三木成夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
むずかしかった(笑) "はらわた"と宇宙の話です(笑)
・なめる、という世界は大切です。けっしておろそかにしてはいけない。(←(子供)が物や畳の目をなめる話)
・指差し、は心の目覚め
・コレナーニ、ミミズ
ヒトの声、その肉声の持つ、心地よい"ひびき"でもって、もうすっかり満足してしまうのです。
・香りを聞く、味を見る、感触を味わう
・言葉というものが、心情の育成にとって、どれほど大切か、ひとつひとつの言葉の持つ「ヒビキ」ただそれだけを、先に叩き込んでおくのです。やがて、そのような心に育ってくるのですから……
・2歳から3歳までの言語習得の期間が、どれほど、心を養うものにとって決定的な意味を持つものであるか…どうか大切になさってください。
・自分を仮想の話し相手にして"無声の対話"を交わす -
Posted by ブクログ
ネタバレ講演を原稿化したものとのことことで、専門的な内容のわりに語り口調がソフトで分かりやすい。
ホモ・サピエンスの進化、あるいは言語能力から導き出された架空のものを真実と思いこめる人類の特性に対し、本書タイトルから想像するに、論理的な思考、“あたま”で考えたものではなく、“こころ”で感じた本能的な何かが人には備わっていて、それが本来の思いだったりするのかなという興味で読んでみた。
主旨としては、体を、体壁系と内臓系とふたつに分け、“ころろ”=内臓系の感性というか欲求の見直し、復興を訴えるもの。要は、成長の過程で見て取れるように、生物の体内にはこれまでの進化の過程で体得したリズムや感性が眠っていいて、それらと現世の思考や時間軸との差が歪みとして表れている、そのことを意識すべしということか。
潮汐のリズム(24時間と24時間50分の差)や、つわりの始まりの考察が印象的。子宮内の胎児が進化の過程をたどるという話はこれまでも聞いたことがあるが、魚類から両生類を経て、爬虫類期に入った頃につわりが起こるのは、水中から陸へ上がったことによる負荷の増大、重力に逆らった頃の記憶が再現されるからという話は非常に興味深かった。
少し思っていた(期待していた)話とは違ったのだけど(むしろ体壁系=”あたま”の思考はどのように生まれ、”こころ”と”あたま”の差はどこにあるのかという話を期待していた。人間を人間たらしめている他の生物との差がそこにあるのかと)、内臓感覚は、無視できない大切な感覚だということは良く判った。 -
Posted by ブクログ
保育園での講演を元にしている。ほとんど語ったままの形を本にしてあるようで、「はらわたの復権」とか、熱のこもった語りが講演の様子を髣髴とさせる。この三木先生はたいへんに人気のあった方みたいだが、それも何となく分かる。ただ、数十年を隔てて本を読むだけで接すると、伝わってくるものと、伝わってこないものとが、それぞれ自ずとあるだろう。
へえ、と思った箇所
・外皮系、神経系、筋肉系が動物器官である体壁系。腸管系、血管系、腎管系が植物器官である内臓系。それぞれ「入−出」が向かい合って、あいだに仲人がいる。たとえば脳死とは体壁系の死である。
・感覚が原因で運動が結果だという考えは間違い。「犬も歩けば棒にあたる」など、動いたから新しい感覚が起こることも。両者を、原因−結果として結びつけるのは人間のわがままで、どちらが後先ということはなく連関している。
→こないだの皮膚の本でも同じ話がされていた。
他に、日周・月周などのリズムについて潮汐など宇宙のリズムと呼応しているとか、感覚の「互換」が人間の言語のベースではないか(ラマチャンドランも言ってたか)など、なかなか野心的な説を次々となえてくれる。 -
Posted by ブクログ
1983年刊行の中公新書のロングセラーの一冊。
著者は東大で解剖学を修めたのち、ゲーテの形態学などの影響を受けて、既成の西洋医学の枠組みの中では位置付けられない「生命記憶」を柱とした「三木形態学」を唱えるようになったが、本書は、そのエッセンスを著したものと言われる。
本書で著者は、偶々デパートで見た椰子の実に得も言われぬ懐かしさを感じた自分の経験を「生命記憶」と呼び、それを個体の進化と宗族(種族)の進化の関係から説明する。
著者は、生物の個体が発生(受精)してから成体になるまでの過程(=個体発生)と、生物の宗族が発生(起源となる原始生物の発生)してから現在の宗族になるまでの過程(=宗族発生)を重ね、それらは類似の過程を辿ると言う。即ち、我々人間は、胎児である十月十日の間羊水につかり、母の血潮のざわめき、心臓の鼓動の中で、劇的な変身を遂げるが、この変身劇は、太古の海に誕生した生命の進化の悠久の流れを再演したものなのだ。そして、それを裏付けるものとして、羊水の塩分の濃度等が海水と極めて近いこと、胎児は受胎から30日を過ぎてから僅か一週間に、外形的にも脊椎動物の一億年の上陸誌を再現したかの如く見えることなどを挙げている。
三木形態学は、現代の医学・生物学から説明し得るものではないのであろうが、一方で、その考え方は吉本隆明などにも影響を与えたという。
合理性を追求する近代科学とは距離を置いて、本書のようなアプローチに触れるのもいいのではなかろうか。
(2010年5月了)