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Posted by ブクログ
バブルの時代の小説。平成の初め、土地がどんどん上がっていて、銀行の金利が5% (そんなことが本当にあったんですよ) の頃、京都の一角で繰り広げられる地上げ合戦。反対派の最先鋒だった旅館女将が、自殺を遂げたところから、不信を抱いた大阪のコテコテ司法書士と妹が謎を解いていく。
読みやすい。さらに、土地の売買に関するあれこれも、非常に丁寧に説明してある上に、平成に入ったあたりの京都のゴタゴタ(古都税、高さ制限)なども取り入れてあり、バックグラウンドが京都にある人もない人も楽しめる。
事件自体は最終章まで、少しずつしか手がかりが見られず、あたかも空振り続きのように思えるのだが、最後にその薄い証拠をバッチリと束ねるのは見事。
かなりどぎつい大阪弁に、表紙同様古臭くて濃いキャラクターが少々万人受けではないし、さらにはバブルを知らない人にとっては、「土地が前年の50%上がる」なんてのにピンとこないなどもあるだろう。その辺はまあ、そういうもんなので。
最近はこのレベルのを書ける人は少ないだろうなあ。