岩井克人のレビュー一覧

  • 会社はこれからどうなるのか
    タイトルはおいておいて、個人的には会社の成り立ち、そしてその学問的分類、変遷が興味深かった。今後研究していく上で意義のあるものだった。それにしてもどうやったらこんな考察ができるようになるのだろう。

    最後にNPOに言及されていたのにはびっくりしたが、もしかしたら今後そうなっていくのかもしれない。現に...続きを読む
  • ヴェニスの商人の資本論
    これもまた水野先生からの課題図書。
    モーリス・ゴドリエさんの「経済人類学序説」でマルクスの貨幣論を勉強した後に持ってこられた。まったく、いつもタイミングがすごすぎる。

    表題作の「ヴェニスの商人の資本論」はとても面白い謎解きになっていて、貨幣の資本主義における働きが何となく掴めるようなお話しである。...続きを読む
  • 会社はこれからどうなるのか
    10年近く前の本だとは思えないほど資本主義と会社について、現在に当てはまる基本的な事項がまとめられている。もちろん今となっては若干懐疑的な部分が含まれているがそれを考慮しても良書。
  • 二十一世紀の資本主義論
    平成22年のセンター試験に出題があったので読みました。

    21世紀のという本の題は少し違うなと思いました。
    20世紀の発想をかなりひきずっていて、21世紀の発想の提案にはなっていないかもしれない。

    センター試験は「資本主義と「人間」」という
    朝日新聞1985年4月2日夕刊
    に掲載のあった記事とのこ...続きを読む
  • 会社はこれからどうなるのか
    会社とは、モノとしての存在と、ヒトとしての振る舞いを併せ持つ特異なものである。
    その会社を株主はモノとして扱いたいのか。経営者達はこの会社というものをヒトとして成り立たせるために、手となり足となり、頭脳となる。
    日本の会社は、従業員でさえこの経営者として機能している。
    商業資本主義から産業資本主義に...続きを読む
  • 会社はこれからどうなるのか
     300ページ弱の大作だけれど、話があちらこちらに飛ぶこともなく、というか話はいろいろ飛ぶんだけれど、展開が理論的で筋が通っているから、不思議と全体を見失うことなく全部を読み切れる。
     この本が読みやすいのは、理論の繋がりがとぎれないようにとの著者の配慮と、もうひとつは所々でキーワードを持ち出して...続きを読む
  • ヴェニスの商人の資本論
    7/31
    シェイクスピアがユダヤ人嫌いだったんじゃなくて、キリスト教には他者としてのユダヤ教が必要だった。
    『ヴェニスの商人』を、貨幣の交換原則などから論じた(?)名著。
  • 二十一世紀の資本主義論
    抽象的に本質をつかめる人間を、天才という。
    平易な言葉で核心を突く。

    『理論の正しさは経験からは演繹できない。
    いや、経験から演繹できるような理論は、真の理論とはなりえない。
    真の理論とは日常の経験と対立し、世の常識を逆なでする。それだからこそ、それはそれまで見えなかった真理を人々の前に照...続きを読む
  • 二十一世紀の資本主義論
    2008年6月12日購入

    契約と信任、法人否定説と法人実在説の話は
    法律を勉強しているものとしては大変面白く読めた。

    かなりおすすめ。
  • ヴェニスの商人の資本論
    一般向けに岩井先生が書いたエッセイ集だけどどれもきわめて秀逸。目から鱗が落ちるとはこういうことを言うのだろう。経済に本源的に内在する不均衡、それを逆説的に安定させるヒト(労働市場)と利益動機で行動しない中央銀行の存在。彼のテーマである資本主義の本質である技術革新(シュムペーター動学)と昨今の信認の問...続きを読む
  • 資本主義から市民主義へ
     本書では資本主義の本質を探るだけではなく、ポスト資本主義の社会についても考察していく。著者はこれまで「貨幣」とは何か、を再三追求しており、その命題に対して著者は「貨幣は貨幣だから貨幣である」という結論を出す。これはマルクスの「価値形態論」を批判し追求した結果、貨幣の本質が自己循環論法であることを証...続きを読む
  • ヴェニスの商人の資本論
    本書は貨幣論などで有名な岩井氏のエッセイが多数収められた本になります。著者が最後に述べているように、大きくは1)資本主義論、2)貨幣論、3)不均衡動学論、そして4)他人の著書の論評の4つになりますが、個人的にはやはり貨幣論が一番面白く感じました。そして貨幣論自体は1)の資本主義論や3)の不均衡動学論...続きを読む
  • 貨幣論
     マルクス『資本論』(主に第一巻と第三巻)をベースに、著者が貨幣の本質に迫るのが本書の内容である。貨幣とは何かという問いに対して、「単純な価値形態」、「全体的な価値形態」、「一般的な価値形態」、「マルクスの貨幣形態」、「貨幣形態」と順に追っていくうちに著者はある結論を下す。それは「貨幣とは貨幣である...続きを読む
  • 二十一世紀の資本主義論
    貨幣は、貨幣として使われていることで人々の信頼を得て貨幣として使われる、循環論法的なものである云々。
    素養がないので突っ込めないだけかもしれないが、異様に分かりやすい文章。
  • 経済学の宇宙
    経済学者が自分の人生の歩みと合わせて経済学を語っています。著者の著作に慣れ親しんだ読者であれば、読んでみる価値は十分にあるでしょう。また、タイトルだけ見ると難解な印象を受けますが、インタビュー形式で進んでいくので、専門的な注釈を除いては、わりと読みやすかったです。

    今回、この文庫版で再読してみると...続きを読む
  • 経済学の宇宙
     不均衡動学という言葉だけは著書の名と共に知っていたが、近づかなかった、というより近づけなかった。いわゆる近経は、数学を駆使して理論を作り、経済現象を科学的に分析するもの、とのイメージがあって、偏微分に挫折した自分には到底理解できないものと思っていたからである。
     岩井氏の著作を実際に読んだのは、『...続きを読む
  • ヴェニスの商人の資本論
    面白い!!!ヴェニスの商人の読み方が凄すぎる。

    利潤とは、差異から生まれる。
    価値体系と価値体系の間の、差異から生まれる。

    商業資本主義:(例)東洋と西洋の
    産業資本主義:(例)労働力市場と商品市場
    今:(例)現在と未来
  • 貨幣論
    貨幣が貨幣として通用するとは。
    貨幣それ自身に価値かあるわけではなく、商品流通のための潤滑剤的役割。
    しかし、人々が貨幣を主人公に祭り上げたとき、インフレが起こり、更に貨幣に熱狂し、最高潮に達したとき、ハッと我に帰る。これは、なんなのか。ハイパーインフレーションか目前だ。
  • 会社はこれからどうなるのか
    「利益は差異性からしか生まれない」、「ポスト産業資本主義社会では新たな差異性を次々と創り出して行かなければ生き残れない」という言葉に暗澹たる気持ちになる。本当に創造性のない人間にとって生きづらい時代だと思う。そして不毛だ。

    この本を読んで、
    差異性とは具体的にどんなものだろうか?各企業はどのような...続きを読む
  • 資本主義から市民主義へ
    こういうバリバリ経済学者の経済の本はほとんど読んだことがなかったし、難しいところも多くてよくわかってない部分も沢山ある。それでも、何か知的興奮があったし、「もっと知りたい」という思いにさせられた。
    経済って、もっと血が通ってなくてお金のことばっか考えてるんじゃないの?という私の経済学に対する幼稚なイ...続きを読む