倉阪鬼一郎のレビュー一覧
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ネタバレ巻末の著訳書リストによると、この本は「バカミス」に当たるらしい。確かに館モノを揶揄するかのように似たような単語を並べたタイトルはやけに長いが、バカミス扱いは良いのだろうか。でも作者が載せているということは作者はそのつもりで書いたのだろうか。
そう思って読み進めたのだが、確かにこれが「バカミス」という奴なのかもしれない。
「黒鳥館」「白鳥館」という2つの館で行われる連続殺人事件。犯人は、深い谷を挟んだ2つの館の間を容易く行き来して次々と殺人を行っていく。
というストーリーの小説を読まされる人物。という二段構えのストーリー。
2つの館の殺人のトリックについては、館に関するとある事実がわか -
購入済み
忍びの痛快な仕事そして働き
鬼市は幼子時にかどわかされて、人体兵器となるべく、忍びの里に連れて来られた。悲しくも親の顔も知らない時の出来事だ。その定めの鎖を自ら断ち切り、鬼市は裏伊賀の隠れ砦を抜け出してはるばる遠くの江戸まで逃げて来たのだった。
鬼市は、江戸の賑いに戸惑い、大川近くの食べ物屋で岡っ引きに捕えられたが、見回り同心城田に見初められその家の小者となり、長屋に住むことなる。
江戸の町の営みは鬼市が過ごしてきた伊賀の里とは大きく違い、人情があり心休まるものがあった。
だが、数奇な運命に翻弄されてきたこの若者は、常人にはない、おのれもまだ分からぬ力を持ち合わせているようだ。
このところ江戸の町の夜には辻斬りが -
Posted by ブクログ
「怖い」をさらにカテゴリ分けしていて、それぞれのテーマに合う短歌がとにかくたくさん紹介されているので、短歌入門アンソロジーとしてとても良い。
印象的だったのは
自分が子を殺すさま想像できますか想像しながら家の鍵まわす(渡辺松男)
ほとんどの人は人を殺したことがないし、誰も死んだことがないからこそ、殺すって死ぬってどういうことなんだろうと、ふと考えに取り憑かれそうになって怖くなる瞬間は確かにあるなと思う。
因みに「怖い短歌」と聞いて私がぱっと思い付くのは
焼き肉とグラタンが好きという少女よ
私はあなたのお父さんが好き
(俵万智『チョコレート革命』) -
Posted by ブクログ
怖いものが好きというよりも俳句が好き。あの短く切り詰められた形式は、長い文章よりも人の想像力をさまざまに刺激するからこそ、見えない世界の怖さを感じさせる作品も多いのだろう。怪奇趣味のものだけでなく芭蕉から今日まで幅広い句集を渉猟して紹介した編者の労力がすごい。以下、個人的に印象に残ったものをいくつかメモ。
流燈やひとつにはかにさかのぼる(飯田蛇笏)
人殺ろす我かも知れず飛ぶ蛍(前田普羅)
死にければ闇たちこむる蛍籠(山口誓子)
包帯を巻かれ巨大な兵になる(渡邊白泉)
萬緑や死は一弾を以て足る(上田五千石)
野遊びの児を暗き者擦過する(永田耕衣)
鶏殺すこと待て海を見せてから(大原