車谷長吉のレビュー一覧

  • 車谷長吉の人生相談 人生の救い

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    相談してはいけない相手。相談しても無駄な人。っていう人がそれぞれいると思う。
    車谷長吉は、絶対に相談なんかしちゃいけない奴だと私は思う。

    教え子の女子生徒が好きで好きで堪らず、「情動を抑えられません。どうしたらいいのでしょうか」という40歳の高校教師の深刻な悩みに、
    「破綻して、職業も名誉も家庭も失った時、はじめて人間とはなにかということが見えるのです。あなたは高校の教師だそうですが、好きになった女生徒と出来てしまえばよいのです」
    と、とんでもない、不道徳極まりない解決策をけしかけている。
    こんなのが毎週朝日新聞の別刷りの紙面に連載されていたんだそうな。それが一冊にまとめられたのが

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    2013年02月03日
  • 車谷長吉の人生相談 人生の救い

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    いずれ死ぬ、ということを覚悟した時から真の人生が始まる。始まることなく人生を終える人も多い。
    人生に救いなどない。
    鼻呼吸ができず、口呼吸のみの苦しさも共感。
    救いのない人生を、どう生きるか。
    読み終えて、さ、生きるか、と思える人生相談。

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    2024年05月20日
  • 車谷長吉の人生相談 人生の救い

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    「豪快に殺している」という言葉の通り、全く相談に乗っていない新しい人生相談。解説が素晴らしい。
    何を聞いても、普通に考えて私の人生のほうがもっと辛いよ?そもそも人生に救いなんて求めてるの?そんなのないのに?と作者に返される相談者。それだけならきっと途中で本を閉じますが、最後まで読んでしまうのは時折ハッとする言葉があるからだと思います。

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    2022年12月21日
  • 赤目四十八瀧心中未遂

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    先日、某新聞にこの作家の名前が出ていたので再読。
    直木賞ですよね、確か。でも出だしとか芥川賞の間違いですか?と思いました。
    その後は多少は直木賞っぽくなりましたが、全体観としては大衆受けは考えず、焦点が極めて小さい、濃厚な心象風景をどうとでも取ってください、的な感じを受けました。
    寺島しのぶが映画でやったとか聞きました。本当なのか知りませんが、そう言われるとさもありなんと思います。こっちの方が、感覚は伝わりますかね?

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    2022年11月02日
  • 車谷長吉の人生相談 人生の救い

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    この本は結構前に読んで、読むのは辛かったんだけどこの本の言葉はずっと心に残っている。

    人生には救いがないけど救われるものもあって欲しい。

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    2022年02月19日
  • 赤目四十八瀧心中未遂

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    壮絶。圧倒されて読みました。
    底辺に堕ちたと主人公の生島は思っていたけど、アマに住む他の人たちは「あんたはここにいる人とちがう」と、最後まで仲間みたいなものには入れなかったな生島のこと…それは希望みたいなものかもしれないと思いました。ここに馴染ませてはいけない、と。中には陥れようとする人もいるし危ない事にも関わってしまうけど、それでも助けてくれる人もいるし。
    こんな世界は表からは見えていないだけで、まだあるんだろうなと思わせられる現実感がありました。アヤちゃんみたいになる人もいるんだろう。。迦陵頻伽の入墨って凄い。
    晋平ちゃんも幼いながらに(これは言葉にしてはいけない)を弁えてて悲しくなりまし

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    2021年11月15日
  • 赤目四十八瀧心中未遂

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    一風変わった恋愛小説としても十分面白いのですが、それよりも意図的に使われる大正ロマン(大正をよく知りませんがなんとなくそんな雰囲気)の文体を愛でる作品のような気がしました。その意味では、この小説は芥川賞候補でもおかしくなかったのでは。舞台は昭和53年なのに、この文体の効果で尼崎のどんよりとした底辺にうごめく人間模様が一種独特な迫力で描写されます。打算的で利己的だが主体性の薄い主人公が、身を崩し特殊な下位社会の中で流されて生きる、その絶望的な状況でも誰かを信じてみようと思わせる人間のやさしさとはかなさを知る・・
    「圧倒的な小説づくりの巧みさと見事な文章で、底辺に住む人々の情念を描き切る」という宣

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    2020年07月21日
  • 赤目四十八瀧心中未遂

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    ネタバレ

    文体が全体的に異臭というかそれでいて狂気と静謐さを帯びている。私とアヤちゃんの関係性と、私とセイ子ねえさんとの関係性。くすぼり、と呼ばれる連中達の中でひりひりとした私の心情がスカタンと自らを呼び、どこまでも世捨て人として落ちていこうとする。けれど、周囲の人間は私にあんたはここで生きていく人間ではないと突き放す。私はどれほどスカタンで落ちていく人間だとしても彼女や彼らにとってはインテリの観察者でしかないのだ。だから最後アヤちゃんは私との心中を未遂にしたのではないか。車谷長吉の言葉は良い意味で古臭く、アマの生活での言葉遣いが理解出来ない場面があったので、これはまたいつか再読するべき本だと思った。

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    2019年09月17日
  • 車谷長吉の人生相談 人生の救い

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    植本一子さんの書籍に出てきたので気になって読み、ちょっと納得。
    複数の回答で同じ話が出てくるのがミニマルなグルーヴを生んでいて、よい。

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    2019年09月02日
  • 飆風

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    読後思い出したのが嫌ミスの女王の冠名。

    嫌私小説の王…

    病んでいく過程にざわついていく私…心地いい。

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    2019年08月07日
  • 赤目四十八瀧心中未遂

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    主人公は自身を『漂流物』と表現する。大学を出、東京で就職するも、目的も欲望もなく、周りに流されながら尼崎のドヤ街という社会の底辺へとたどり着く。著者の経歴と重なるところが多く、退廃的私小説とも言えるだろう。
    自らの運命を受け入れ腹をくくってるドヤ街の人たちと、どこかインテリ臭さを残して周囲の異物となり、そんな自分を嫌悪している主人公。どちらも生きる苦しみが表現される対象であるが、どちらが苦しいか、著者は後者だと言いたいように感じた。

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    2019年01月14日
  • 車谷長吉の人生相談 人生の救い

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    ネタバレ

    「いやあ、今日も車谷先生、豪快に殺したはるわ~」

     万城目学による所感。先日、万城目の『ザ・万地固め』の中に本書の”解説”が丸々収録されていた。それを読んで、こりゃ面白そうと読んでみたもの。確かに、面白かった。

     人生相談ものは、なんと言っても悩みそのものより回答者の人となりが出る回答っぷりが見もの(読みもの?!)。お題を与えられて答える、いわば大喜利のようなもんだ。
     古くは中島らもの『明るい悩み相談室』にハマり、最近読んだものでは、伊集院静の『悩むが花』が痛快だった。楠木健による、いかにも胡散臭い回答だらけの『好きなようにしてください』も、ある意味、こうした人生悩み相談の本質がよく分か

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    2017年09月23日
  • 赤目四十八瀧心中未遂

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    ネタバレ

    いやもう、こら凄い。激重。どヘヴィー。ちょっと、もう、口あんぐり、としか、いいようが、、、ないな。

    読んで良かった、という気はするのですが、自分みたいな根性なしは、この世界では、全く生きていかれへんだろうな、と、思うしだいです。喰われる立場になって、それこそこの小説の主人公が、毎日ひたすら作り続ける、病死した鳥や牛や豚の肉の串焼きの具になる立場やな。そう思うたのです。

    関西弁?というか大阪言葉?神戸言葉?まあ、一応は、関西弁って言い方になるのか。小説内で、登場人物がしゃべるその言葉が、めちゃんこリアル。まんまそのもの、っていう、うひゃあ、これが生の言葉か、って感じ、でしょうか。読んでて、め

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    2017年02月21日
  • 車谷長吉の人生相談 人生の救い

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    新聞で連載されていたのをまとめたものですねぇ…自分は車谷さんのファンですのでまあ、楽しめましたかね…。基本的に絶望の中に居るというか、もう生きている、その状態が車谷さんにとっては苦痛なんだそうで、そうした視点から回答するものですから、相談者からしたらもう…絶望と言いますかね、突き放されたような感じを受けるんじゃないでしょうか? 社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    でもまあ、僕も個人的には車谷さん側の人間でしてアレですね、悩んでもしょうがないと言いますか…こういう、人生相談とか、他人に相談して答えをもらうっていう考え自体アレかと…まあ、他人に相談して少し気が楽になる、そういう意味合いであれ

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    2017年02月03日
  • 車谷長吉の人生相談 人生の救い

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    ネタバレ

    凡百の人生相談と違ってオモロいぞ。

    問題の解決になってるかどうかはともかく、相談事に対する回答の基本パターンが「人生なんてしんどいもんで、エエことなんてそうあるもんじゃない。銭金欲望で幸せにあろうとしたら身を崩す。しんどい思いを楽しみなさい」だもんなぁ。

    救いのない回答が救いになる。仏教の原点ここにあり!

    極楽浄土に行くために、お布施払ったり、高い金払って戒名付けたり、そういうのは仏教の原点から外れてるってことだろうなぁ。

    俺は、現世の楽しいことを楽しみたいと思いますけどね

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    2015年09月23日
  • 赤目四十八瀧心中未遂

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    今月亡くなられた同県の直木賞作家の作品を手にした。 作品中「人が人であることは、辛いことである。その悲しみに堪えるところから、あるいはそれに堪え得ないところから、それぞれ、人の言ノ葉は生まれてくるのだろうが。」と述べているように一文一文一言一言がギリギリと刻みつけられているような感じがした。私小説とはげに凄まじきものなり。

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    2015年05月31日
  • 車谷長吉の人生相談 人生の救い

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    そもそもにおいて仏教は生きている人間に優しくない。踊り唱えりゃ誰もが死後にゃ極楽浄土、極悪人も死ねば平等に仏様なのに対して現世はひたすら一切皆苦、そこには福祉やボランティアの思想は微塵も存在しない。だいたい人間の想像力ってのは人種・宗教を問わず天国より地獄に向いているんだよ。そんな人生ハードモードな視点からの悩み相談ぶった切りは当然の様に面白く、表紙を見返したら思わずタイトルが「人生の呪い」と見えてしまうほど。とはいえ十代からの質問には丁寧に返している辺りは情を感じて思わずほろろとしてしまう。ずるい。

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    2015年04月02日
  • 雲雀の巣を捜した日

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    命を懸けて文学に没頭したというものの、読むこと書くこと、すべて現実逃避だと自覚しているのか。あきれるほどに臆病で、弱い人間なのだなぁと思わざるを得ない。なぜにそこまで死が怖いのだろう。自分に自信が持てないのだろう。

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    2014年07月01日
  • 車谷長吉の人生相談 人生の救い

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    本の雑誌別冊、文庫王国2014を見て参考に買う。電子書籍として読むことを前提に選んだがかなり面白い人生相談だった。


    とはいえ梅原猛とかを読んである程度仏教の知識があったので著者の癖のある回答にはあまり驚かなかった。むしろすんなり受け入れて読めた。

    苦界、餓鬼道所詮は、人間孤独さ。というところだろうか。

    ただ日々色々なことに感謝するのみです。

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    2014年01月29日
  • 車谷長吉の人生相談 人生の救い

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    愛読する朝日新聞の身の上相談コーナー。「おすすめ文庫王国」で炎の営業杉江さんが推していて、これも本になっていたのを知った。杉江さんの言うとおり、車谷長吉さんの回答はいつも同じ。でも読ませる。これはもう「芸」です。

    なんといってもすごいのは、車谷氏自身は、人をおもしろがらせようとか、ウケようとか思って書いているわけではない(と思える)ところ。そして、その誰に対しても同じ答えである「人としてこの世に生まれたことには、一切の救いはありません」という言葉に、その絶望的な響きとは裏腹の、突き抜けた励ましを感じてしまうところ。

    しかしそれにしても、思わず「え~!?」と声の出る箇所がいくつか。

    「うち

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    2013年12月18日