四方田犬彦のレビュー一覧

  • 「かわいい」論

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    マンガ・アニメなど日本のポップカルチャーを特徴づける要素のひとつに「かわいい」があるのは間違いない。そして近年、世界に広まった日本語のなかでも、いちばんポピュラーなのが「かわいい」ではないだろうか。しかし、世界でこれほど人気の「かわいい」カルチャーを正面から論じた本は意外と少ないようだ。その意味でもこの本は貴重だ。著者は、比較文学などを専攻し、映画史などを教える大学教授だという。

    著者によると、日本語以外のいずれの言語でも「かわいい」に相当する単語にはいくぶんか軽蔑的で否定的な含みがあるという。だから日本以外では、美しいと呼ばれるとうれしいが「かわいい」と言われると子供扱いされたような不満を

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    2019年01月16日
  • 「かわいい」論

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    [ 内容 ]
    世界に冠たる「かわいい」大国ニッポン。
    キティちゃん、ポケモン、セーラームーンなどなど、日本製のキャラクター商品が世界中を席巻している。
    その市場規模は二兆円ともいわれ、消費社会の文化商品として大きな意味を担うようになった。
    では、なぜ、日本の「かわいい」は、これほどまでに眩しげな光を放つのか?
    本書は、「かわいい」を21世紀の美学として位置づけ、その構造を通時的かつ共時的に分析する、はじめての試みである。

    [ 目次 ]
    第1章 「かわいい」現象
    第2章 「かわいい」の来歴
    第3章 大学生の「かわいい」
    第4章 美とグロテスクの狭間に
    第5章 小さく、幼げなもの
    第6章 なつか

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    2014年10月27日
  • 映画史への招待

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    ハリウッド主体の映画史ではなく全世界的に俯瞰していて良かった。巻末の映画用語集もなかなかありそうで無いもので役に立つし、もう少し詳しくてもいいかと思った。後もう一つの一言に関しては、なんか今ひとつ。

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    2011年05月24日
  • 犬たちの肖像

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    名前に犬の字をもつ文学評論家による、文学の中に描かれた犬たちの肖像をめぐるエッセイ集。
    実は本書を手に取ったのは、政治における犬をめぐる表象や事象に関心があったためで、そういう意味ではやや期待はずれではあったのだが、犬好きとしては楽しいマニアックな蘊蓄が詰まった本である。
    とりわけ、ホーメロスの『オデュッセイア』に登場するアルゴス――妻よりも誰よりも、乞食に身をやつした主人公の帰還に気づく犬――に注目する議論がなんとも興味深い。できれば子どもに犬彦という名をあたえる四方田家についても知りたいところであるが。

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    2025年09月29日
  • 「かわいい」論

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    「かわいい」の文化史。清少納言が心を動かされた物体や事象をきっかけに、日本人が何を「かわいい」と感じるのか、「美しい」との違いは何か、また「かわいくない」「醜い」との境目は何なのか、追求している。
    そのなかで、「かわいい」に対するポジティブ/ネガティブな受け取り方の男女差であったり、「きもかわ」という一見相反する2つの意味を並べた言葉の分析など本書の前半は「かわいい論」が展開していく。
    かわいいと関連性の高い、「小さい≒不完全→気の毒→守ってあげたい≒きもかわ!?」という分析であったり、秋葉原・池袋・新宿(二丁目)の巡検記録、海外における日本産アニメキャラクターの人気に実は地域差・年齢差があっ

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    2025年08月30日
  • 「かわいい」論

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    かわいいものを身近なところに置いておきたいし、自分自身もかわいくなりたい。
    私にとって、「かわいい」は原動力なのではないか?となんとなく、考えていた。

    この本には、さまざまな視点における、かわいいという概念を展開していたが、読み進め、「かわいいとは何か?」という自分の問いに対する答えが一つ、見つかったわけではなかった。

    でも逆に、自分にとって、かわいいと思う感覚は、私が生きる上での必要不可欠な感情、そして、一生付き合っていく、感情だということはわかった気がする。

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    2025年02月02日
  • いまだ人生を語らず

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     2023年に七十歳となった著者が、「忘却について」「読むことについて」「詩作について」など、章ごとにテーマを絞り、自身のこれまでの活動や思うことを語っている。「幸運と若干の後悔」という章では、著者のこれまでの人生で幸運と感じたことと後悔していることが箇条書きにされているのだけれど、「幸運6 一九五九年もののシャトー・ディケムを呑むことができたこと しかも続けて二本」(p182)というのがいかにもこの世代の人という感じ。最終章は「死について」。誤植がとても多く、読むリズムをそこかしこで乱されてしまった。

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    2023年12月29日
  • 月島物語

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    学部の卒制で敷地にしてからなんとなく意識している月島。まさにその卒制のストーリーは、新しくて古い月島の"下町情緒"や路地が不動産開発によって失われる計画を知ったところから始まったのだが、本著はその前者、月島成り立ちの頃からそこに住む人たちや祭りといった地域文化との関係性が、もんじゃだけでなく、レバカツの香りともに描かれていた。

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    2022年12月11日
  • 「かわいい」論

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    時代のせいなのかもだけど女性の視点における「かわいい」研究に思えた。大学生のアンケートのところの性差から一歩踏み込んで欲しい!と思ってしまった。

    最後の章の

    「『かわいい』という言葉のもとに現実から離反された同語反復のまどろみの中で次第に輪郭を失っていく」っていう記述は、完全に今を言い当ててなあって思った。

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    2021年10月17日
  • 愚行の賦

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    四方田犬彦という名前は、本来、四方田丈彦だった由。トアルところで、丈という字が、犬という字に変化、その変化を楽しんでいる著者であります。愚行が氾濫する時代の中で、改めて、愚行についての論考を深める著者であります。奥が深いというか、何やらカミュ的世界へのいざない、のような気も致します。★三つであります。

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    2021年09月12日
  • 「かわいい」論

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    かわいいという言葉についての成り立ち、日本語と海外での捉え方の違いなどは興味深いし、かわいいと感じる背景に小ささ、儚さ、弱さなどが含まれることは納得。
    ただ、可愛いというのは結局なんなのかはわからぬままで未消化な部分も結構あった。
    なんとなくわかるようなわからないような…

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    2020年06月19日
  • 「かわいい」論

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    いわゆるオタク文化の紹介ではなく、もう少し広い意味での文化現象としての「かわいい」現象の実態に、文化人類学的な観点からメスを入れる試みです。歴史的な考察や、学生たちへのアンケート、秋葉原などへのフィールド・ワークなどが含まれています。

    本書の中で、「かわいい」という言葉についてフェミニストの上野千鶴子が放った批判が紹介されています。上野は、「かわいい」とは「女が生存戦略のために、ずっと採用してきた」媚態だといい、「かわいい」にまつわる言説が、女性を旧来の依存的存在に押しとどめておくためのイデオロギー的な役割を果たしていることを批判しています。

    一方著者は、現在の「かわいい」現象を、フランス

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    2019年01月05日
  • 「かわいい」論

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    ネタバレ

    ヴァルネラビリティに満ちた存在=「かわいい」。支配したいという欲求。対象を自分よりも下の、劣等な存在とみなすこと。

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    2019年08月16日
  • 犬たちの肖像

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    人間のもっとも古い伴侶、犬。
    小説、映画、漫画に至るまで、作品のなかに顕れる「犬」の存在をめぐるエッセイ集です。

    四方田様らしいハードボイルドを存分に堪能。
    献辞はかつての愛犬へ。
    犬に「兎吉」と名付けるところも素敵です。

    先日TV番組に紹介されたせいでTwitterに川端康成が5匹の子犬を抱えた写真が大量巡回していたけれど、これを読むとなかなかモヤモヤする写真ではあります。

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    2015年10月22日
  • 「かわいい」論

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    結構興味深い内容なんだけど結論出てなくね???ってなった。
    なんかキティちゃんとか萌えとかファッションとかいろんな視点から考察してたんだけどもうちょっと絞ってもよかったかなと思う。
    まあでも「かわいい」という言葉?概念?について考察してること自体面白いというか斬新なので、一読する価値はあると思います。

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    2014年08月31日
  • 再会と別離

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    別離と再会、ではなく。再会と別離についての往復書簡。再会とは、誰かと再び出会うだけのことではなく、自分とも再び出会うことでもあるのだなぁ、と。そして、誰かとの別離は自分の一部と別れることでもあるのだなぁ、と。
    往復書簡という形は、相手に触発されるものがありながら、熟考という時間が間にあって、自らの思考を辿っている姿が思われ、対談とは違う面白さを感じた。

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    2014年02月22日
  • 「かわいい」論

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    分析は概ね納得のできるものだが一言でいうと隔靴掻痒の感が残る。取りも直さずそれは著書本人があとがきで述べるとおり、自身が「かわいい」圏外に留まり観察者として外から覗く姿勢に終始しているからだろう。よくも悪くも新書サイズの読後感。

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    2013年03月27日
  • 「かわいい」論

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    かわいいの歴史的変遷や、かわいいの対象多様性、ジェンダー間でのかわいいの受け取り方の違いなど、「かわいい」の定義付けは困難を極めるが、それが逆にこれだけかわいいを普及させることになったのかも。

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    2013年01月12日
  • 「かわいい」論

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    最近なんでも「かわいい」という言葉でまとめられていることが気になり読んでみることに。
    そもそも「かわいい」の感覚は『枕草子』うつくしきもの に書かれているように平安時代にまでさかのぼるとのこと。
    「かわいい」感覚を文化史の視点から分析された本書は、なかなか面白かったです(o^^o)

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    2013年01月03日
  • 「かわいい」論

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    まえまえから、海外に行くと日本人女性の「かわいいー!」があちこちから聞こえてきて、日本を象徴する単語だと興味を持っていた。
    かわいいにはいろいろな側面がある。
    それを余すところなく多方面から考察している本書は大変興味深かった。
    かわいいの始まりの枕草子。
    かわいいを多用する女子大生。
    キモかわいいとは何か。
    小さいものはかわいい。
    ファッションのかわいい。萌のかわいい。
    海外から見るkawaii。
    などなど。

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    2012年12月25日