岩井克人のレビュー一覧

  • 会社はこれからどうなるのか

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    「法的には単なる雇われ人に過ぎないサラリーマンが、何故、自らを会社の内側の人間として捉えるかというと、つぶしのきかない組織固有の知識や経験に長年投資し続けてきたから。会社と運命を共にせざるを得ないから。」

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    2012年08月25日
  • 会社はこれからどうなるのか

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    タイトル通りの本。
    アプローチの仕方が「ヒト」と「モノ」の違いから始めることで法人名目説と法人実在説をどう解釈するべきかをはっきりさせているのが個人的にすごくわかりやすかった。
    また、利益の源泉を「差異」に求め、グローバル化、IT化が進む昨今ではどんどん差異がなくなる→利益を得る機会がなくなるがゆえに会社は変わらなくをえなくなるという見方は考えさせるものがある。

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    2012年08月14日
  • 貨幣論

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    「貨幣とは何か?」について丁寧に論じて謎を解いてくれます。面白いです。経済学の知識が無い私でも、「ヴェニスの商人の資本論」を読んだ直後だったのでそう難なく読むことが出来ました。

    著者の岩井さんによれば貨幣について本質的に考えることによって、資本主義の本当の危機がデフレスパイラルのような恐慌ではなくて、世界的なハイパーインフレであるということが結論づけられています。
    マスクスさんに興味があった折に、古典派経済学や新古典派経済学ともからめてマルクスさんの貨幣論を丁寧に説明してくれている本書を読めてラッキーでした。

    本書の内容とは直接関係ないのですが、最後の文章を読み終わった時に感じたのは、人類

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    2014年05月03日
  • ヴェニスの商人の資本論

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    昔(高校生の時)は四苦八苦しながら読んでた評論文だけど、少し大きくなってから、改めて通して読むと面白かった。なんでも経済学的に考えられて、それが思いもしない結論にたどり着く所が。

    世の中の全ては、個々の「何に価値を見出すか」によって成り立ってるのね。


    経済学の基礎知識を暗黙の了解とするような内容ばかりで、具体例が出てくる話以外は経済を全く学んでいない私には少し難しかった。
    どこまでが「一般常識」で、どこからが「筆者の発想」なのか分からないし論理をひねくり回してる感…

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    2012年06月30日
  • 二十一世紀の資本主義論

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    著者の短篇集。

    貨幣論、ヴェニスの商人の資本論で構築された
    貨幣にたんする考え方を色々な視点の随筆としてまとめられている。

    資本主義は自己崩壊的なシステムである。
    それは予想の連鎖に基づく、ひとつの基軸通貨からなる生態系であるからだ。

    ひとたび、その予想が裏切られると貨幣は実物以下の単なる紙切れとなる=インフレ

    また、投機は悪とみなされるが21世紀において誰もが投機家である。
    投機家=安く買って、高く売る人たち であれば彼らは必然的に誰かと誰かをつなぎあわせており、「予想の連鎖に基づき」そのまた買い手、売り手がまだ安く買える、高く売れると考える余地がある以上、経済合理性を求め彼らもまた

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    2012年06月16日
  • 会社はこれからどうなるのか

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    書名への答えである「ポスト産業資本主義」が何も特別な新しい社会ではなく、「利潤は差異性からしか生まれない」という原理から導かれる当然の帰結、という解説がしびれた。毎日の会社の中で起きること、起きつつあることが描かれていてなるほど~の連続。これはビジネスマン必読と思う。 

    非常に読みやすくて、前半の「法人」の説明と後半の「ポスト産業資本主義」の説明をベースに、その前後半が「日本型資本主義」という今属している世界の話でもって滑らかに結びつけられていて、非常にしっくりきた。学者さんの本は理屈がしっかりしてて好きだな。 

    しいて言うならポスト産業資本主義を示すもっと明解な言葉があればよかった。

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    2012年03月26日
  • ヴェニスの商人の資本論

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    いつ読んだか忘れちゃった…

    ヴェニスの商人に始まり、深く経済を説いていく。とても親しみやすくて楽しかった。

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    2011年12月13日
  • 貨幣論

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    いろいろな批判のある書物のようですが、貨幣というものの不可思議さがわかっておもしろい。ので読むの二回目。
    ここにあるの、構造主義的な考え方なんですね。貨幣を貨幣で買うことというのは無いわけではないですが、そういうときって、貨幣に何を見いだしてるのでしょうか。貨幣が商品としての価値を持った瞬間貨幣は貨幣でなくなると言うのは今までなかった視点だったので、新鮮でした。

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    2011年12月13日
  • 会社はこれからどうなるのか

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    ネタバレ

    良著。
    前半は、会社そして法人とは何かという説明に終始しているけれど、
    後半はポスト資本主義における「強い会社」だとか「これからの働き方」の話になります。
    キーワードは差異化と人的資産。

    やさしい文章で、みんなが何となく感じているであろうことを明快に論じているので、頭が整理できる一冊。

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    2011年12月04日
  • 貨幣論

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    タイトルからはわからないかもしれないがマル経の本。しかし侮る事なかれ、面白い上にきちんと議論が成り立っている。教科書というよりかはその他の空き時間に。

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    2011年11月08日
  • 貨幣論

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    前半部要約
    マルクスの価値形態論を徹底するとマルクスの意図を越えて、「貨幣が貨幣として流通しているのは、貨幣が貨幣として流通しているからである」という循環論法に行き着く。貨幣の起源は貨幣商品説や貨幣法制説といった物語によっては語り得ず、貨幣はその存在そのものが「神秘」である。

    後半
    資本主義の本当の危機はマルクスの言うように「恐慌」=人々が商品よりも流動性を持つ貨幣を望むために商品を売ることが困難になる事態ではなく、「ハイパー・インフレ」=人々が貨幣からの逃走を始めること。
    すなわち、貨幣を貨幣たらしめる神秘が消滅すること。

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    2011年09月23日
  • 二十一世紀の資本主義論

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    主に貨幣論をベースに展開される。各章が独立した形式をとっており、内容の重複が気になる。またギリシャ神話をベースにした経済論など筆者独特の語り口は魅力的である半面やや難解である。とはいえ、貨幣論に関しては終始一貫した論理を貫いており、これに基づいて全ての経済的側面が語られるという一貫性はある。「貨幣は人々が半永久的に価値を持つと考えるからこそ貨幣である」や、投機の問題に対して「ケインズの美人コンテスト」「アダムスミスの市場主義経済、見えざる手」の引用など非常に分かりやすく説得力を持つ展開もあり骨太な経済論の書といえる。時代によって陳腐化する内容ではなく、時がたってまた読んでみるに値する本である。

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    2011年09月03日
  • 会社はこれからどうなるのか

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    利潤は差異性からしか生まれない。

    卒論における、比較制度分析の中での企業特殊的人的資産の良い復習にもなった。

    ポスト産業資本主義に対応していける日本の社会、会社の出現が鍵になっていくという説明も納得。(以前の産業資本主義における優位性をもつ企業体・制度が確立されたものが強固となっている日本の現状)

    一様に米国型株式主義、日本の経営、を批判しているだけではなく、
    読み易くもある。

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    2011年02月21日
  • 二十一世紀の資本主義論

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    昔吉本隆明さんと対談していたので、この人の名前は知っていた。
    経済学に関する本だが、一般向けで、数式などは出てこないし、わかりやすかった。
    特に貨幣論がおもしろく、(私の言葉で言うと)それが一種の記号として存在しているのだということが確認できた。
    それと、日本の「企業=法人」という考え方が、アメリカあたりではむしろ否定されていて、企業は「(雇用者、労働者等を含む当事者間の)契約の束である」ということになっているとのこと、ああ、そういうことか、と思った。
    しかしこの本は古い。個々の文章は80年代から90年代のもの。
    リーマン・ショック以後の、「まさに、いま」をこの人がどう分析しているかを知りたい

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    2011年01月22日
  • M&A国富論 「良い会社買収」とはどういうことか

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    会社とは何か、とい事から始まり
    M&Aに関するルールを提言する。
    もう少し勉強した上で読めば面白いと思う。

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    2010年12月21日
  • 会社はこれからどうなるのか

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    2003年に発行された単行本の文庫版。
    現実を見ると、社会は論理的に順を追って変化しているわけではなく、迷走して行き過ぎてを繰り返しながら進んでいるという印象。
    しかし少しずつこの本の予想は現実になっている。

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    2010年06月08日
  • ヴェニスの商人の資本論

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    日本を代表する経済学者、東京大学大学院経済学部教授、評論家、妻は作家の水村美苗・・・というのは著者の岩井克人さんのプロフィール。(最後は不要か?!でも、水村美苗さんも小林秀雄賞をとるほどの大物です!) 
    本書は、評論家デビュー作品。
    これは1984年に書かれたもので、学生時代に読んだものの再読ですが、生彩を欠いていない、というより、益々輝いている、といったほうが正しい。ま、私の脳が少し成長したってだけかもしれませんが。

    文学界を代表する名作も、世界的ヒット商品も、飛ぶ鳥を落とす勢いの業界も、岩井克人の手にかかれば、全てが「経済学」的に合理的に説明されてしまう。
    この思考回路を追うだけで、脳ト

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    2010年04月05日
  • 二十一世紀の資本主義論

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    基本的には貨幣は最大の偽札だという主張を繰り返す。だが、これからの経済の展望についてさまざまなimplicationsについて言及していた。

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    2009年12月10日
  • 会社はこれからどうなるのか

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    ポスト資本主義の解説本といったところ。

    法人とは2種類の顔がある不思議なもの
    ・「モノ」としての法人  株主にが支配
    ・「ヒト」としての法人  会社の資産を保有している

    2種類の経営者
    ・個人オーナー等に委任された経営者  「任意代理」
    ・大企業等の経営者  「信任」
    後者はまさに信任に支えられていることから、怠慢がおきやすい。
    倫理性が必要。
    → エンロン事件


    ポスト資本主義
    差額性 → 差異性


    法人という仕組みが私的な利益を追求する手段として使われ始めたのはまさに近代。NPOの仕組みは近代以前には普通にあったもの。
    → 都市、僧院、大学


    これからの日本に大切なのは、リスクを

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    2009年11月15日
  • 会社はこれからどうなるのか

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    会社は株主の〈モノ〉でしかないという株主主権論は、会社と企業とを混同した、法理論上の誤りだという立場を標榜する著者が、「法人」がほんらいもつはずの公共的性格について考察をおこなっています。

    会社とはたんなる企業ではなく「法人」化された企業だということを認識しなければならないと著者は主張します。近代市民社会は、〈モノ〉を所有する〈ヒト〉の権利を認めるとともに、誰かによって所有されることのないものとして〈ヒト〉を定めました。しかし「法人」は、こうした〈ヒト〉と〈モノ〉という二つの側面をもっています。ほんらい〈ヒト〉でないのに、法律上〈ヒト〉とおなじようにあつかわれる〈モノ〉が、「法人」なのです。

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    2024年10月10日