D・H・ロレンスのレビュー一覧

  • 世界ショートセレクション2 ロレンス ショートセレクション 二番がいちばん

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    恥ずかしながらロレンスを読んだことがなく、とりあえず子ども向けに訳された短編を読んでみた。
    あまりに素晴らしくすごい作品ばかりなので、驚いた。
    行動と言葉で、言葉を弄さずに登場人物の狂おしい心情を描き、独特の苦みのある余韻を残す。
    いやー、これは大人向けに訳された、もっとたくさん入った短編集をすぐさま買わなきゃ!と思ったが、今岩波のも新潮のも新刊書店では売っていないのね。がっかり。
    こういう子供向けの訳でもロレンスのすごさは伝わるが、子どもには、表題作や「馬商の娘」「乗車券を拝見します」など、わかるまい。わかっても困る。それくらい人間の深層心理(特に「恋愛」という罠にかかる人間の心理)を巧みに

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    2017年05月14日
  • 黙示録論 ──現代人は愛しうるか

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    副題は「現代人は愛しうるか」だが、死を直前に執筆したロレンスの結論は「愛することはできない」という断言で思わず苦笑い。本論はニーチェの唱えるルサンチマン批判からの聖書読み直しであり、そこに潜む弱者の羨望や権威欲とキリスト教が排除してきたはずの異教性を喝破する。実際、キリストがユダを必要とするように旧訳的な志向を持つ黙示録は新訳に必要とされ、その歪な選民的集団自我は現代の私たちも変わらず持ちうるものなのだ。愛の隘路の問題にロレンスは答えない。が、福田恆存の優れた解説は僅かながら確かな道筋を残してくれている。

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    2015年07月30日
  • 黙示録論 ──現代人は愛しうるか

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    内容の概要を初めて知ったとき、人々を脅かして布教活動を行いやすくするための文句なのだろう、くらいにしか思っていなかった黙示録。
    改めて指摘されると、虐げられていると感じている者の怨念や執念のようなものが纏わりついているような気がしてくる。黙示録の中で敵に復讐を企てているのだ。
    おどろおどろしい印象なのは変わらないが、内容がここまで振り切れているためか、よく考えてみると大変に人間味溢れる正典なのではないかとも思えてくる。

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    2013年05月29日
  • ゲイ短編小説集

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    タイトルに英米文学って入ってないのになんで英語圏の小説ばっかりなんだ!と最初こそいらだったけど一通り読んで一応納得。
    個人的にはワインズバーグオハイオが一番気に入ったけれど、どれもいい作品でしかも訳も読みやすいです。
    ジャンルで集めた短編集は数あれど、読み方から入るというのは新鮮な体験です。ただ逆にそれにこちらの読み方もどうしても寄ってしまうので、いろいろ考えさせられます。

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    2012年11月12日
  • ゲイ短編小説集

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    タイトルに引き寄せられるようにして読んだ本。こういう読書も私にとっては珍しい事だが。

    サマセット・モームやオスカー・ワイルドなど、有名な作家たちの描く全ての短編が、今のBL小説とは全然違った感じがした。勿論そういう物の原点となりうるのだろうが、もっと精神的なつながりだとか、哲学に生きるとか、女性を嫌うとか色々なアプローチで自分をカムアウトしたり、ゲイの世界を描いたりすると言う点で、素直に面白かったと思う。

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    2012年07月26日
  • ゲイ短編小説集

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    ストレートフィクションとゲイフィクションとの境界について解説で触れられているが、男性中心社会の言語で書かれてきた文学の多くがおそらくゲイ的解釈が可能。思想を語る人物はたいてい男性で、男性同士の結び付きで進行していく話は多い。書き手が女性だとしても、言論の自由に参加するには男性言語が必要。
    そのような観点でいうなら、これは特別にゲイ的なフィクションの短編集というわけではない。ストレート作品とされているものをゲイ的に読み替えるための良い練習にもなる。見慣れた価値観を半歩ずらしながら読んでみると興味深い。

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    2012年01月19日
  • ゲイ短編小説集

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    「W・H氏の肖像」「幸福な王子」「密林の野獣」「ゲイブリル-アーネスト」「プロシア士官」「手」「永遠の生命」「ルイーズ」「まさかの時の友」

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    2010年09月15日
  • ゲイ短編小説集

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    読みかけ。翻訳小説を読みなれていないので、魅力を十分に理解できていないところはあるが
    「幸福の王子」が収録されていて驚いた。彫像の王子とツバメの童話。
    他の収録に「これはゲイ小説なのか?」と疑問を持つものもあったけれど(作者がゲイということか?)
    「幸福の王子」のふたり(王子とツバメ)が本当は「愛し合っていた」のだと知れただけでもとても有意義。

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    2009年10月04日
  • チャタレイ夫人の恋人【分冊版】 1

    購入済み

    プライド

    クリフォードのプライド、わからなくはないけど他に誰か諫めてくれる人とかいなかったんだろうか。
    コニイの父が心配するのもわかるわ。

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    2025年08月06日
  • チャタレー夫人の恋人

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    同時に読み始めて、永井荷風の「四畳半襖の下張」から9日遅れで読み終えた。芸術か猥褻か、の判例で有名な作品だが、猥褻さはほぼ感じない。ベッドシーンはせいぜい数%程度か。(猥褻さは、村山由佳さんの「ダブルファンタジー」の方が十倍位えげつない。)

    内容は、純愛小説のような、昼ドラ小説のような。身も蓋もない言い方をすると、体の相性が妙に良い39歳の森番と20代の若奥様がセックスに嵌る、というお話。妻は世間体を気にしながらも最後は夫に告白し、夫は人格が崩壊する。

    純愛といえば純愛なのだろうが、恋愛のスイッチはどこにあるのかも分からなければ、いつオンになるのかも分からない以上、出会い頭の衝突事故のよう

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    2023年11月28日
  • 世界ショートセレクション2 ロレンス ショートセレクション 二番がいちばん

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    タイトルが気になって手に取る。
    ロレンスは名前しか知らなかった。
    表題作はまあまあだったけど、リアルな近代の人間を書くのがうまいとわかる。
    よくある環境、不思議な現象、シュールな終わり。
    ❮じわじわくる❯作家だ。

    印象に残ったのは
    馬商の娘
    乗車券を拝見します(集団ヒステリーこわい)
    木馬のお告げ(すごい話だ。私もアーサー王好きとして、馬にランスロットと名付けたい人生だった)

    短編だから楽しめた。

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    2022年11月29日
  • チャタレイ夫人の恋人

    購入済み

    森番のメラーズが
    かなりのイケメン
    肉体的にも美しい

    ただ不能になっても
    妻を愛している
    旦那が哀れになる

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    2022年11月29日
  • チャタレイ夫人の恋人【分冊版】 1

    購入済み

    川崎三枝子先生の書く

    チャタレイ夫人が色気があり美しい

    旦那は下半身不随になって

    チャタレイ夫人が抱けなくなって

    イライラしすぎ

    #シュール #深い #ダーク

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    2021年05月29日
  • チャタレイ夫人の恋人【分冊版】 1

    購入済み

    旦那が半身不随となり男性機能も失われていた…

    妻として夫を介護し支えようとしながらも、
    肉体関係のない夫婦生活は辛いとおもった。

    #ドキドキハラハラ

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    2021年05月27日
  • ゲイ短編小説集

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    どれも名作揃いのセレクトなだけにゲイという枠に括ってしまうのはちょっと勿体なかったかなあ、という印象。でも多様な読み方ができて、誰もが自分に引き寄せた読みができる、それでいて力を失わないというのが名作の名作足る所以なのかも。そういう意味ではやはりヘンリー・ジェイムズの「密林の野獣」が一番色々な読み方ができそうで一番面白かったかな。

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    2018年06月13日
  • 黙示録論 ──現代人は愛しうるか

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    黙示録が、他の宗教と共通するモチーフで満たされているという点を指摘する。
     なお訳者は、絶対者と科学の関係を指摘している。

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    2018年02月12日
  • 世界ショートセレクション2 ロレンス ショートセレクション 二番がいちばん

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    第一巻が怪盗ルパンのルブランで、二巻目がD.H.ロレンス~「二番がいちばん」失恋して実家に帰ってきた姉は幼馴染みに惹かれていく。「馬商の娘」父が遺した馬商も倒産が決まり、兄弟は身の振り方を考えるが、27歳のメイベルは池に身を沈めようとして、地域医療に献身している医師のジャックに救われ、着衣を脱がされたと知って愛を迫る。「乗車券を拝見します」世界一危険な路面列車の車掌のアニー・ストーンは検査係主任のジョン・トマス・レイナーに捨てられ、捨てられた車掌仲間を誘ってとっちめるが。「ほほえみ」……。「木馬のお告げ」ポールは家中から金が足りないという声が聞こえてきて、母親に聞くが、父親に運がないからダメだ

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    2017年08月31日
  • チャタレー夫人の恋人

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    クリフォード・チャタレーの妻コニーは、“男と恋に落ちるには、まず言葉で親密な関係を築く必要(p21)”がありました。そのため、性生活をあまり重視しないクリフォードとの、“性を超え、男の性的な満足感も超えた自分たちの間柄に”、“多少の誇らしい喜びを覚え(p31)”ていました。

    “ただコニーはどうしても子供が欲しいと思った(p31)”のですが、クリフォードが戦地から送り返されてきたとき、ずたずたの状態で、一命は取り留めたものの、体の下半分、つまり腰から下が永久に麻痺したままとなってしまいました。

    いつしかコニーには、“自分を犠牲にし、クリフォードに一生を捧げてどうなるというのか(p151)”と

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    2017年07月18日
  • ゲイ短編小説集

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    ゲイではないな、というツッコミは置いておいて。待望の復刊、嬉しかった。ゲイというよりは、なにか精神性のようなものに支配されている人間関係を描いた、とても印象深い短編が多い。

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    2015年05月23日
  • 黙示録論 ──現代人は愛しうるか

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    1930年、D. H. ロレンス最後の著作とのこと。
    本書の冒頭と最後で語られるところによると、ロレンスは少年時代から既に、キリスト教の「道徳臭」がイヤでたまらなかったようだ。この感覚はおそらく、19世紀末以降は普遍的にヨーロッパ人に共有された「時代の空気」であったろう。
    ロレンスは「黙示録」はキリスト教の文脈にさえそぐわない、異教的で、破壊への情欲に満ちたシロモノだと断ずる。そもそも「黙示録」の著者とされるヨハネと「ヨハネ福音書」の著者とされる人物は別人だと主張する。「黙示録」ではもともと異教趣味に満ち、イエスの「愛」にまったくそぐわないような、強者への復讐の願望/怨恨にあふれた書物であり、

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    2012年12月30日