宇都宮徹壱のレビュー一覧
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元Jリーグチェアマンの任期に起きた出来事を詳細に描いた一冊。
自分が普段見ているJリーグ。チームについて情報を得ることはあるけど、運営する側のJリーグ自体に思いを巡らす機会はあまりなかった様に思う。
例えば、秋春制の議論や昇降格のチーム数の話など、決まった決定や議論に対して意見を持つことはあれどそれを決めている側がどういう思いや行動を持って決めているかなど考えたこともなかった。(そういう人がいる事は理解してますが)
村井さんの任期中にはDAZNの話やコロナ対応など未曾有の転換点を迎えている。今当たり前に楽しませてもらってるJリーグは当たり前だけど、それに関わり決断してきた方のおかげで成り立っている。
身近な接点であるチームの裏に、Jリーグという組織があることを頭に入れた上でこれからもサッカーを楽しんで行こうと思う。
Jリーグを見ている方は必読の一冊だと思います! -
Posted by ブクログ
ネタバレ松本光平選手がたどってきた道は、失明危機に陥ったことに隠れてささいなことにも見えるけれど、一つひとつの事象を取り上げて積み重ねると、あの山中幸盛(鹿介)も顔を曇らせるくらいの艱難辛苦の連続だ。それでいて、この明るさ……。
読みながら「オレ、無理っす」と、たじろぎそうになる。それでいて前向きな読後感を得られるのは、「しなやかなメンタリティ」というワード。「鋼のメンタリティ」だなんて、ふつうの人にとってはハードル高いけど、「しなやか」であれば、なんか自分にもできそうな気にさせられる。でも実際には、「鋼」よりも難しいのかもしれないんだろうなあ。 -
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日本全国のサッカークラブの試合を観戦したり、クラブを取材したりした記録。取材した時点でJリーグに所属していたクラブは記録対象とはなっておらず、JFL以下のカテゴリーで戦っているクラブが対象となっている。
2つ感じたことがある。
1つは、サッカークラブが地域リーグからJリーグのクラブになることの難しさである。時間とお金と関係者の懸命で賢明な努力と、そして運がなければならない。この本に紹介されているクラブの多くは、もともとは都道府県リーグからスタートしている。県リーグ、地域リーグ、JFL。県リーグや地域リーグは2部制や3部制になっているケースが多いので、県リーグの一番下から始めたサッカークラブは、所属リーグでの昇格を相当数繰り返さないと、Jリーグまで到達しない。Jリーグに到達するには、サッカーが強いだけでもだめである。財政的基盤がしっかりしていないといけない、観客数がある程度の規模でなければならない、試合会場がしっかりとした競技場でなければならない、等、越えるべきハードルは多く高い。ただ、そのようにハードルが高いからこそやりがいがあり楽しいとも言える。サカつくというゲームがあるが、まさにこのような状況を模擬体験するようなゲームなのだろう。
もう1つは、企業のサッカーチームの意味合いである。Hondaやソニーなど、JFLに所属する、すなわち、全国レベルの強い企業チームはいくつかある。意味合い、とは、Hondaやソニーにとって、JFLのチームを保有している意味が何なのだろう、ということだ。企業の福利厚生的なレベルは超えている。お金も相当にかかるだろう。一方で宣伝効果は薄い、JFLの観客数は3ケタのことも多いようである。Jリーグを目指すわけでもない。企業スポーツがなければスポーツとして日本では成立しにくい競技もあると思う。例えばハンドボール、例えばカーリング、例えば長距離走(駅伝みたいなもの)などは、プロとしてチームが成立しそうにない。逆にサッカーや、例えば野球の場合には、プロスポーツとして成立しており、企業がそのスポーツ競技の振興の意味でやる理由や意味はない。ここは、著者も問題意識を持ち、取材をしたりしているが、あまり納得感のある答えはなかった。
というような事を考えながら読んだが、そんな事を考えずとも、単純に読み物として面白い。コアなサッカーファンには、お薦め。 -
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私はサラリーマンであるが、若い頃に、所属している会社のサッカー同好会に籍を置いていたことがある。私自身は上手い選手とは言えない。というか、私ばかりではなく、籍を置いているほとんどの者が、学生時代にサッカーをやっていて、会社に入っても好きなサッカーをやりたいという気持ちで同好会に入ってきている。本気でやっている企業のサッカー部とは異なる。練習はない。その地域のサッカーリーグに加入したり、天皇杯の予選に参加したり、要するに時々試合を楽しみ、更には試合の後の飲み会を楽しむという同好会であった。我々自身は、平日は仕事と飲み会で不摂生を続けているわけで、学生時代、それなりに体育会等で頑張ってやってきた連中でも、会社に入って1年もすれば、学生時代の身体の切れはなくなる。
日本のサッカーはJ1を頂点にしているが、実は、それは、最底辺の、我々が所属していたリーグまで繋がっている(私がやっていた頃は、今と少し構成が違うだろうが)。J1,J2,J3のプロリーグの下に、JFLという全国リーグがある。ここには、企業サッカー部がまだ存在したりしている。JFLの下は地域リーグ。九州とか四国とかの地方ごとに存在するリーグ、これがたいていの場合、2部構成になっている。JFLがJ4、地域リーグ1部がJ5、2部がJ6。その下に都道府県リーグがあり、これも2部構成のところが多い。県リーグの下には、県の地域、例えば県北とか県南とかのリーグがあり、その下に市のリーグがあり、これも大きな市だと2部とか3部構成になっている。例えば市リーグの2部にいるチームは、都道府県によって異なるが、J12とかぐらいになるのだ。我々が試合をしていたのは、そのレベルのリーグであった。
そのレベルのリーグであったが、一応、J12であり(そんな呼び方はしないが)、11年連続で所属リーグで優勝したりすれば(もちろん、スタジアム保有等の別の条件も出てくるが)、J1入りが理屈上は可能なのである。更にはJ1で優勝し、ACLで優勝すれば、世界クラブ選手権に出場し、バルサと試合をすることも可能なのである。そういった繋がっている感は、サッカー競技の良さであったと思う(「あったと思う」と書いたのは、さすがにプレーは随分以前にやめているから)。
本書は、JFLよりも更に下のリーグのチームに焦点を当てて書かれたものであるが、そういった、繋がっている感が、というか、実際に理屈上、Jリーグと繋がっていることが、地域のクラブチームのモチベーションになっているケースが多いことが分かる。
本書を読んで、もう1つ考えたのは、企業スポーツがどうなっていくのかな、ということである。
Jリーグが出来た時、多くのチームは前身の日本リーグから乗り移ったものである。フロンターレは富士通、横浜マリノスは日産、名古屋はトヨタ、ガンバはパナソニック、セレッソはヤンマー、アントラーズは住友金属、等々である。
Jリーグは企業チームは参加できない。企業チームは、最高でもJFL、すなわち、J4までしか参加できない。JFLのHPを調べてみると、JFLのうち、企業名を名乗っているのは、HONDA, ソニー仙台、マルヤス、ホンダロックくらいである(判断できないチーム名もあった)。その他は、基本的にクラブチームである。HONDAにせよ、ソニーにせよ、そのチームでJリーグを目指す訳ではないというだけであり、プロ契約の選手はいるだろうし、Jリーグ出身の選手や、今後、Jリーグでプレーすることを目指している選手も多いはずである。要するに、サッカーという競技においては、トップクラスのチームはすべてプロのクラブチームであり、昔ながらの企業チームは、既にないということである。
サッカー以外を見てみると、野球は12球団のプロ野球を頂点に、その下には、独立リーグがあり、また、サッカーとは異なり、社会人チーム(企業チーム)も、まだまだ多いが、最近はクラブチーム化の流れがある。バレーボールは、プロリーグがあるが、企業チームが参加している。バスケットボールはJリーグ方式のBリーグが発足。ラグビーはプロ契約選手も多いのだろうが、企業名でのリーグが行われている。
全般的には、競技によってその程度は異なるが、プロ化の流れが基本的にどの競技でもあるのではないかと思う。ただ、プロが存在し得るかどうかは、競技によって異なるだろう。ただ、サッカーや野球等のように、プロリーグが存在し得る競技では、企業がチームを持つ意味は、ほとんどなくなりつつあるのではないかと思う。
本書を読んで、上記のようなことを考えた。
そういったこととは関係なく、本書は単純に読み物として面白いので、サッカー好きの方にはお薦め。 -
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宇都宮さんの新刊、待ってました!
「股旅フットボール」もすごい好きだけど、
こうやって丹念にJFLより下のカテゴリーにいる
サッカーチームやその地域の人々を取材し
そこに今あるサッカーを僕たちに教えてくれます。
J1やJ2の華やかな場でのサッカーばかり見ている自分にとっても
すっごく考えさせられる内容です。
Jリーグを目指すクラブ、目指さないクラブ
それぞれに多かれ少なかれのサポーターがいて
サッカーとともにある日常がある。
選手たちもそれぞれのモチベーションを持って、
自分の人生とサッカーとを考えながら過ごしている。
全国に本当に自分が知らないサッカーがいっぱいあり
どの場所も見にいきたい、そんな欲求にかられました。
いつか全国を、うん、行くかね。 -
Posted by ブクログ
じっくりゆっくり時間をかけて読んだ本。
昨年度、大阪の万博競技場でガンバ大阪VS松本山雅の試合を見た。
試合結果は1-0でガンバ大阪の勝利。しかし試合内容はガンバがほとんどの時間においてボールを支配しているにも関わらず、山雅が根気のある守備をし、ゴールネットを揺らした1点は山雅のオウンゴールであった。試合後、負けたはずの山雅のサポーターたちは大声援のチャントで選手を迎えた。「ガンバのイレブンにゴールを決めさせなかった!よくやった!いい試合だった!」と、わたしにはそう聞こえた。「遠くから応援に来たのにも関わらず負けてしまったのに?なぜ?」とわたしの心の奥に何かが引っかかった。長い前置きになってしまった。気になっていた松本山雅にさらに注目をしはじめたのはこの試合がきっかけだった。
この本を読んで、わたしの心の奥に引っかかっていたものはなくなった。
なるほど、松本山雅。おもしろいチームだ。
松本山雅について少しでも気になる方はぜひ読んでみてほしい。 -
Posted by ブクログ
2005-2007年頃の、地域サッカーを題材にしたルポルタージュ。
同じ方の『フットボールの犬』が文庫になったのを知り、久々に再読。
サッカーへの愛にあふれた一冊、です。
泥臭くてウェットで、それだけに心に響くものが伝わってきました。
Jリーグの100年構想に基づく、地域に根付いた「サッカー」、、
華やかさだけではない、その光と闇を丁寧に浮かび上がらせてくれています。
スポーツを地域からボトムアップしていくことは、社会貢献にもつながって。
その可能性を感じさせてくれるのは、読み応えがありました。
ん、今回取り上げられた「わが町のクラブ」の数々に、
10年後に再び巡り会ってみたいものである、なんて。
なにはともあれ、サッカーを生で観たくなる、そんな衝動にかられます。
地元のスポーツクラブ、あらためて探してみよう、うん。 -
Posted by ブクログ
一気に読みました。
僕が松本山雅というチームを知ったきっかけは、07年に大学進学を機に松本に引っ越してからになる。当時チームは北信越リーグ1部を戦っていた。とある授業の一環でそのホームゲームの試合運営ボランティアを体験することになったのである。たしかパルセイロとの「信州ダービー」だったと思う。(無料試合ではあったが、6000人近く入場したと記憶している)
その後、何度かボランティアとして運営のお手伝いをしてきた者としては、山雅がJ2で戦っていること自体がまだ信じられない。「ホントよくここまで上がってきたなぁー」と感慨深い。
2011シーズンは本当に「松本山雅劇場」だった。(たぶん初版を手にしている人のほとんどがそう感じていると思う。)
改めて、松田直樹というサッカー選手の存在が与えた影響をひしひしと感じたし、個人的にも就職して松本を離れることになったため、山雅を松本との接点のように感じていた。
そんなシーズンを取り上げている本書を読み進めていくにつれ、だんだんと興奮する自分がいた。
今シーズンはJ2に昇格して、これまで2試合しか観戦できていない。
また、アルウィンのゴール裏でタオマフを振り回したい、そんな気分にさせてくれた。