泉谷渉のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
泉谷氏が将来の自動車がどうなるのかについて、ご自身の取材をもとに書き上げた本です。彼の本はこれで4冊目となりますが、今までに読んだのは同じく興味を持っている、シェールガス・オイルに関する本でした。綿密な取材をベースに書かれた本だと記憶しています。
今回のテーマは将来の自動車はどのように変化していくのか、電動化される、と一言でいうことができますが、ハイブリット・プラグインハイブリッド・電気自動車・燃料電池車が普及していくにあたって、既存の自動車メーカが主導権をとりつづけられるのか、部品メーカが強くなるのか、それは日系メーカなのかが焦点です。
結論を言えば、日本の製造業の部品メーカは素晴らしい会社が揃っていて、将来の見通しも明るいというものでした。50歳を過ぎた頃から自動車を運転する機会が減りました、次に買う車はハイブリッドになるのか、すると燃費が良くなって益々ガソリンスタンドへ通う機会が減るなと思いつつ、この本を読み終えました。
以下は気になったポイントです。
・欧州の調査会社の多くは、2030年基準の前哨戦の2021年基準では、日本のメーカ(トヨタ、ホンダ、日産)、ボルボは達成可能と見るが、欧州メーカは達成できない目標を欧州委員会は言っているとした、(p15、53)
・中国の自動車メーカはEVを推進しているが、今後のエネルギー政策を明確にしていないことが問題だろう(p21)
・シェールガスをつかんだことで当面の間(天然ガス換算で750年)は化石燃料を確保できるので、これからもガソリン制御によるエンジン車は圧倒的多数を占めると思われ、HVやPHVがエコカーの大本命になる(p22、120)
・現在、世界で消費されている電力の55%は、モーターに使われている、モータが電気を食う理由は、インバータ(モーターの電源周波数を調整することでモータの回転数を制御する)の普及が甚だ低い(世界では20%)から(p34)
・EV普及により石油消費の50%を占めるガソリンの消費量は削減できるかもだが、その分を上回るほどの電力が必要になる(p40)
・アメリカ2017年では、SUVなどの大型車の販売が凄まじい勢いで全体の6割を超えた、乗用車販売は10.9%減少(p67)
・中国が重要なのは市場の拡大余地のため、自動車保有率は10%、その中国がEVにシフトすると言っている以上、対応せざるを得ない(p79)
・日産はEV以外にも、エンジンで発電してモーター駆動する車種ももっていて、むしろ稼ぎ頭となっている(p80)
・トヨタは、プリウスをプラグインハイブリッドに発展させたが、ここからEVへの流れには大きな溝がある。ところが、日産のノートからEVへの流れは極めてスムーズであり、すでにEVというリーフもある(p82)
・中国政府による補助金は2016年までは1台当り200万円出ていたが、2017年には40%減額となりEV熱が冷めた(p87)
・トヨタは単独で戦うのではなく、スズキ・ダイハツは軽自動車中心、スバルはスポーツ系、日野はバス、トラックという全方位(p96)
・次世代エコカーの本命は、これから20年間に限れば、ハイブリッド・プラグインハイブリッドであろう、理由は、1)省エネ性能に優れる、2)価格もガソリン車に迫るほど、その先は燃料電池車だろう、発電時のCO2も出さなくなるので(p106)
・ガソリンスタンドに落ちるお金(利用者が払うお金)は、EVの急速充電で450~600円程度、燃料電池車は4000円程度で、ガソリン車なみ(p108)
・トヨタあは燃料電池車に関する特許、5680件の特許を全て無償で提供すると表明した、これは、パナソニックがプラズマで失敗した姿を見た。パナソニックはプラズマ技術を囲い込んだので、他社は液晶に流れた(p112)
・トヨタは2018年春を目途に、トヨタ・日産・ホンダ、石油元売り、銀行等、10社を巻き込んで、オールジャパンの水素インフラ会社を設立、2021年までに国内80か所に水素ステーションを設ける予定、運営は岩谷産業やJXTGに委託する(p114)
・EVが本命だと言っているのは、燃料電池の技術を持たない国と、メーカのみ(p116)
・燃料電池は、燃料となる水素などを酸素と化学反応させることで発電するシステムなので、発動機と呼ぶべきである。特徴は、1)発電効率が高い、2)燃料源が豊富、3)システムの小型化が容易、4)コジェネレーションが構成可能(p119)
・シェールガスは掘り始めて1年から2年で枯渇するので効率が悪く大手は手を出さなかった、しかしエクソンが方向転換を表明、理由は従来に比べて効率的にシェール油田を探索する方法が確立したから(p121)
・日本国内には製油所などから出る自家消費の水素がおよそ1500憶立方メートルある、これは230台分(27億)と比較して十分な量(p122)
・家庭用燃料電池(エネファーム)は、都市ガスやLPガスを燃料処理して水素を取り出して、酸素と反応して発電する装置、電気以外に廃熱利用により給湯も可能(p124)
・ほんの数年前までは、これからはイノベーションとシステムの時代でネットのプラットフォームになったものが勝利する、半導体メーカはただの部品屋を言われていたが、IT時代がピークを過ぎて IoTの時代になったことで状況が一転しハードの復権が始まった、この鍵を握るのが半導体である(p161)
・車載半導体は、メーカや車種ごとに求められるスペックが細分化されるので、自社で生産能力を持つことが不可欠になる、車載向け半導体で世界王座に最も近いのは、ルネサス(日立・NEC・三菱電機の半導体部分が合体)である(p167、178)
・今は家庭に引き込まれている電気は直流電気を交流に変えて使っているが、当時(松下幸之助が起業したころ)は、直流であったため非常に危険であり、電球の取り替えも命がけだった。そこで安全、簡単に電球交換ができる電球ソケットを考案する。これを商品化するために1918年、23歳のときに松下電気器具製作所を設立した、その後、自転車用の電池式ランプ、さらには乾電池に進出(p191)
・車載向けに今後伸びが期待されるリチウムイオン電池の5大材料(正極材、負極材、セパレータ、バインダー、電解液)はすべて日本企業(p203)
・リーマンショック後は、自動車の一本足打法ともいうべき日本経済であったが、2017年度のエレクトロニクスは自動車に迫る勢いがあり、この2本柱が日本経済を引っ張る(p255)
2018年10月7日作成 -
Posted by ブクログ
DRAM(PCのメモリなど)の唯一の日本企業である「エルピーダメモリ」が、会社更生法の適用を申請しましたね。
大変、残念な事態です。
業界筋で有名な体育会系の坂本社長も、さぞご無念の事でしょう。。。
韓国勢に惨敗なのが、さらに悲しいところです。
そんな半導体業界にスポットを当てた書籍です。
自社製品に使用している半導体業界の知識吸収のために読んでみました。
さすがに1秒では、わかりませんでしたが(笑)、非常に要点をコンパクトにまとめており、業界の概要を理解できました。
よく理解できたのは、特にエルピーダメモリが製造しているDRAMという半導体は、言うなれば”株”のように、市場原理により近い形で相場変動するということ。
好不況の波が大きい業界。
よほどの企業体力がないと、不況期に会社を支えきれないということです。
今回は、”超円高”や”PC市場の縮小”という環境変化が重なっての経営波錠ということですね。
頑張りましょう! 日本の製造業!!! -
Posted by ブクログ
・電炉は日本が世界に誇る方式。鋼1トンが銑鋼一貫方式に比べ、1/5のエネルギーで済む。国内の鉄鋼在庫30億トン20年でリサイクルしていけば、年1億5千万トンで、鉄鉱石を買わずに済む。
・自動車用鋼板が電炉でできれば、上記のことが起こりうる。それには脱 銅の進歩が必要
・新日鉄は合併の際、余分になった高炉を一本生体解剖した。(巻き替え→吹きどめのプロセスでなく、停止させた)これによって、豊富なデータが得られ、技術力が格段に進歩した。
・半導体の初期の技術者はほとんど海軍技研出身。レーダー技術の遅れで敗戦した悔しさ
・窒素ガリウムはLED電球の基礎素材であり、IGBTと呼ばれるパワー半 導体の基礎素材でもある。IGBTはSiCに比べ低コスト
その他にも超電導ケーブルや燃料電池など、話題の先端技術について知ることができ、とても楽しく読めた。 -
Posted by ブクログ
世界の主要産業のマーケットを概観すればトップがエネルギー産業で1000兆円、医療産業はこれに次ぐ規模で520兆円。このうち医療サービスが430兆、医薬品70兆、医療機器が20兆円となっている。医療産業の成長率は年8.7%と非常に高い。医療機器について言えば、アメリカ8兆円で、日本はこれに次ぐ2.5兆円の市場規模となっている。先端医療機器のCTの世界出荷の2分の1を占め、重粒子線がん治療装置であれば世界シェアほぼ100%など、知られざる日本の医療産業力を10章にわたり紹介する。電子部品、MEMS、バイオ、機械工学、化学、金属など、あらゆる分野で世界一の技術力を持つ日本。様々な技術がクロスオーバーする医療産業でトップを闊歩できる理由がここにある。
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Posted by ブクログ
従来のエネルギーが抱える①埋蔵量、②コスト、③CO2といった問題すべてを解決してしまうシェールガス。100年に1度のエネルギー革命に今、アメリカは沸きに沸いている。製造ラインが中国から再び本国に移り新規雇用は200万。デスタウンと化したデトロイトさえ復活するとも。シェールガス革命を後押しする技術排出国である日本もこの恩恵にあずかる。素材、プラント、船舶、汚染処理システムに至るまで、日本の技術が縦横無尽に活用されている。本書では具体的会社名をあげ、それぞれの強みが詳細に解説されている。終章では日本の切り札メタンハイドレードについても触れられている。実用化の壁はまだまだ厚いが将来への期待はいやがうえにも膨らむ。表記は幾分大仰な感じもあるがいい夢を見せてもらった。
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Posted by ブクログ
ネタバレシェールガスのもたらす恩恵から衰退まで、過去に石炭から石油へのエネルギー転換で起こったことが今回は石油からガスで再び起こると論じている。
内容は、シェールガス革命の背景から紹介されており、将来の事業拡大を見据えた米国メジャーが早い段階から技術投資してようやく実を結んだのがシェールガスである。シェールガスが石油と異なる点は世界中のいたる所に存在していることであり、それ故に資源輸入国であるアメリカが一転して資源大国へ転身できたのである。これは資源輸入国である中国や南米でも輸出国になれること、そして、エネルギー価格の下落に繋がる。
世界中にシェールガス開発が進むとその技術に関わる企業が儲かるという流れで日本の高い技術力が必要となり日本の機械産業(コマツ、重電系)が重宝される。日本にもシェールガス革命は追い風であることは間違いない。ただ、同時に日本の得意とする電池産業や化学産業は逆風となる部分もある。理由は燃料電池車シフトと石油化学製品需要鈍化である。
今後日本が目指すべきは次なるエネルギー資源メタンハイドレードの回収技術確立であろう。イノベーションは起こした国が利益を上げる可能性が高い(必要だから開発するのだが)。アメリカのように長期スパンで次なるエネルギーイノベーションを日本から起こせるよう資源開発に注力していき、資源と技術を兼ねそろえた経済大国へ向かっていかなければならない。 -
Posted by ブクログ
シェールガスという言葉を初めて聞いてそろそろ1年が過ぎようとしています。多くの本で主に米国で生産されるであろうシェールガスを生産するのに、日本企業の技術は欠かせないと書かれています。所々に企業の名前が出てきますが、この本は、それらを分野別にまとめて整理してくれているので頭が整理されて、私としては重宝しました。今後、株を買うことがあればそれを選ぶときにも参考にできると思いました。
私が社会人になった平成元年から、つい最近までは軽薄短小産業がもてはやされてきましたが、いよいよ日陰の存在だった重厚長大産業が復活するようですね。日本はこれらの技術を捨てなくて本当に良かったと思います。また、物心ついた時からずっと成長してきた IT産業は 2010年をピークに落ちる一方であると言い切った本に初めてであった気がしました。
以下は気になったポイントです。
・アメリカがシェールガスの採取に関する知財権を固め、どこの国よりも早く技術を確立し、あらゆるインフラが有利に作用して独占状態にあることがポイント(p3)
・シェールガスの凄いのは、エネルギーとして安いだけでなく、エタン・メタン・プロパンも取りだせて、エチレン(プラスチック、自動車材料、繊維、電子材料の素材)がつくれること、これが石油由来の20~30分の1、これによりアメリカは最強国に復帰する(p4)
・シェールガスの流通により、電気自動車はトーンダウンして、シェールガスハイブリッドエンジン車が本命となる、一方でかなり先と見られていた水素エネルギーの燃料電池車が前倒し(p5)
・日本には430カ所のメガソーラーの建設計画があるが、すべて稼働しても40万戸分、日本には4400万戸あるので1%分しか供給できない、石油400兆円、石炭600兆円のマーケットで5兆円程度の太陽電池で代替するのは難しい(p20)
・2005年にミッチェルエナジーは、フラクチャリング(圧力抗体として水、プロパント:砂、化学物質:界面活性剤の混合水)による垂直水平掘削破砕法に成功した(p40、41、43)
・エクソンモービル、ダウ、シェブロンケミカルは、エチレン生産能力150万トンの工場を計画していて、2016-17年に稼働予定、石油化学製品コストはアメリカの場合、30分の1になる(p46、65、73)
・スリックウォータ(汲み上げ水)を減らす技術として有力視されているのが、窒素ガス(太陽日酸)を混ぜることで排水量を半減する、排水処理の技術力は、オルガノ・栗田工業が強い、半透膜技術は、東レ・日東電工・旭化成(p50、101、103)
・コマツの建機は遠隔で建機の健康診断を実施して、部品交換時期を事前把握するので作業がストップすることがない(p54)
・シェールガスにはベンゼンがないので、フェノール、トルエン等の芳香族化合物を合成できないので、この分野では脱石油は難しく、石油とガスの最適組み合わせが求められる(p57)
・アメリカはシェールガスの実用化で、化石燃料で中東に、石炭で中国に、天然ガスでロシアに大きく依存していた従来のエネルギー勢力分布図が変わった(p62)
・USスチールは、ガスを使って純度の高い鉄を取り出す「直接還元鉄」と呼ばれる方法を採用、還元剤の石炭のかわりに、ガスを使う方式(p66)
・2013年には日本の対米輸出は国別断トツ1位になった、1)鉱山向け機械、2)自動車部品、3)ケミカル系の素材(p74)
・GDPあたりの一次エネルギー供給は、日本=1とすると、ロシア16.8、中国・インド・インドネシアが 7-8、世界平均3.1、アメリカ:2である(p79)
・巨大な地圧に耐えられる鋼管パイプは、新日鉄住金の和歌山製作所のみでしかつくれない(p98)
・化学製品の原料は、原油に由来するナフサ(粗製ガソリン)と、天然ガス由来のエタンに大別、ナフサは日本が得意、アメリカはエタンを原料としている(p103)
・出光興産は、三井物産およびダウと連携して、テキサス州のシェールガスからエチレンをつくる工場の横に製造プラントを建設、2016年稼働予定、そこからアルファオレフィンを製造していると、ナフサベースのものと比較して、原料コストは3分の1から、半分になる(p106)
・シェールガスから、ベンゼンもとれないが、ブタンも少ししかとれない、なのでブタジエン(合成ゴムの原料)を大量に作れない、旭化成ケミカルズは、エチレンを出発原料とする次世代ブタジエン製造拠点を探している、三井化学も検討中(p118)
・世界の自動車保有台数、10億台のうち、天然ガス自動車は 1600万台、2035年までに700万台増える予定(p141)
・1回の充電でガソリンスタンドに落ちる金額は、EVが数百円、燃料電池車は数千円とガソリン並み(p143)
・日産はルノーと燃料電池車の開発を急いでいる、このほか、ダイムラー・フォードと組んでいる、トヨタ(リチウム空気電池)はBMWと連携(p147)
・渥美半島のメタンハイドレードは10年分の埋蔵量があり、水深1000メートルの海底を 330メートル掘削したところで見つかった(p198)
・日本の重化学工業が復活する一方で、IT業界は深刻な事態となる、ノートPC、液晶テレビも 2010年がピーク、あとは落ちる一方(p206)
2013年7月7日作成 -
Posted by ブクログ
ネタバレシェール層に高圧水を当ててガスを取り出す。
価格は石油より安く、CO2排出量は40%ダウン。
アメリカの埋蔵量だけでも160年分。
2010年においてアメリカ天然ガス使用量の23%。
10年以内にエネルギー需要の30%を超える。
中国の埋蔵量は世界一だが、内陸にあり、水の供給が困難。
日本にとってシェール革命は追い風。
高圧水やパイプラインのパイプは住友金属製。発電所のタービンはIHI製。コマツ製の大型ダンプとブリジストン製の巨大なタイヤ。
再生可能エネルギーの効率は低い。
日本のメガソーラー計画を最大に実現しても電力需要の1%しかまかなえない。
化石燃料によるビジネスは延命される。
自動車、航空機、ガスタービン火力発電・・・