星野仁彦のレビュー一覧
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<職場編>ということですが、特に全編は発達障害一般のことについて書かれていますので、職場以外のことに興味がある人にも適する内容になっています。
発達障害者が職場に適応するためにどのようなサポートが必要なのか、極めて丁寧に書かれていて、読み物というよりはハウツー本のような感じになっています。「言われたことはメモする」「自分だけの部屋を作る」とか、何だか当たり前のことを言われているような気がするけれども、実際の発達障害者のサポートに当たっては、本当に大事なことなんでしょう。
「職場を配置換えしてもらう」などは、日本の今の現状ではなかなか難しそうです。最後のところでも触れられていますが、DSMの改定によって、発達障害者により適応する診断基準や社会環境が整備されていってもらえればと思います。
当たり前のように読めることも、実はそれが出来ていないから問題を抱えている人たちが生きにくい。「当たり前」と言って切って捨ててしまうのではなく、まずは実践してみよう。おそらく、いわゆる健常者にもきっと生きやすい世の中が作られていくのではないかな、と思います。発達障害者の社会環境整備は、ユニバーサルデザインをたくさん産むのではないかと思います。
だまされたと思って、ぜひご一読。
「世の中、不景気ですから、親の仕事を継ぎたくても難しい場合も多い。特に伝統的な職人の世界は、本来であれば、人付き合いが苦手な発達障害者にはとっても向いていると思いますが、それで食べていくのはどんどん難しくなっているのが実情です」(p172) -
Posted by ブクログ
うつ、ADHDやAS(アスペルガー症候群)などの軽度の発達障害など、
現代社会において周りの人とは同じ生活をする事ができずにいる人達がいることを知る。
鬱のように、精神的なものではなく、
体調が悪いだけだと思い込み、
原因がわからずに、寝込んでしまうパターンは、
周りの人の理解も得づらく治す事も難しい。
ADHDやASは、育った環境が問題なのではなく、
病気と考えてよいだろう。
雑務や家事、先を読んで手順を考える事、
やりかけた仕事を確実に続ける事が苦手、
衝動をコントロールできないなど、
健常者との境界線を引くのが微妙で難しいのではないだろうか。
世間に名の知れた、優秀な人々の中にも、
このような障害を持った人が多いという事に興味を持った。 -
Posted by ブクログ
ずっとそうではないかと疑惑のあった身内が発達障害と診断されたので、改めて発達障害の人の特性を知るため本書を手に取った。
本書では発達障害のなかでも、主にADHD(注意欠陥多動性障害)、広汎性発達障害…のうちのASD(自閉症)、のうちのAS(アスペルガー)(ADHD以外は現在名称が変わっている可能性があるが、今でも使われている)について焦点を当てている。
発達障害の人たちが日常生活の中で、そしてタイトルにもあるように、職場でどのように振る舞えばいいか、また周りの人たちはどのように接したらいいのかなどを、著者自身の失敗談・経験談・著者が診た患者さんたちの事例などを元にアドバイス。
そう、著者自身がADHDなのです。
客観的な視点から成るアドバイスと共に、星野流仕事術として、著者の経験から成るADHDとしてミスややらかしをしないようにこのように気をつけているとも、本書では紹介されている。
また、まだ診断を受けていないけど自分や身内が発達障害かも…?という方の参考にもなるチェックシートがついている。
発達障害は脳機能障害であり、人生設計などの対策を練ることができるよう、早めに診断を受けた方がいいらしい。
何よりも、本人や家族などの周囲が、発達障害のことをいい意味で受け入れること・認めることが大事とのこと。確かにこれは発達障害に限らず、どの障害・病気にも当てはまることだと思う。
しかし一生付き合っていく必要のある発達障害は、なおさら本人や周囲が自身の特性を受け止め、意識して行動することが、本人の人生のためにも必要なことだろう。
ただ発達障害当事者の中には、自分が発達障害であるかもしれないという疑念を露ほども抱いていないことが多いので(私の身内もそうだった)、本人自身が発達障害であることを認めるのが一番大変だろう…
この本は、発達障害当事者が読むのはもちろん、私のような当事者に身近な人間が読むのにも適している本なので、ぜひ手に取って読んでみてほしい。
とても読みやすい構成になっているので。
最後に、本書が出版されたのは10年以上前であるが、本文中でいまだに精神医学・臨床心理etcの分野でも、大人の発達障害について学ぶ機会が少ないことを言及されている。
これは10年経った現在でもあまり改善されていない…気がする。
私自身、大人の発達障害について無知である(他の分野もそうだけども)。臨床心理の分野では、子どもに比重を置いた発達心理学については大学院で学ぶと思うのだが(発達心理学=発達障害についてではないです念のため)。身内に当事者がいて、発達障害かもしれないと思っていたが、はっきりとは分からなかったのだから…
ケアされるべき現場ですらそうなのだから、まだまだ社会全体では大人の発達障害への認知度が少なく、発達障害当事者にとってかなり生きづらい社会だ。
また、とても正直な話、発達障害当事者の周りの人たちも、当事者と関わること自体苦になることがやはりある。
本書を読んで、発達障害の方々がどのようなことができて、できないのか(かなり個人差はあるが)、ざっくり知ることができたので、次はどうやったら発達障害当事者がもっと苦なく生きられるか、どうやって社会が(発達障害に関わらず、とも言いたい)受け入れていけるかを考えながら、他の書籍にもあたっていきたい。 -
ネタバレ 購入済み
発達障害者としてのさかもと未明
カードで買い物しまくっても、ぜんぜん全く羨ましくは感じない。
あぁ、この人はたまたまお金があったから借金ダルマにならなかっただけで、目先だけの贅沢な暮らしからは何も生まれないのだと感じるから。
それに私自身、軽度のADHDっぽくって、小島慶子さんにすごく親近感がある人間なんだけれども、小島さんやさかもとさんみたいに自力でお金を稼いで暮らしている発達障害の方を羨ましいなんて一片も思わない。ただただ、凄いなって思うだけ。発達の苦しみの中で自活の道を開けた人たちを尊敬する。
この本に対しては
発達障害者の実体験を描いたものとしては、少々古めで、知識的な面では今現在の認識などからは少しズレていると感じる。少し前までは世の中の認識はこんな感じだったんだなぁということは知れる。
よってこの本をチョイスする上で、軽く発達障害について知りたいと感じている人の、初めて見る本としてはオススメ度★2くらい。初めて読むならもう少し現状に近いものがいいかと。
より詳しく知りたい人には★3。
個々人の実体験を読みたい人には★4
さかもとさんのファンなどで、彼女のことをより知りたい人には★5
そんな感じです。 -
Posted by ブクログ
第1章 まさか自分が
第2章 そう、あなたは発達障害です
第3章 壊れていく家族
第4章 お母さんも発達障害だったかもしれない
第5章 抑うつ状態との闘い
第6章 発達障害は治せる
第7章 思春期の危機
第8章 薬物療法の新たな可能性
第9章 私の居場所はどこにある
第10章 発達障害でも幸福になれる社会
終章 ほんとうの家族を探して
おわりに
長年自分を取り巻く人間関係や心身の問題に悩んできたさかもと未明さんは、40歳近くなって初めて自分が発達障害を抱えていたことを知る。さかもとさんは、ADHDとアスペルガー障害を併せ持っていた。
本書では発達障害当事者であるさかもとさんのエピソードが奇数章に、医者の星野仁彦先生による解説が偶数章に、交互に章立てされている。まず事例を読み、そして次の章の解説で理解を深められるようになっている。ちなみに、星野先生自身もADHDという発達障害を持って生まれ、機能不全家庭で育った「当事者」である。
暴言や精神症状に関する生々しい表現が多いため、精神的に不安定な人が読むのはかなりしんどいかもしれない。良くも悪くも、様々な感情を掻き立てられる。
親子で発達障害を抱えてしまうと、普通の生活を送ることがいかに困難になるかがよくわかる。子供が発達障害で社会生活がうまくいかずに困っていても、親も発達障害を抱えているからその気持ちが理解できない。
それでも子供は「親はきっとわかってくれるだろう」と信じて疑わない。その一方で親は、子供の問題行動の原因がよくわからず、つい怒鳴ったりしてしまう。そんなすれ違いを幾度も繰り返して、やがて家族は崩壊していく。
さかもとさんの母親は「普通から外れてはならない」という恥じらいから、専門家にうまく助けを求めることができなかった。だから自分や子供が発達障害であることに気付かない。夫が酒を飲んで暴れているけれど、仕事はちゃんとしているから、依存症でないと考えてしまう。
きちんと精神科を受診し、専門的な治療を受ければ良くなっていたはずだ。にもかかわらず、「『精神科』に通うことを恥と思う感覚が、家族のさまざまな問題を取り返しのつかない状態にまで悪化させてしまった」(p272-273)のだ。
終章にて、さかもとさんは以下のように述べている。
「たまたま発達障害のデパートとも呼べる人生と家族だったから、それをみんなに伝えて、社会がよくなるための本をかけたらいい。お父さんとお母さんは嫌がるだろうけど、そういうことをだれかがしないと、同じような問題で悩む家族は減っていかない。」(p273-274)
本書によって、1つでも多くの家族が救われることを祈る。 -
Posted by ブクログ
発達障害(ADHD・自閉症スペクトラム障害・LDなど)に関して簡単にわかりやすく解説されてる本。
少々古い本なので情報は変わってきているかもしれませんが、幼児期にみられる症状なども載っており、大きく変わっているはずはないので読む価値は十分あります。
発達障害の子の親も発達障害の可能性がある。これは確かにとしか言いようがない。
とにかく発達”障害”という名が世の中の認識を邪魔させているというのを実感する。星野先生のいう『発達アンバランス症候群』という呼び方が良いのではないでしょうか。
しつけのせいであったり、ただの問題行動と決めつけず、いろんな視野で子どもを観察していかないと。二次障害を起こしていくということは社会にとってもマイナスなことです。
親・教師だけではなく、日本にいるすべての人が理解し、知識を持っているべきものでしょう。いつまでもはびこっている根も葉もない噂話程度の信憑性しかないまことしやかに囁かれている昔ながらの育児・教育法にとらわれないでいただきたい。
年を取ってからの方がより新しい知識を持つ必要がある。知識は常にアップデートしていかないといけない。
そう強く思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ著者:
心療内科医・医学博士。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)、アスペルガー障害、学習障害などの発達障害に詳しい児童精神医学の第一人者である。自身がADHDであることを公表している。
「障害」という名前がつくと、とても重症なイメージをもってしまう。
日本語訳が大げさなだけであり、本質的に理解することが重要。
○発達障害とは
「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」「アスペルガー症候群」「自閉症」「学習障害」などの一連の症状。
発達障害が原因で「うつ病」「不安障害」などさまざまな合併症を引き起こしている。
○誤解されている事
大雑把に言えば、脳機能の発達の凸凹(偏り)が原因であり、一時的には家庭環境は本人の性格など関係ない。あくまで本質的な原因は脳であり、心の問題ではない。
「障害」という言葉が招く偏見。
例えば、[ADHD]は1987年米国精神医学学会が作成した診断基準[DSM-Ⅲ-R]に初めて登場した医学用語。(Attention Deficit Hyperactivity Disorder)の「ディスオーダー」という言葉を「障害」と訳してしまった日本の翻訳者に責任の一端があるように思います。
▼本書に書かれている事
○こんな人は発達障害かもしれない
(1)注意欠陥・多動性障害の特徴
(2)アスペルガー症候群の特徴
(3)大人の女性の発達障害の特徴
○大人の発達障害は治せる
周囲はどう対応すればいいのか
○発達障害者がもっている才能を生かすには
○チェックシート
P53 [表1] 大人のADHDの主な診断基準
P116[表2]DSM- Ⅳにおける注意欠陥・多動性障害の診断基準
P123[アスペルガー質問表](自閉症スペクトラム指数)