斎藤兆史のレビュー一覧
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東京大学の教養学部で長く英語教育に携わってきた著者が、教養の復権を説いた本です。
倉田百三の『愛と認識の出発』や阿部次郎の『三太郎の日記』などに代表される大正教養主義について、文化史的な観点から考察をおこなった本も多く刊行されていますが、本書で展開されているのは、歴史的な観点から旧制高校的な教養を相対化するような議論ではありません。もっともそのこと自体は、本書のテーマからはずれるということもあり、かならずしも本書の欠陥といえないでしょう。
ただ、「教養」と「修養」の差異についてあまり検討をおこなうことなく、両者をひとつながりのものとしてあつかっている点は、すこし気になりました。これは本書が -
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『英語達人列伝―あっぱれ、日本人の英語』(中公新書)で英語の達人たちについてのエピソードを紹介した著者が、彼らの英語学習の方法をヒントにして、読者が高いレヴェルの英語力を身に着けるための方法を説いた指南書です。
「まえがき」には、「最終目標とする英語の習得段階は、日本人の最高レベルに設定してある」と書かれており、「ペラペラ」信仰に惑わされることなく、ほんとうの英語を身につけることが重視されています。
独自の「英語道」を提唱している松本道弘の著書ほどではありませんが、精神論に偏っているところもないとはいえません。個人的には、こうした語り口にインスパイアされるタイプということもあり、おもしろく -
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日本人でありながら優れた英語能力を身に着けた、10人の人びとを紹介した本です。取り上げられているのは、新渡戸稲造、岡倉天心、斎藤秀三郎、鈴木大拙、幣原喜重郎、野口英世、齋藤博、岩崎民平、西脇順三郎、白洲次郎です。
國定正雄や松本亨といった英語の達人が時々取り上げられているのを目にしますが、本書で扱われているのは、英語を通じて世界と渡り合った、さらにスケールの大きな人物像です。もはやこのレヴェルになると、「英語の達人」という枠では語りきれないのですが、英語という面から見ても、常人離れしたエピソードばかりで、ひたすら驚き呆れながら読みました。
彼らがもし、今の英語学習者を目にしたら、英語教材も -
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英文学者による教養論。P.99で著者がいうように「一般書・新書文体を使」って書かれたものである。著者自身の経験から得られた知見が述べられている。
逆に、先行研究のレビューが少なく、巻末の参考文献を見る限り、猪木武徳、村上陽一郎、西山雄二のそれぞれの論には触れられていない。ちなみに、この中には駒場関係者も含まれる。サブタイトルに「東大駒場」という言葉が使用されたり、黄色い帯に「東大には、なぜ「教養」学部が残ったのか?」といった、個人的に購買意欲がそそられる表示・体裁となっている。こうしたことから、ある程度組織的コンセンサスが織り込まれているのではと思い込んで読み進めた。だが、新書・啓蒙書の部類 -
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NHK テレビ3か月トピック英会話「聴く読むわかる!英文学の名作名場面」の講師をしていた斎藤兆史さんの書いた本.明治時代から終戦直後にかけて活躍した英語の達人を10人選んで,その人たちの英語史が語られている.外国で育って英語を学んだのではなく,日本で英語を学んで達人になった人を選んで,日本で英語を学ぶことの意義までを考えさせる仕掛けになっている.
これが非常におもしろい.みんな個性的な人ばかりだ.英語という側面に話をしぼることによって,これまで知っていた人の知らなかった部分が見えたり,私がこれまで知らなかった外交官,斎藤博や英文学者,岩崎民平といった人たちを知ることができてとてもよかった.先 -
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英語の化け物の偉人達の伝記。
取り上げているのは基本的に幼少時に海外生活をしていないもの。つまり、帰国子女っぽい人は外している。英語の基礎は日本国内で学んだ人たちばかりである。多くは学習後に海外でも研鑽を積んでいるが、海外に渡った時点でのレベルも相当のものというか、異常なレベルの高さ。
英語の達人、英語を一つの学問としてそれを研究するというばかりでなく、何らかの手段として英語を学び自分の目的を達するために英語を学ぶのだけど、道具としての英語がそれはもう一流である。彼らは日本人の中では最高クラス、それどころか英語圏の人たちの中でもトップレベルの英語力を備えている。
自分の研究対象が専門的であれば -
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▼本書は『英語達人伝』でお馴染、斎藤兆史氏による英語・独習法の指南書である。まず、手にとって気が付くのは、本書が左開きであるという点(つまり、新書では珍しい横書きである)。英文が扱われているため、その方が読みやすいは読みやすい。しかし、豊富な情報量がコンパクトにまとまられているので、読み通すには根気が必要だろう。
▼内容としては、英文の「素読」が、特にその独習法の中心に推されている。意味が分からなくとも(名)英文を口に出して読んでみる――「暗唱」なんて非・生産的、と、長らく毛嫌ってきた自分ではあったが、シャドーイングのできなささを実感した今なら、その有用性も身にしみる。確かに、多読も含め“英語 -
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ネタバレ[ 内容 ]
コミュニケーション力が身に付く普遍的論理とは?
曰く「国語教育を充実させよ」「英会話ごっこのような早期教育を止めよ」「『型』の訓練を中心に据えて、素読、暗誦、反復練習を」。
[ 目次 ]
序 「英語が使える日本人」幻想から醒めよ
1章 英語力の基礎は日本語力
2章 英語教育のここを改めよ
3章 上達の法則
4章 右手に素読、左手に文法
5章 日本の教育を変える斎藤メソッド
6章 教材選びのポイント
7章 「本物」だけを見続けよ
8章 21世紀の「英語達人」のすがた
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札幌農学校に学んだ新渡戸稲造からスタート。日本国内で英語をマスターした達人を列挙。十分な教材もないままとにかく英語の文章を読むことから始めたような印象を受けました。国内にいてはあたれる原典が限られているせいか、シェイクスピアすら読むという。オーラルコミュニケーションの授業が人気であったりする昨今、やはり自学自習の基本は読む、これにつきると思った次第です。それと達人それぞれに外交の仕事、研究者としての仕事があり、英語修得のその先に日本の明治から昭和を形作る人材で、日本の仕事をしているという高い志しがありました。今だったらお金や時間のことさえ解決すれば簡単に留学できてしまうところなのに。これを読ん