと思っていた。
この本を読み、以前とは別の意味を安楽死に対して思う。
緩和ケアの詳細。患者さんととりまく家族や親戚、医者との必ずしも患者本人とは一致しない決断。
対話せずに、結論を急いでは絶対いけない問題だと。
見解が違う者同士が、どちらが是が非かを競うのではなく、対話することにより、導き出される新しいこたえ。それは普遍ではなく、個人、時代や環境によって一つではないということ。
選択肢の一つとしての安楽死だと。
筆者あとがきの、人の死は3つある。
肉体の死、精神の死 -
Posted by ブクログ
医療の発達に伴い、死ねない時代になっている現代。生と死。いざその時に、どう対応すればいいのか。日頃から、少しずつでも「生き方」「死に方」を考えておかないといけないのではないかと思って読んでみました。
幸い、私の親しい周囲には、がんを患っている人はいない。
この本は、題名こそ「がん」を想定した生と死に関わる内容だけれど、「がん」以外の生と死を考えるにも、とても勉強になる本でした。
腫瘍内科医であり、緩和ケア医でもある著者さんが、今まで経験してきた患者さんの「生と死」の現場を、とても読みやすく紹介し、医療者・患者・患者の家族の心情を、いろいろ見せてくれました。
実際に、自分が、そして自分の家 -
Posted by ブクログ
ヒボさんの本棚から。
「だから、もう眠らせてほしい」って、なんと切実な願い。死がすぐ近くに迫っていて、苦痛を伴う毎日を過ごす患者と家族の願いは、日本では受け入れてもらえない。
この本を読んで、「苦痛」というものの捉え方が気になった。
医学的に言う苦痛と、患者が訴える苦痛には違いがあるし、患者の中でも人それぞれ苦痛に感じるポイントの違いがある。
ユカの言っている「自分の足でトイレに行けなくなったら…」という基準は、すごくわかるなと思った。
自分のことが自分で出来なくなることに、私もとても苦しみを感じる方なので。
逆に痛みにはすごく強いみたいで、とことん我慢してしまう方なので、鎮静処置をしてもらえ