宇都宮徹壱のレビュー一覧
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2008年この本のに出版された地域リーグでJを目指すチームの現状を描く宇都宮徹壱氏のルポ。
北海道から九州までの各地域リーグから1チームずつを実際にクラブの元へ足を運んでの取材することで、Jリーグ百年構想の光と影を見つめなおす。
2012年になりJ1・J2併せて40チームとなりJ2とJFLの入れ替え制度が導入された。また2014年にはJ3が開始されることも決定した。そんな国内サッカーの構造が大変革を遂げている今だからこそ、地域リーグからJを目指してクラブチームが群雄割拠し、一丸となってJを目指していたこの時代を振り返ってみようと本書を手にとった。
本書の構成は北海道から九州までの地域リーグからJを目指すと標榜しているクラブを訪れて、地域リーグでのクラブ経営の実態や選手たちのプレイ環境などについて取材が各1章ずつ。また、2006年・2007年の地域決勝大会(地域リーグからJFLに昇格するための大会)や2007年の全国社会人サッカー選手権大会に密着してアマチュアサッカーの勝負の世界に迫る章で、それまで訪れたクラブの全国での現在地を確認している。
特徴は各地にフットボールの種をまこうとしているフットボール関係者に対する宇都宮氏の愛ある眼差しであろう。地元のフットボール選手の受け皿となり、彼らが全国で活躍できる舞台を用意したい。もしくは実業団の撤退などによって衰微しつつある地域のフットボール文化を永続的なものとして根付かせたい。そういった想いをもってサッカー協会や高校などと一丸となりJを目指し地域リーグで奮闘している彼らに対し、同じフットボールを愛する者として文章で時には激励し時には叱咤する。日本の「草の根」にいるフットボールファミリーの幸せを願ってそれぞれのクラブ訪問記は描かれている。(実際は地域リーグは草の根よりはだいぶ高い位置にいるのであるが。)各クラブの現状はまちまちである。ノルブリッツ北海道やFCMioびわこ草津のように充実した練習環境をもつチームもあれば、ファジアーノ岡山のように練習環境や資金面で満足いく状態に達していないクラブをある。しかしフットボールの力を信じ、正統に地域に根を張り然るべき努力を続けていけば明るい未来が見えてくるという、百年構想の楽観主義に対する共鳴が伺える。
一方で地域決勝大会や全国社会人サッカー選手権大会の取材では、地域リーグの過酷な現状も見えてくる。Jを目指すチームが増えたことによる競技力の急激な向上と経営陣のプロ化であったり、Jという目標を見据える一方で全国リーグを戦い抜く体力がないクラブ経営の現状といった部分についても触れている。なかには本書冒頭で取材したクラブが最後の地域決勝大会では経営の失敗により存続の危機に窮しているといったショッキングな記述もあったりする。(宇都宮氏はこの部分について深くは触れていないが。)
全体を通して本書を取り巻く雰囲気は前述のとおり、楽観的で愛あるものになっている。欧州を巡り当地のフットボール文化を目の当たりにした宇都宮氏にとって、そして本書を手にとるような人種にとって日本でも同じような文化が根付かせるために奮闘しているフットボールファミリーの姿は、様々な不安はありつつも基本的には応援したい姿であったのだ。今となってはこのJリーグ拡大に対する楽観主義は懐かしいものになりつつある。今思えば本書が発売され、大分トリニータがナビスコカップで優勝した2008年はこの百年構想主義とも言えるフットボール文化への楽観のピークであった。2008年末にはFC岐阜の経営危機、2009年には大分トリニータの経営危機と相次いだ地方クラブの経営問題の中、フットボールクラブと資金という問題が一気に噴出することとなる。
やや後出し的に言うことを許していただければ、本書の発売後に発生したこういった問題の根底にあるのは、そのまま本書で触れるべきであったが触れていない内容でもある。それはフットボールと地域社会の関係である。フットボールを社会にどのように還元するのか、フットボールファミリー以外に対する目配せはできているのかということである。宇都宮氏の本業はサッカーライターであることもありサッカー協会や地元高校との連携といった競技面での取組についてはよく触れられているが、一方で自治体や地域経済界との連携についてといった側面については切り込みが少ない。J2ライセンスや今後導入されるであろう新ライセンスでは競技場についてのハードルがしばしば問題になり、自治台に大きな負担をかけている。2008年前後の時期にJリーグを目指す下部のクラブと地域社会の関係を探りたいと思ったが、そういった向きにはあまり参考にならずに残念だった。 -
Posted by ブクログ
松本山雅というクラブを意識しだしたのは
いつくらいからなんだろう。
同じ著者の「股旅フットボール」を
読んだあたりだと思うんだけど
実際に初めて山雅の試合を見たのは
2008年の天皇杯、神戸戦。
当時、北信越リーグのくせに
ウイングスタジアムのアウェイゴール裏に
1000人近くのサポーターが集まってたのが印象的。
で、昨年の「クラシコ」とか、
松田直樹の件とか、
アルビレックスがやっちゃった件とか、
J2昇格とか、(ここまでが本の中身)
ソリさん&野澤入団とか、
個人的にはいろいろ突いてくるクラブのひとつ。
で、この本。
数名の知人wが
登場(おもに、というかすべて8章w)することもあって
しかも、その知人たちが文中で述べているように
「やっぱり、いまがいちばん楽しい」感じが、
はたから見ててもわかる。
もちろん、今年からJ2も入替戦があったりするので
気が気ではないだろうけど。
映画「クラシコ」も楽しかったけど
この本も十分に楽しい。
(松田直樹の件は悲しむべき出来事ではあるけれど)
オリンピックで日本代表に興味を持った方にも
いずれ(←ここ重要)読んでほしいな、と思う1冊。
そして、新潟…。 -
Posted by ブクログ
どこも大変なのではあるが、社会人チームの大変さは、ちょっと特異ではないだろうか。
社会人チームの選手たちの多くは、普段は普通に仕事をし、シーズン中は土日に試合がある。職場で頑張り、絞られたりつきあいがあったりしながらも、帰ると走りトレーニングをして、終末に向けてコンディションを整える。交通費その他いろいろ自腹、誰のサポートがあるわけでもなく、怪我をすれば仕事にマイナスになることだってある。
本当に、好きでなければ出来ない…と、思う。好きだから、悪条件をなんとか乗り超えて、週末のピッチに立っている。
これは、松本山雅、松田直樹の物語であり、そしてそんな日本中の社会人サッカー小僧への応援でもある。 -
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2011/2/26 メトロ書店御影クラッセ店にて購入
2011/3/18〜3/25
宇都宮さんは下部リーグからWカップまで幅広く取材しているサッカージャーナリスト・写真家。本書は今回のワールドカップ期間中にスポーツナビに連載されていたコラムをまとめたもの。早いものであれからもうすぐ一年になる(ということは次のワールドカップまで3年だ)。大会前は不振を極めた我らが代表チームが力強く勝ち進む様、ワールドカップを主催する南アフリカの人々、アフリカの人々の躍動ぶり、各国サポーターの動向など生で見ないとわからないことが満載。ああ、行きたかったなぁ。 -
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仕事でJリーグのことを知る必要があって、Jリーグで一番エラいチェアマンを一番長く(初代の川淵三郎さんを除く)勤めた村井満さんのことを書いた本書を手に取った。
第5代チェアマンの任期は2014年〜2022年の4期8年。この間、2ステージ制の一時的な復活(村井さん就任前の決定事項)と1ステージ制への再軌道修正やら、浦和レッズサポーターの人種差別横断幕事件から、八百長疑惑やら、DAZNとの大型契約(Jリーグ発足からの20年超のスカパーとの契約の解消)やら、極め付けのコロナ禍での全試合開催やら、様々なことが起き、様々なことをやり遂げた話が語られる。(就任時点でJリーグが経営危機にあったことは、自分は全然知らなかった。)
リクルート出身のビジネスマンが、(熱狂的なサッカーファンであるとはいえ)門外漢のプロスポーツのトップマネジメントを如何に成し遂げたか、という点は非常に刺激的だ。何度も繰り返し登場する経営観「組織と魚は天日にさらすと日持ちが良くなる」というフレーズは、透明性と説明責任の重要性を説明するフレーズとして秀逸だと思う。
トップ人事の選考過程が何度か登場するが、トップに相応しい要件というのは、固定ではなく、そのときの組織の最重要経営課題を解くのに最も相応しいひとがその立場に立つべきだ、という当たり前のことが非常に実感出来る内容だった。
あと、細かい話だが、コロナ禍で、Jリーグが、協賛金を回数等の制限なく全額広告費として損金参入出来ることを、国税庁通達で確定させたことが、協賛金を出す企業側にとって予見可能性を高め、業界の発展に絶大な効果を果たしたのだそう。また、この点は、長らく、プロ野球とJリーグの格差だったらしい。色んな既得権があるものだ。
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2010年に行われた南アフリカでのサッカーW杯の観戦記。
先週の金曜日、6月4日から2014年にブラジルで開催されるW杯のアジア最終予選が始まった。日本は1・2次予選を免除され、3次予選からの登場だったけれども、それでも3次予選が始まったのは去年のことであり、ということは、南アフリカでのW杯の翌年のことになる。サッカーのW杯は4年に1度の大会で、間合いが長いように感じるけれども、こうして予選から考えてみると、ずっとW杯はやっている、という風にも考えられる。
2002年の日韓W杯、2006年のドイツW杯は現地に観戦に出かけた。2002年は韓国で、スペイン対パラグアイという、今から考えるとけっこうな試合(ラウールがスペイン代表のエースであり、パラグアイにはチラベルトがいた)を観戦し、2006年はドイツ・カイザースラウテルンで、思い出すのもイヤになる日本対オーストラリア戦(日本が終盤に大逆転負けを喫した試合)を観戦した。もちろん、南アフリカにも観戦に行きたかったのであるが、お金も暇もなく(韓国は近くて安かったし、ドイツの時には”たまたま”出張と重なっていたのだ)、断念した。2014年のブラジルも遠く、よほどの幸運がないと行けそうにない。次に現地でW杯を見ることが出来るのは、仕事を引退してからだな、と思ったりする。
サッカー観戦は何でも大抵好きだ。海外のリーグ戦もJリーグも高校サッカーも。自分の子供がやっていた少年サッカーでも面白かった。生で見ても、テレビで見ても面白い。それでも、W杯を現地で見るのは、また違った味わいがある。
2006年のドイツW杯の日本対オーストラリアの試合の行われたカイザースラウテルンというのはフランクフルトから電車で30分くらい(だったと思う)の小さな町だった。僕もフランクフルトから電車で会場に出かけたのであるが、電車は満員。乗客は勿論日本人ばかりではなく、オーストラリア人も乗り込んでくる。行きの電車は日本人とオーストラリア人が乗っていても和気藹々としたものだった。満員電車の中に、でかい身体をしたオーストラリア人が大量に乗り込んできて、正直迷惑な気もしたけれども、まぁ、4年に1度の晴れ舞台だし、という余裕がまだあった。試合は1対3の逆転負け。それも、信じられないような崩れ方をした逆転負け。帰りの電車は意気消沈した日本人と、大騒ぎのオーストラリア人の乗り合いとなった。オージーは基本的に陽気で人が良い(のだと思う)。ナイスゲームだったな、と話しかけてくるが、相手に悪気はなくても、こちらは、これほど不愉快な気持ちになることは滅多にないだろうというくらい不愉快な状態だったので、うっとうしいばかりだった。去年のアジア杯の決勝戦、李のゴールで延長戦で日本がオーストラリアを下した時には、5年越しに敵をとった気になり、それ以来、李のファンだ。
とまぁ、どうでも良いことだけれども。