大村大次郎のレビュー一覧
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リアルな会計の空気を少し吸った気にさせてくれる本。
よくテキストに出てくるような表向きの会計にとどまらず、 税務署・事業者がどのような姿勢で税務処理を捉えているかリアルに概観させてくれる一冊。
ネタとして紹介されていた、工夫をすれば、愛人費用でさえ経費計上可能な方法が存在するし、現に活用している人間がいるという事実は面白いと思った。
つまり、頭の使い方と記帳並びに領収書の表現方法次第で、限られた資金の有効活用の方法は想定外に存在しうるものであり、税務に対する知的武装は、不景気で営業利益を上げにくい今日、どのような組織体にとっても極めて重要な戦略ということだ。
そんなことを気づかせてもらった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2012年16冊目。
201頁。
三省堂神保町店で購入。
≪本文引用≫
p.48
国税調査官の本質的な仕事は、実は追徴税をいかに多く取るかということなのです。国税調査官には、事実上のノルマがあり、年間に一定の件数の調査をこなし、一定の額の追徴税を稼がなければならないのです。国税庁では、通達や文書などで調査官にノルマを課しているわけではありません。が、国税庁の中には追徴税をたくさん取ってきたものが偉い、という価値観があります。
p.74
決算書は次の5つに分類できます。
1 少しでも利益を大きく見せたい〝野心的決算書〟
2 〝税金ケチり型決算書〟
3 すぐに損失を計上する〝保守的決算書〟
4 状況に応じてケチと見栄っ張りを使い分ける〝老獪型決算書〟
5 業績悪化を必死に隠す〝ごまかし型決算書〟
p.87
たとえば、嘘をつきやすい勘定科目の代表的なものに「売掛金」があります。
≪中略≫
売掛金が正しいかどうかは、取引先と照合しなければなりません。売掛金は、取引先数、取引数が膨大に及ぶので、会計を監査する側は、その真偽をすべて確認することは不可能なのです。
一方、嘘をつきにくい勘定科目の代表的なものに「現金・預金」があります。
p.92
普通の人が決算書を見る際に、もっとも役に立つのは「EDINET」です。
p.114
① 売上の水増し
②経費の隠ぺい
③在庫の水増し
基本的に、これ以外の方法で、粉飾決算をすることはできないのです。
p.153
脱税についても、実は3つの方法しかありません。
≪中略≫
① 売上の除外
②経費の水増し
③在庫隠し -
Posted by ブクログ
【レビュー】
著者の書く本で外れはないと思う。一読の価値あり。
・『つぶれる会社にはわけがある』という別の著書の本(すでにレビュー済)の中に、本書と同じ言及つまり日本の会社の7割が赤字である、というものがあったが、『つぶれる』のほうはそれをもって起業を悲観的に論じていた。しかし本書によって、そうした赤字は税金対策として帳簿上わざとそうしているにすぎないとの指摘をもらい、膝を打った。やはりいろいろな本を読んで比較しないといけないことがよく分かった。
【特記事項】
●決算書の誤り①利益の過少計上=脱税②利益の過大計上=粉飾決算
・国税庁は①のほうに関心がある。なぜなら②の場合は税金を返さないといけなくなるから。
・不良債権処理をするとして、相手先の業績が芳しくない、という基準があいまいで、それゆえにグレーゾーンが発生する。
・ソニーはリストラ経費を通常の特別損失ではなく一般管理費に含めて計上した。これはアメリカ基準では正解。アメリカはリストラが多いから一般管理費でOK.
・法人税が下がると、企業は利益を上げるために経費を下げようと努力し、つまるところ給料カットに励むことになるから、会社員にとっては悪い。
・経営者が自分の給料を増減させ、また経費をボケっとマネーから払って経費を削減して計上するなんて方法もある。
●株主構成が目印。銀行や大企業が株主だと、脱税する動機はないが利益を上げようとするため粉飾決算に走ることが多い。同族会社はその逆。
・特別目的会社を設立し、そこに投資し、次いでそれを清算させて自社の利益とする方法もあるが、これはまずい。
・海外の子会社に利益を分けて税金を下げるという方法もある。
●売掛金などは嘘をつきやすい。しかし土地や現金・預金は調べれば一発なので嘘をつきにくい。
●決算書は一年分を見るだけでは意味なし。EDINETなどで3年分くらいをみて、各勘定科目の増減に注目する。とくに営業利益に注目。
・第4期(年度末)に粉飾は多発する。
●粉飾するには①売り上げの水増し②経費の隠蔽③在庫の水増しのどれか。①には、利益を前倒しすること、グループ企業内などで循環取引をすることなどがある。また、子会社に負債を押しつけたあとで連結を外し、自社の債務を減らして計上する、とか投資事業組合、匿名組合を作ってそれに債務を押しつける、という方法がある。
・ライブドアは、「資本取引による利益」を「営業利益」として計上したことがまずかった。しかし利益それ自体はあったのだから、それほど悪質ではない。地検が捜査した背景に国策があったのでは、という見解は、国税からすると的外れとは言えない。
●脱税するには、上記①~③の逆をやればよい。人件費をあげれば合法的に経費をアップさせられる。
・売掛金が急に減ったら要注意。 -
Posted by ブクログ
苫米地英人氏の本では信憑性が薄く、事実と推察と誇張が入り混じるため如何せん陰謀論に寄ってしまうが、同じ日米間のお金の流れを歴史的経緯から見ていくという点で共通していても、本書の方はよりエビデンスに信憑性がある。
検証まで自分でしてはいないため妄信はできずとも、「お金の流れに着目する」という視点の重要性を改めて感じさせる。
一見、誰々が悪い、という善悪二元論に陥ってしまいがちだが、国家の舵取りは変数が多く、一概に良し悪しを断定できない。
結果を見て、こちらは比較的悪手だった、と評価はできようが、だからといって歴史にIFを突き付けられない。
為政者というのは、その時々において、得られ得る情報を得て、世論という腰まで浸かった水の中を、いずれかのベクトルへと歩を進めなければならないのである。
批判する方は気楽なものである。
満州の立ち位置が随分と要点だったのは意外だった。
歴史の教科書では、当然満州についても説明はされているが、取り巻く各国を含めた、どれだけ重要だったかまでは書かれない。
どれだけ重視していたか、というものは各国の明示的な発言記録や政策記録などを突き合わせないといけないが、そこまで断定できないというものなのか、あるいは歴史全体を俯瞰してみたときにはさすがに微細となってしまうからか。
歴史は年々と続き、複雑化し、学ぶべき情報量が膨らみ続ける。
微細を畳み込み、要所だけに要約すると、どうしても見落としは生まれ得る。
改めて複数・多数の本を読んで、網目を細かくする必要があるのだなと実感する。