木下是雄のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本書のあとがきを見ると、著者が読者として想定したのは理科系の若い研究者・技術者・学生とのこと。そして序文には「これらの人が仕事でものを書くときに役立つような表現技術のテキストを提供したい」とある。
まず、そこを踏まえておく必要がある。
つまり想定読者に当てはまる人にとっては必読の内容と言える。だが、一般人がもっといい文章を書きたいと思っているのなら、他の本を読んだ方が良いということである。
もちろん、想定読者層以外の人が読んでも参考になる部分はあるが、一般人にとっては不要と思える部分も多い。例文も理系そのものでとっつきにくい。順に例を挙げていく。
まず、誰にとっても参考になるキーワードを目次からいくつか拾ってみる。
・記述の順序
・事実と意見の書き分け
・わかりやすく簡潔な表現
・文は短く
・読みやすさへの配慮
次に不要と思える部分も目次から拾う。
・はっきり言い切る姿勢
・単位・記号
・文献引用
・図と表の書き方
・学会講演の要領
最後に例文。これは簡潔に書き直されたものである(132p)
組換えDNAの研究には、分子生物学に関する基礎的な教養があり、微生物ことに病原微生物の取扱いに習熟した研究者が必要である。こういう研究者は絶対数が不足で、しかも大学その他の基礎研究機関に偏在している。病原微生物の取扱いの教育訓練が医学・獣医学などの分野に限られている点にも問題がある。
対策として、大学における関連諸科学の教育を強化するとともに…(以下省略)
若い理系の研究者たちの役に立てばそれでいい本なので、それ以外の人たちとって参考になる・ならないなどは「まったくのお門違い」のことなのだが、あえて書いたのは、ベストセラー書だからだ。
初版の1981年から版を重ね続けて100万部を突破した本となると、想定読者層以外の人も読んでみようと検討するかもしれないので、どのような本か判断する材料になるかと思って書いておいた。 -
Posted by ブクログ
理系の書く文書は大体わかりにくい。
これは世間一般の認識らしい。自分の経験的にもそう思う。
本書は、そうした理系に向けた作文技術のベストセラーを、今流行りの漫画化したもの。
重点先行主義、外観から細部へ、事実と意見の区別、緩衝表現は使わない、等々がわかり易く説明されている。
こうした文章の構成上の技術はもちろんだが、その前に「誤解できないように」書くということがもっとも重要になる。理系の人間が書くことが多い、論文・レポート、仕様書などでは、特にそこが求められる。
漫画ということで、短時間で読めるし、原著のエッセンスは十分伝わるので、みんなに読んで欲しい。