三木成夫のレビュー一覧
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この本は、現在私の頭の中にある「魚類は大きなときの流れの中で哺乳類に進化していった」というイメージに対して、さまざまな根拠を提示してそれがいかに妥当であるかを説明している。その根拠の中で印象に残っているのが3つある。
ニワトリの卵の解剖において確認した脾臓の役割、身体に障碍を持つ人間と古代動物の比較、そして人間の子供の成長の過程の3つである。
まずニワトリの卵の解剖中に確認した脾臓の役割について。これはまず動物の胎児は母親のお腹の中にいるころ生物の壮大な進化の過程を踏むということと、魚類は(人間でいう)脾臓を使っているが、人間は脾臓を使っていないという前提がある。主人公は鶏の卵を解剖する -
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むずかしかった(笑) "はらわた"と宇宙の話です(笑)
・なめる、という世界は大切です。けっしておろそかにしてはいけない。(←(子供)が物や畳の目をなめる話)
・指差し、は心の目覚め
・コレナーニ、ミミズ
ヒトの声、その肉声の持つ、心地よい"ひびき"でもって、もうすっかり満足してしまうのです。
・香りを聞く、味を見る、感触を味わう
・言葉というものが、心情の育成にとって、どれほど大切か、ひとつひとつの言葉の持つ「ヒビキ」ただそれだけを、先に叩き込んでおくのです。やがて、そのような心に育ってくるのですから……
・2歳から3歳までの言語習得の期間が、どれ -
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ネタバレ講演を原稿化したものとのことことで、専門的な内容のわりに語り口調がソフトで分かりやすい。
ホモ・サピエンスの進化、あるいは言語能力から導き出された架空のものを真実と思いこめる人類の特性に対し、本書タイトルから想像するに、論理的な思考、“あたま”で考えたものではなく、“こころ”で感じた本能的な何かが人には備わっていて、それが本来の思いだったりするのかなという興味で読んでみた。
主旨としては、体を、体壁系と内臓系とふたつに分け、“ころろ”=内臓系の感性というか欲求の見直し、復興を訴えるもの。要は、成長の過程で見て取れるように、生物の体内にはこれまでの進化の過程で体得したリズムや感性が眠って -
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保育園での講演を元にしている。ほとんど語ったままの形を本にしてあるようで、「はらわたの復権」とか、熱のこもった語りが講演の様子を髣髴とさせる。この三木先生はたいへんに人気のあった方みたいだが、それも何となく分かる。ただ、数十年を隔てて本を読むだけで接すると、伝わってくるものと、伝わってこないものとが、それぞれ自ずとあるだろう。
へえ、と思った箇所
・外皮系、神経系、筋肉系が動物器官である体壁系。腸管系、血管系、腎管系が植物器官である内臓系。それぞれ「入−出」が向かい合って、あいだに仲人がいる。たとえば脳死とは体壁系の死である。
・感覚が原因で運動が結果だという考えは間違い。「犬も歩けば棒 -
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1983年刊行の中公新書のロングセラーの一冊。
著者は東大で解剖学を修めたのち、ゲーテの形態学などの影響を受けて、既成の西洋医学の枠組みの中では位置付けられない「生命記憶」を柱とした「三木形態学」を唱えるようになったが、本書は、そのエッセンスを著したものと言われる。
本書で著者は、偶々デパートで見た椰子の実に得も言われぬ懐かしさを感じた自分の経験を「生命記憶」と呼び、それを個体の進化と宗族(種族)の進化の関係から説明する。
著者は、生物の個体が発生(受精)してから成体になるまでの過程(=個体発生)と、生物の宗族が発生(起源となる原始生物の発生)してから現在の宗族になるまでの過程(=宗族発生)を