福島鉄平のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
青年誌掲載の読み切りを収録した短編集。表題作「アマリリス」は借金のカタに女装パブに売られた少年・ジャンの物語。
勉強もできスポーツも得意、明るく母親想いのいい子だったジャンが汚い大人の世界を知って堕ちていく姿が痛くていじらしく愛おしい。
女装、ショタ、百合、BL、同性愛などやや倒錯的な要素を含む刺激的な題材を扱っているが、むしろ見所は思春期の少年少女のナイーブかつデリケートな変化を詩情に乗せてすくいあげる、リリカルで繊細な心理描写。
汚れた自分がそばにいたら友人までも汚してしまうと怯えるジャン、「きれいはきたない、きたないはきれい」の格言さながら彼を取り巻く環境が荒み翳りを帯びる程にひたむきにポールを想い自ら汚れ役を演じ身を引こうとするイノセンスが光る。
本作には大人びてシニカルな眼差しと斜に構えたシビアな態度のキャラも多く登場するが、そんな彼や彼女がふとした時に見せる背伸びした虚勢が剥がれた素顔の脆さと弱さ、無垢さや純粋さには心打たれる。
貴族の令嬢としてわがまま一杯に育ったルチアの人を見下し小馬鹿にする嘲笑、卑屈に媚びた醜い笑顔、洟水や涙をどばどば垂れ流す泣き顔といい、やや誇張された表現ながら多感に移ろい動く感情がストレートに伝わってきてぎゅっと胸を掴まれる。
ジェンダーを跨いだ描写が多いのは、成熟した男と女になる前、未だ男でも女でもない「子供」という未分化の性から羽化する通過儀礼と解釈。とはいえセクシャルな行為もキスどまりなので、その手の作品に免疫がなくてもさほど抵抗は感じない。
登場人物がいずれも弱さや歪み、劣等感を抱えているのも特徴。
全編通して共同体から迫害され忌避され孤立し、疎外感を味わってる子供たちのささやかで甘やかな共依存(「この美しく残酷な世界で二人」)と、その自立を描く物語と思った。
それを踏まえて単行本の描き下ろしを読むとポールとジャンの関係性が昇華され、なお一層感慨深い。
コーヒーを飲み干した後に溶け残る砂糖のようなほろ苦い余韻が素敵だった。 -
Posted by ブクログ
作者の他作品については未読。本屋で見かけて気になり入手。なんとなく、あぶない香りのする表紙絵が印象に残っていたからだ。それぞれの作品のキャラクターの持つ特性が、それだけでも面白かったので色々な人間の魅力に触れてきた人なのだな、と思わせられる。良くも悪くも、魅力的。誰もが幼い時、当たり前に受ける制圧に、進行形でおかされている少年少女たちの思考や行動が酸っぱい。メリハリのある線が少年少女たちを表現するのにマッチしていた。いつでも消えてしまいそうな幼く繊細な線と、誇張しているくらい元気な太い線とがその登場人物たちの心をも表しているように思えた。絵柄は最初、題材に対してポップすぎるかな?とも思ったけれど小百合ちゃんが可愛すぎたし、物語に合わせてうまく描き分けてあるのだと理解した。
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Posted by ブクログ
ネタバレ一言で言うなら、漫画版「大喜利」。または西尾維新版「世にも奇妙な物語」。個人的には「友達いない同盟」が読みやすかったですね。理由は「会話ネタが好きなんで」。話の展開の仕方は再読必至な「ハンガーストライキ!」が良かったかも。
以下、各話のネタバレ含む感想。
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「娘入り箱」(×暁月あきら)
ボーイミーツガールで異類婚姻譚。オーソドックスな恋愛物語。
「RKD-EK9」(×小畑健)
これは黒かった。(笑)
シニカルなオチがなんだろう、筒井康隆っぽいかな。
「何までなら殺せる?」(×池田晃久)
ホラー……なのかな?
愛ゆえに、というか価値観の相違、というか。
人間よりもペットを、哺乳類を、植物を上位に考える人、少なからず、でも確実にいるしね!
で、愛が高じすぎて事件を起こすことも。
「ハンガーストライキ!」(×福島鉄平)
掛詞である「hanger」と「hunger」、そして「strike」の意味が作品全体のテーマになっているので、ぜひ辞書を引いてみて!
性能が格段に上位の相手にどう勝利するか、が見所だったが、既に冒頭でヒントが出ていたか。
メイン二人がなぜ“女性”なのかは、オチで納得。おそらく、伝説シリーズ・四国編の“アレ”を逆転させた発想が元にあると見た。なんせ『魔法のコスチューム』だし!
「恋ある道具屋」(×山川あいじ)
料金を恋愛を成功させるのに見合う対価だと思えば「イイハナシダナー」。悪魔や魔力が本物か偽物か、曖昧にしたまま、というのもいい余韻を残している。
「オフサイドを教えて」(×中山敦支)
サッカーを知らない人でもオフサイドなら解るようになる漫画かも。
起承転結の“転”にあたる「理由」が予想外に重かった。しかしその分、“結”までに至る展開に良いスピード感が出ていましたね。
「どうしても叶えたいたったひとつの願いと割とそうでもない99の願い」(×中村光)
「どんな願いでも叶う。ただし、たったひとつだけ――」
理想的な願いを考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えて考えた結果、自分“だけ”を救う、現実的な願いだった。なんと自由で不自由なことか! これって一種の哲学ですよね。
で、十二大戦の詳細は別日に出るとか。書きたくなっちゃったんだろうなあ。
「僕らは雑には学ばない」(×河下水希)
雑学を「雑に学ぶ」と読むのは結構な「アハ体験」だった。趣味の一つが旅行だから、その体験から来ているのだろうか。
でも確かに、「超音波や音叉で味が変わる」とか「蛇口に磁石を取り付けると軟らかくなる」とか、知識で知るのと実際に経験するのとでは感動が大きく違いますね。写真や映像も、肉眼でとらえた光景を100%再現できないですから、実際に見た時の感動は、やっぱりテレビで見るのとは大きく違います。
これからもできる範囲でできることはしていきたいですね。
「友達いない同盟」(×金田一蓮十郎)
会話劇。「肌色タイツ」と「生還フラグ」がツボった。でも最近の作品だと一部生還フラグになっていないフラグもあったような。 -
Posted by ブクログ
とても純粋な恋愛の短編が5つ。そういえばキスシーンないなぁ…パイタッチはあるのに!!(これもすごくかわいいです)
表題の元になっている、月・水・金はスイミングは、オサムくんもマドカちゃんもかわいくて、悶えました!!
お互い話したりしないし、すれ違ったりするだけ、なんとなく同じ空間にいるだけなんだけど、お互いの好意が伝わってる…そばにいるだけで安心する不思議な関係…。
反省してカメダくんの思春期っぷりもかわいいです!!
でも個人的には、アンネちゃんみたいな女の子大好きなので一番スキなのは、あんねちゃんたろうかな?
とりあえず、本当に、ほんっとうに短編集が出てくれて良かった!!こんなに素敵な漫画が埋もれちゃったら…えらいこっちゃですよ!!