合田正人のレビュー一覧
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ネタバレ「喜びは、行動とともにある。
幸せだから笑うのではない。笑うから幸せなのだ」
アランの『幸福論』は以前からいつか読みたいと思っていましたが、原著を読むのは敷居が高いので、このシリーズでとりあえず読んでみようと思いました。
どんな本かというと「寒い夜に湯気を立てている一杯の温かいスープのような書物」であり、さまざまな生活の場面における幸福についての断章(フランス語でプロポ)全部で93編から成っているそうです。
アランに師事した小説家アンドレ・モーロワが遺した言葉に、「私の判断では、世界中でもっとも美しい本の一つである」という言葉があるそうです。
プロポの中で心に残ったものを挙げてみます。
〇 -
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哲学者ピエール・アドによる、ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』の読み解き。両者をヒントに自らの思考が深まる。張り合う訳ではないが、やはり哲学そのものが無意味な造語を弄ぶスノビッシュ、或いは文系学問の聖域化に流されている見方が拭えない。くだらない。故に、よりシンプルな現象論からこの世界を覗いてみた。
以下は私自身の咀嚼した思考になるが。
言語とは。
「実存する事物の名称化」と「実存しない観念の名称化」、「それらを組み立てる文法」に分けられる。目が見えない人が事物を名称化するが如く、形の見えない観念を名称化する事も可能。
思考の限界は言語の限界、というのは誤りだ。
文語と口語に対し、思考 -
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本書は2004年に出版された、フランス哲学者によるウィトゲンシュタイン(以下LW)評論の翻訳本。著者は既に鬼籍に入っているが、フランスにLWを紹介した最初の人物だという(ということは、それまでの現代フランス哲学はLWを何ら参照することがなかったのだろうか?)。専門である神学や古代ギリシア哲学、新プラトン主義の文脈からLWを論じているが、本文と解説で丁寧な解説がなされているためそれらの知識がなくとも読み進めることは可能。むしろ最近の哲学書のような重厚長大さがなく、本文も150頁程度とコンパクトであり読み易い。古田徹也氏による解説も充実しており理解を助けてくれる。
内容に関しては古田氏も指摘 -
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世界三代幸福論
スイスのカールヒルティ、イギリスのハートランドラッセル、アラン
寒い夜に湯気を立てているいっぱいの温かいスープのような書物。
よりよい天気を作り出すのも、悪い天気を作り出すのも私自身なのだ。
幸せだから笑うのではない、笑うから幸せなのだ。
あらゆる不運や、とりわけつまらぬ事柄に対して、上機嫌に振舞うことである。そうすると、坂道があなた方の足を鍛えるように、こういう些細な心配事が、かえってとても役立つようになる。
幸福には意志と行動が必要だ
幸福は義務である
悲観主義は感情で、楽観主義は意志の力による
山も動いている。一つ一つの小石や砂が移動し。その場にとどまること -
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『吉本隆明と柄谷行人』というタイトルだけで購入。
特に柄谷行人は、学生のときにこれを理解できないとダメなんだ、とほとんど強迫観念を持って読んでいた。吉本隆明も『共同幻想論』や『言語にとって美とは何か』の代表作は読んだが、時代的にも明らかに柄谷行人派であった。吉本が海外に依拠することをある種拒んだことに対して、柄谷が積極的に海外に出ていたことも影響していた。かなり柄谷の主観が入ったものであったが、彼の視点が自分にとっての海外思想取り込みのガイドラインにもなっていた。
今でも新刊が出れば買うのだが、情熱を持ってもう読むことはできない。ある種の懐かしさを持って読んだ。
著者は「個体」、「意味 -
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たいへん示唆的な哲学書である。しかも、訳文が読みやすい。「産業的」「優勝的」など意味不明な言葉が少しあるが、岩波版より論旨は追いやすい。結局、この著作のポイントは、すべてを生命の流れ、つまり「純粋持続」のもとにみるということだろう。また、進化の観点からみれば、知性は行動するために生命がつくったものなので、必然的に限界があるのである。ダーウィンやアイマー、ド・フリースやラマルクなどの進化論思想の読み解きも面白い。進化には結局、生命の意志があるのだ。思想の映画的メカニズムをもとに、科学思想を検討するところもみごとである。カルノーやクラウジウスなどの熱力学にも少しふれているが、アリストテレスの科学論
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ネタバレおすすめ度:75点
「幸福は義務である。」
アランは視点を変えて楽観的にものごとをみることの大切さを説いた。意志する楽観主義である。
アランは「幸福論」最終章で次のように述べている。
「楽観主義は意志のものである。楽観主義が誓いを要求することがよくわかる。はじめはどんなに奇妙に見えようとも、幸福になることを誓わねばならぬ。」
邦題では「幸福論」と訳されてはいるが、フランス語で「プロポ」といういわば、「幸福小咄」「幸福のコラム」といった軽い読み物を意味していて、決して難解な哲学書ではないという。
心と体の結びつきを重視していて、心のこわばりを解きほぐす「身体的な運動」が、実は思わぬ処方箋になる