坂本ヒメミのレビュー一覧
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麻緒が元気のない理由、なんだか不穏な空気のまま始まる。
そんな時に見つけたエンディングドレスを作りましょうという教室の貼り紙。
教室では個性豊かな自分より年上の生徒たちと先生。
毎回出される課題をクリアしながら一つ一つ服を作り上げていくと麻緒の心にも変化が出てくる。
麻緒が置かれている状況にも心が痛んだし、服を作りながらも、乗り越えようとしたり、また悲しみの渦に入ってしまう麻緒を見て涙が出た。
読み進めるうちに、麻緒の恋人の死の理由などが明かされる。
私たちが生きていく中で絶対に必要な服。
一番お気に入りの服は?
服を作ってあげたい人は?
様々なシチュエーションを共にしてきた服、その -
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32歳で夫を亡くした麻緒は、後を追うことを決意する。
その準備をしている間に、エンディングドレスを作る洋裁講座があることを知り参加することに。
洋裁講座で小針先生やおばあちゃんずたちと出会い、洋裁を始め、エンディングドレスを作るための課題と向き合い、皆の色々な事情を知るうちに、少しずつ前を向くようになる麻緒。
夫の弦一郎が自分の死後、麻緒にどのように生きてほしいと願いを込めたのか。
高校時代から、病に苦しみ死期を覚悟していた弦一郎と結婚した麻緒。
二人のお互いを思う気持ちは、並大抵のものではなかったのではないか。
妻を残して早々と死ぬことになってしまった弦一郎の気持ちと取った行動は、残され -
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蛭田亜紗子『エンディングドレス』ポプラ文庫。
以前読んだ『凛』がなかなか面白かったので、本作も読むことにした。
人生に絶望し、死ぬことを決意した女性が少しずつ生きることの意義に目覚めていく過程を描いた小説である。前半は内容に深刻さを感じ、途中涙し、読後には爽快感があふれる物語であった。
誰もが忘れたくない思い出と忘れたい過去を背負い生きている。全てを捨てて死に向かうよりも生きることの難しさ、生きることで新たに背負う様々なものがある。確かに生きにくい時代だ。社会が複雑になり、必要以上に精神的にも肉体的にも大きな負荷が掛かり、毎日毎日が闘いだ。しかし、疲れたら時にはゆっくり歩き、立ち止まり、 -
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ネタバレTぬオススメ本。本が好きな人に良さそうだなと思って読んだら、もっと予想を超えて良かった。
ルリユールという職業というか職人?この言葉を初めて知ったのだけど、読んでいるだけで素敵な仕事だなぁとわくわくした。
物語は本のことではなく、依頼を持ち込んでくる人やその周りの人たちの悲しい出来事や思いにまつわることなのだけど、
それぞれあのときこうしていればといった思いを抱えている人ばかり。
どれもこれもそんなことはないよ、という話なのだけど、当人にとってはどうしてもそう考えてしまうというのは仕方のないことかなとも思う。
どの話でもちゃんとこころがすっと軽くなるような、穏やかな空気で締め括られるのが心地よ -
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ネタバレ▼収録作品
第一章「秋のアリア~宝島」
第二章「星に続く道」
第三章「黄昏のアルバム」
第四章「魔人の夢~ボスポラスの夢」
掌編「春の小函」
そうか、本の重さは幸せの重さだったのか……。
第一章、時を超えて思い出の本が届くのもロマンチックだけど、あの手紙はずるいなあ。それにしても、本の声が聞こえるなんて素敵。
第二章、親友と離れてしまった経験がある自分には、胸に刺さるお話だった。
第三章、これは泣いてしまうよ。みよ子さん、頑張ったね……! ゆっくり休んでね。また、二人が一緒に暮らせる日が来ますように。
第四章、ついにクラウディアさん(+七匹の黒猫)の秘密が明かされるのですが……。
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ネタバレ想いの詰まった本を、修復してくれる黒猫工房のクラウディアさん。
赤い髪の美しい女性。
美しい洋館に住んでいる不思議な人。謎めいていて、ふんわり優しい人。
持ち込まれた本にまつわる物語に、何度涙したことか。
誰も、みんな優しくて。
誰かを傷付ける意図なんてないのに、取り戻せないことに心を痛め続けている。
それを、クラウディアが修復した本が癒してくれる。
ルリユールって、なんて素敵なお仕事。
その仕事を習おうと決めた瑠璃ちゃん。
彼女も、幼い心に取り返せない後悔を抱えている。
でも、クラウディアさんと過ごして、ルリユールを教わることで先に進んでいる。
瑠璃の姉のあかねも、心に抱えるものがある -
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若くして夫に先立たれ死の準備をしていた麻緒。
たまたま手芸店でみつけた死装束を縫う「終末の洋裁教室」に通うようになって、生きる希望や自分を見つめ直し立て直していくストーリー
表紙が可愛くてジャケ買いしたけど、ずっとタイトルをウェディングドレスって空目してたのはここだけの話……笑
終末の洋裁教室では、エンディングドレスを縫う前に、20歳の時に好きだって服、15歳の時に憧れた服…など思い思いに服を作っていきます。
はじめは気の入らない麻緒でしたが、教室の生徒さんや先生、洋裁を通して自分の心の整理がつき生きる意志を持ち始めます。
夫の闘病後の死など重たい話もありますが、麻緒の周りの人々が明る -
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主人公は少し苦手なタイプだったけれども、周囲の人たちがすごく魅力的だったし、死装束を繕うことで、生きることを考え直すことになるのだなとしみじみ。
次々と出される『課題』に自分だったらどんな服と答えるだろうかと考えながら読み進めることもでき、なにかと学びの多い一冊。
何より帯のコメントが山本文緒さんで『人は生まれることも死ぬことも自分では選べないけれど、何を纏って生きるかは選択することができる』
この言葉がなによりも響いた。
2020年の発売の文庫だから、彼女がその時どんな状況でなにを思いながらこの言葉を書いたのかはわからないけれど、今は亡き彼女のこの言葉がより一層刺さる。
何を纏って生きて