四方田犬彦のレビュー一覧
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マンガ・アニメなど日本のポップカルチャーを特徴づける要素のひとつに「かわいい」があるのは間違いない。そして近年、世界に広まった日本語のなかでも、いちばんポピュラーなのが「かわいい」ではないだろうか。しかし、世界でこれほど人気の「かわいい」カルチャーを正面から論じた本は意外と少ないようだ。その意味でもこの本は貴重だ。著者は、比較文学などを専攻し、映画史などを教える大学教授だという。
著者によると、日本語以外のいずれの言語でも「かわいい」に相当する単語にはいくぶんか軽蔑的で否定的な含みがあるという。だから日本以外では、美しいと呼ばれるとうれしいが「かわいい」と言われると子供扱いされたような不満を -
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[ 内容 ]
世界に冠たる「かわいい」大国ニッポン。
キティちゃん、ポケモン、セーラームーンなどなど、日本製のキャラクター商品が世界中を席巻している。
その市場規模は二兆円ともいわれ、消費社会の文化商品として大きな意味を担うようになった。
では、なぜ、日本の「かわいい」は、これほどまでに眩しげな光を放つのか?
本書は、「かわいい」を21世紀の美学として位置づけ、その構造を通時的かつ共時的に分析する、はじめての試みである。
[ 目次 ]
第1章 「かわいい」現象
第2章 「かわいい」の来歴
第3章 大学生の「かわいい」
第4章 美とグロテスクの狭間に
第5章 小さく、幼げなもの
第6章 なつか -
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「かわいい」の文化史。清少納言が心を動かされた物体や事象をきっかけに、日本人が何を「かわいい」と感じるのか、「美しい」との違いは何か、また「かわいくない」「醜い」との境目は何なのか、追求している。
そのなかで、「かわいい」に対するポジティブ/ネガティブな受け取り方の男女差であったり、「きもかわ」という一見相反する2つの意味を並べた言葉の分析など本書の前半は「かわいい論」が展開していく。
かわいいと関連性の高い、「小さい≒不完全→気の毒→守ってあげたい≒きもかわ!?」という分析であったり、秋葉原・池袋・新宿(二丁目)の巡検記録、海外における日本産アニメキャラクターの人気に実は地域差・年齢差があっ -
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いわゆるオタク文化の紹介ではなく、もう少し広い意味での文化現象としての「かわいい」現象の実態に、文化人類学的な観点からメスを入れる試みです。歴史的な考察や、学生たちへのアンケート、秋葉原などへのフィールド・ワークなどが含まれています。
本書の中で、「かわいい」という言葉についてフェミニストの上野千鶴子が放った批判が紹介されています。上野は、「かわいい」とは「女が生存戦略のために、ずっと採用してきた」媚態だといい、「かわいい」にまつわる言説が、女性を旧来の依存的存在に押しとどめておくためのイデオロギー的な役割を果たしていることを批判しています。
一方著者は、現在の「かわいい」現象を、フランス