関美穂子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
〈ぼくはときどきユゲになるのよ。ここにいるんだけど、いない。〉
まるで、世間から取り残された様な撫子の咲く常夏荘。
そこに住む人々の佇まいにいつしか引き込まれる。
これは、2013年に単行本で読んだ時の感想。
『常夏荘物語』を読み終え
シリーズ一作目の内容をすっかり忘れてしまっていたので再読。
立海と耀子の出会い。
おあんさんと呼ばれると照子の過去。
自立し、かおを上げ
自律し、うつくしく生きる(生きた)人たち。
ここに全て書かれていた。
立海の可愛らしさ。
『常夏荘物語』では立派な男性になられて。
シリーズを順番に読まなくても
十分に楽しめる作品。
次は『天の花』『地の星』を読もう -
Posted by ブクログ
「なでし子物語」の3冊目。
前巻から10年経っていて、28歳になった耀子が娘・瀬里とともに龍治と離れて常夏荘で暮らした1年のお話。
遠藤家は時代の流れの中で凋落し、常夏荘も見る影もなくなってしまった中でパートの仕事に出る燿子。
かつてなりたいと望んだ自分になれているのかと自問する燿子の姿は、かつて青井先生から教えられた「自立」と「自律」がずっと胸に刻まれ続けていることを示していて、この物語の芯を表す。
その「自立」と「自律」を目指して燿子がパート先でもがく話は、山あり谷あり一筋縄ではいかない展開に加え、幼い頃互いに遠くから見合っていた由香里との関係が解れていく様が心地良い。
少ししか描かれな -
Posted by ブクログ
この前読んだ「なでし子物語」の続編。
前巻から8年経っていて、18歳になった耀子が誰にも告げずに常夏荘を後にするところから始まる物語。
耀子が思い出すのは、その4年前、久し振りに立海が峰生を訪れた、そして突然やってきた龍治も加わった、その夏の出来事。
それぞれが複雑な思いを持つ3人が、龍治が暮らすガレージで打ち解けていくでもなく繋がっていく様子がとても良い。
格好つけていても龍治が立海や耀子を気にかけているのが見え隠れするところが微笑ましくも切ない。
終盤はドキドキ&驚きの展開だが、龍治の姿は当時の若者だと誰もが憧れたような格好良さ。耀子が龍治を意識していくのはよく分かるが、立海のほうはちょ -
Posted by ブクログ
ネタバレ常夏荘をとりまく人々、しきたり、地域の風習などが
あまりにも昔のもののように感じていたら、
1980年とそれほど前ではなかった。
前時代的な雰囲気と、
都会から持ち込まれる現代的なものとの違和感を感じた。
複雑な家庭の事情を持ち、
子どもたちからはいじめの対象となっている燿子と立海。
2人が出会い、
お互いの中に自分の安らげる居場所を見つけていくのが
ほっとすると同時に、
この状態がいつまでも続くとは思えないという気持ちで、
ずっとドキドキしながら読んだ。
突然の別れは、とても悲しくやりきれなかったが、
立海のたくましさに救われた。
次作もあるようだが、2人が再会できているといいなと思った。 -
Posted by ブクログ
「どうして、って思いそうになったら、どうしたら、って言い換えるの」「『どうして』グズなの?この質問に答えは出ない。だけど『どうしたら』グズではなくなるの?この質問には考えれば答えがでる。 答えが浮かばなかったら誰かに相談してもいい」
自立、かおをあげていきること。
自律、うつくしくいきること。
やらまいか。
あたらしいじぶんを、つくるんだ。
これは、父親を早くに亡くし、母親が男を作っていなくなってしまったことで、常夏荘に連れてこられた、燿子に、立海の家庭教師・青井がかける言葉だが、いい大人の私にも十分に響く言葉だった。
それと同時に、子供にかける言葉は本当に大切で、安易に悪い言葉を使ってはい