姉小路祐のレビュー一覧
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二章、三章、大変な歴史解析力、警察を抑えて、時効後に事件を解決の持ち込んだ、娘と、時効ごの真実隠し縦割りの警視庁を暴く、再雇用警察官、面白い小説であった。
二章
藤原真代からの手紙
〝関西歴史出版社気付 南山進一先生 前略、失礼いたします。 今月の大滝寺教授による京阪大学市民開放土曜講座を楽しく拝聴しました。私は他の大学の卒業生なのですが、国文学科がありませんでした。しかたなく英文学科生となりました。大学時代は有意義でしたが、一つだけ後悔があるとすれば、好きな国文学について充分に学習する機会がなかったことです。 かつて代々庄屋をしていた私の家には小さな蔵がありまして、そこにいくつかの古文書が眠っています。とはいえ、特別に歴史的に価値のある史料はなさそうですし、書画や骨董の類もたいしたものは眠っていません。ただ一つ、私が気になっているのは、〝源氏 二の巻〟と表紙に行書体で書かれた古文書が長持ちの底にあったことです。綴じられているので、古文書というより、古書籍ですね。もちろん手書きです。 読もうとしましたが、紙がくすんでいるうえに古文です。そのうえ、読みにくい崩し字でした。それでも、藤壺という名前が頻繁に出てくることはわかりましたし、帝、内裏、更衣といった言葉も判読できました。さらに御息所という文字もあったのです。これは源氏物語の写本だろうと考えて、現代語訳と照らし合わせてみたのですが、そのような内容に合致する部分はありませんでした。表紙に書かれた〝二の巻〟というのは、元のものをアレンジした二番煎じのパロディという意味なのだろうと考えて、私は長持ちの底に戻しました。 けれども頭の片隅にはずっと残っていました。地下鉄の車内告知で、〝消えてしまった源氏物語〟という土曜講座の演題を目にしたとき、あの古書籍のことが蘇りました。 もしかしたら、何かヒントを得られるかもしれない。そう考えて、土曜講座を拝聴しました。そうしたら、五十四帖のうちの二帖目が現存しない幻のものという興味深い話を聞くことができました。 私の家は京都の洛北にあります。講座を拝聴したあと、長持ちを開けてもう一度〝源氏 二の巻〟を取り出しました。そして古語辞典を片手に、私の力で判読できる範囲で再び読んでみました。私は国文学科ではないですが、高校のときの古文は大好きでした。 藤壺や六条御息所のことだけでなく、皇位継承争いのようなことも書かれていました。これはどうやら、大滝寺教授がおっしゃっていた第一グループの政治小説のようです。表紙には〝源氏 二の巻〟とあるだけで、帖名は書かれていませんでした。原本を写したもののようですが、帖名は写さずに〝二の巻〟としたのかもしれません。この写本のもとになったのもまた写本で、そこに帖名が書かれていなかったというケースも考えられます。何しろ印刷などなかった時代ですから。 いずれにしろ、とても貴重な発見かもしれないという気がします。財宝のような金銭的価値はなくても、日本文学史を変える可能性はあります。 話は変わりますが、南山先生の歴史小説新人賞受賞作である『カスガの極秘』をとても興味深く読みました。私の出身地である京都も歴史に溢れた都市ですが、奈良はさらに古い歴史を擁しているのですね。歴史小説の形を借りながら、独自の見解を展開なさっている手腕には感服いたしました。深い専門知識と洞察力があればこその作品だと思います。南山先生の市民開放土曜講座も、もちろん拝聴しました。小説の内容を嚙み砕いてわかりやすい解説をしていただき、感動いたしました。 南山先生なら、私にはおぼろげにしか理解できない〝源氏 二の巻〟について、真摯にきちんとした研究をしてくださるのではないかと思い、筆を取りました。近いうちに大学のほうに電話をいたしまして、詳細をお話しさせていただきたいと思っております。その節はよろしくお願いします。 藤原真代〟
紫式部日記の中に〝内裏の上の源氏の物語、人に読ませたまひつつ聞こしめしけるに〟という記述があることや、〝あなかしこ、このわたりに若紫やさぶらふ〟と声をかけられたことが書かれていることくらいしかありません。
人生百年時代の警察小説。定年退職後、再雇用警察官として長年のキャリアで培った人脈や刑事の勘を存分に活かして事件を解決に導く安治川信繁の活躍! 第一話「黄金の闇」ネット社会の浸透は目を見張るものがあり、いまや出会いや結婚までネットを介してのものが主流になろうという勢いだ。しかし、手軽さの裏には危うさも孕んでいる。そんな状況下で起きた行方不明事件を追う安治川ら消息対応室が直面する現代の深い闇…。第二話「紫の秘密」源氏物語の謎を契機とする失踪事件と大学院卒業でもなかなか正規の大学教員になれぬオーバードクター問題が絡んで、アカデミズムの得体のしれない壁に突き当たり、安治川たちは呆然と立ち尽くす…。第三話「反転の白」殺人罪の刑事上の時効は廃止されたが、既に成立したものは再捜査されない。捜査の途上でそんな被害者遺族の不公平感に直面した安治川は、あるキャリア警察官僚と激しく対立しながら悩みに悩む…。 -
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介護した側からはこうなるんだな。毒親だったりした場合でもクハラ法は結構有用かも。兎も角記録せよ、メールでやりとり、電話のやり取りは録音、介護記録を残す、現金出納帳を別建てでつけるクレカは使わない、立て替えで払うことはしない>贈与になる。口座記録を調べられることを覚悟する、相続財産はいらないの念書は無効なので書かれても介護を頼む方がいい、自宅介護だと訪問介護がない、要介護者の預金は本人に引き出させるか委任状を保存する、立て替えは返ってこないとする、休職退職理由は介護のためと書く>介護保険使うべしで逸失利益はまず無理。施設入所後の支出は取り崩し額と1円まで合うように記録する。相続の際に弁護士を立てても弁護士任せにしないで出廷する。
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ミステリーと思って読むとダメだけれど、京都ネタに詳しくなる本として読めばなかなか面白かったです。
最後がブチっと切れた感じではあるけれど…。
京都案内~ミステリー小説風~と思って、読んでみるべし。
鬼門・神門のバリアーとダキニへの信仰で現世の栄華を最期まで誇った徳川家康との関係など、違った角度で京都を見ることができました。
でも、京都御所って平安初期と今の場所は違うし、秀吉時代にかなり町にも手が加わっているから、京都ネタはネタが尽きない反面、つっこみやらいろいろあって、それはそれで自分で楽しめばいいと思います。
ダキニのお稲荷さんネタを自分は知っていたので、その辺をもっと掘り下げてくれたら良かったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大学助教授から東京地検特捜部検事へ―香車勇人(かしゃはやと)、33歳。
大学の不正入試に関する告発状の真偽を調べる中、浮かび上がる理事長と仕手集団とのつながり。
株、金をめぐる、裏の世界での合戦へと香車が挑む。
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きっかけはドラマ版の再放送をたまたま見ていて、主役を演じた加藤剛さんの渋さにやられてしまって(笑)
ドラマはこの『東京地検特捜部』シリーズの二作目にあたるお話だったようですが、シリーズはなるべくイチから読みたくて、こちらから。
検察庁法第十八条により、司法試験を通らずとも3年大学で法律学の助教授を勤めていれば検察官になれる―助教授は呼び名が現在准教授だし、法律も変わっているかもしれませんが、そうなんだ…とぱちくり。
そこだけ言うと何だかお得な感じですが、香車が助教授を勤めたのはきっちり3年。
5年勤めていれば、彼は他の司法試験をパスした検事たちと同じく、検事を辞めた後に弁護士への転向が可能だったのに、それができない。
そういうわけで、香車は他の検事たちとは違う存在を示す。
検事的常識がない分、型破りなこともしつつ事件の真相に迫ってゆく。
ドラマとは設定が色々と違うものの、なかなか楽しく。
相棒のベテラン事務官、小東が最初は香車に対して『なんだ、こいつ、フンッ(イメージ)』だったのが、気付くとすごく熱心に事件を追いかけて、すっかりワトソン役。
もともとフットワークが軽いひとでもあったんでしょう。
検察官は“あくまでも経済検察”が本分であるので、香車がメインで追うものも経済事件ではあるものの、犯罪色あり、刑事事件の様相も呈してきたりと、色んなものがからんできて…。
金融関係に対する知識がさっぱりなかったので、深い意味では理解できていないなーとは思いますが、裏世界と戦う香車の姿にハラハラを楽しむことができました。 -
Posted by ブクログ
バブルの時代の小説。平成の初め、土地がどんどん上がっていて、銀行の金利が5% (そんなことが本当にあったんですよ) の頃、京都の一角で繰り広げられる地上げ合戦。反対派の最先鋒だった旅館女将が、自殺を遂げたところから、不信を抱いた大阪のコテコテ司法書士と妹が謎を解いていく。
読みやすい。さらに、土地の売買に関するあれこれも、非常に丁寧に説明してある上に、平成に入ったあたりの京都のゴタゴタ(古都税、高さ制限)なども取り入れてあり、バックグラウンドが京都にある人もない人も楽しめる。
事件自体は最終章まで、少しずつしか手がかりが見られず、あたかも空振り続きのように思えるのだが、最後にその薄い証拠をバッチリと束ねるのは見事。
かなりどぎつい大阪弁に、表紙同様古臭くて濃いキャラクターが少々万人受けではないし、さらにはバブルを知らない人にとっては、「土地が前年の50%上がる」なんてのにピンとこないなどもあるだろう。その辺はまあ、そういうもんなので。
最近はこのレベルのを書ける人は少ないだろうなあ。