河田惠昭のレビュー一覧

  • 津波災害 増補版 減災社会を築く

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    コスパ削減の為に学校を併合することが多いが、それにより子供たちの通学路の距離が長くなり、震災の際に帰れない事態になったり、帰宅途中に地震が起こった場合には大きな危険が及ぶ。コスパばかり重視せず、小さいながらも子供たちが歩いて通えるような学校を作るべきである。道路が崩壊したらどうするのかなど考えてやるべきであると感じた。
    地震が起こった時、保証される保険に国民全員強制的に入ってもらうことで、復興する際の資金にできて、税金の工面に苦労することはなくなる。
    日本は震災が必ず起こる国であるから、震災が起こった時だけ予算を捻出するのではなく、恒久的に安定して得られる資金源が必要で、それを保険という制度で賄うべきであると感じた。

    とりあえず、揺れたら高台に逃げるということをすれば、生き残れる確率が上がるので、それを実行すればいいだけである。
    逃げたら生きているのに逃げずに死ぬ人もいるみたいなので、諦めずに逃げて欲しいと思いました。(特にお年寄りの方)

    この本は、津波について網羅している本なので、津波について知るために読む本の1冊目として強くオススメします。
    この本は、高校生ならば恐らく読めると思います。
    この本が難しいと感じた方は、著者の著作の中で、これからの防災・減災がわかる本という著作があるためそれを読んで頂くと良いと思います。(非常にわかりやすい)

    難しそうだなと敬遠せず、とりあえず手に取って試し読みをして頂きたいです。興味のある章だけでも読むと、得られるものがあります。

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    2025年09月29日
  • マンガでわかる 災害の日本史(池田書店)

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    ネタバレ

    コンビニで衝動買い。
    磯田さんの災害の日本史に関する本だと知ってつい。
    確かに、災害を歴史的な見方で研究している人って磯田さん以外あまり聞かないような気がします。
    東日本の震災のように、過去に大津波があった地域だったにもかかわらず、防げなかった災害を少しでも減らしたいという思いが本書からも伝わってきます。

    また、学校では最近の災害しか教わりませんが(古くても関東大震災)それよりももっと前の災害からも学べることはいっぱいあるはず。またもし、磯田さんの最新の災害の歴史の本が出たら読みたいと思います。

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    2022年08月19日
  • マンガでわかる 災害の日本史(池田書店)

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    日本の各種災害の歴史が分かりやすく書かれています。これから台風の季節だし地震はいつ来てもおかしくないと言われています。今一度気を引き締めさせてくれる本です。

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    2021年07月18日
  • 日本水没

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    第1章 水害や水没の多発・激化は地球温暖化が元凶
    ●鬼怒川水害は、どこでも起こりうるのか?
    ●大雨が降るメカニズム
    ●台風の強大化と増加する雨量
    ●地球温暖化で変化する気象、海象
    ●沿岸域の影響――海面上昇や海岸侵食――
    ●想定外洪水対策が必要な時代に突入
    ●海抜ゼロメートル地帯の浸水、水没
    ●地下街の水没

    第2章 世界の大都市の水没危険性
    ●水没する都市の特徴
    ●米国・ニューヨークの水没
    ●チェコ・プラハの水没
    ●タイ・バンコク郊外の水没
    ●イタリア・ベニスの水没

    第3章 東京の水没危険性
    ●東京は「世界一水害に弱い」都市?
    ●2015年9月の関東・東北豪雨、東京は氾濫・水没を危うく逃れた?
    ●利根川の洪水氾濫
    ●荒川の洪水氾濫
    ●東京湾の高潮/津波の氾濫
    ●浸水・水没災害の被害想定

    第4章 広域・集中・ゲリラ豪雨による水害の違い
    ●広域に激しく降る雨(広域豪雨)と2004年豊岡水害
    ●2004年台風23号による円山川の氾濫災害
    ●特定の地域に激しく降る雨(集中豪雨)
    ●2000年東海豪雨水害
    ●スポット的に降る激しい雨(ゲリラ豪雨)
    ●2008年神戸・都賀川水難事故

    第5章 新たな高潮災害と教訓
    ●忘れてはいけない1959年伊勢湾台風高潮災害の悲劇
    ●事故と災害が織り成す米国の歴史
    ●2001年9.11ニューヨークテロ事件
    ●2005年ハリケーン・カトリーナ高潮災害の教訓
    ●2012年ハリケーン・サンディ高潮災害の教訓

    第6章 新たな津波災害と教訓
    ●地震の揺れの被害が津波に先行する
    ●津波来襲
    ●被害の特徴
    ●津波による被害
    ●間接被害
    ●高知市などの津波被害

    第7章 複合災害となる首都圏直下地震と首都水没
    ●江戸幕府を疲弊させた安政の複合災害
    ●複合災害の発生が憂慮された1955年阪神・淡路大震災
    ●首都直下地震は近いうちに起こるのか
    ●津波は発生するのか?
    ●津波による未曾有の人的被害の再考
    ●複合災害で拡大する社会的・経済的被害
    ●被害は頭蓋骨骨折から脳梗塞へ変化
    ●複合災害の人的被害を左右する広域避難
    ●致命的となる低い避難率

    第8章 縮災そして防災省の創設
    ――2016年熊本地震で確認できたこと――
    ●二極化しつつある自然災害
    ●中規模災害になりえた鬼怒川の氾濫災害
    ●自然災害は社会現象
    ●知識・情報・知恵が被害を小さくしてくれる
    ●災害に楽観主義は禁物
    ●なぜ防災から減災、そして縮災に変わったのか
    ●レジリエンスとは
    ●国難による「日本水没」
    ●防災省を創設して「国難」を迎撃する
    ●2016年熊本地震で確認できたこと

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    2019年08月31日
  • 津波災害 増補版 減災社会を築く

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    私が生まれた大阪市大正区は、江戸期の新田開発目的の干拓を発端にして海に向かって低い土地が広がるエリアだ。そのため、他の地域では見られないような巨大な防潮水門が河川に設置されている。小さい時からそれを見て育ったので、ずっとこう思っていた-「これがあれば、たいていの津波が来ても安心じゃないの?」
    正直に言うとこの考えは2011年のあの震災の津波を見ても変わらなかった。「大阪湾は奥まっているし、これだけ頑丈な水門や堤防があれば津波も多少は弱められるし」という理屈で。でもこの本を読んで考えは変わった。全くの間違いだと。

    この本は当初、南海トラフ巨大地震が確率的に必ず来ることを再三警告する内容で刊行されたが、東北地方太平洋沖地震による津波大被害が発生してしまい、東日本大震災に関する考察を含めた増補版として改めて刊行されたものだ。
    東日本大震災を経験した目によって増補版を読んでいくと、その前に書かれた旧版の記述がいかに“予言的”な内容だったかが痛切にわかる。そして自分自身に返って考えてみると、巨大地震による津波が明日にでも起こるかもしれないというのはわかった、でも今の自分はその時どうしたらよいのかが全くイメージできない、という思いに突き当たってしまった。

    この本によると、東日本大震災の際に、住民の約30%の人が、津波が来ているにもかかわらず避難しなかったらしい。三陸沖はさかのぼっても多くの地震や津波の被害に遭っており、津波の危険性に関しては他の地域よりも敏感なはず。なのに30%、つまり3分の1弱の人は、テレビで大津波警報を頻繁にアラーム音で放送しても、役所がサイレンを流しても、その他津波のさまざまな情報が行き交っても、避難行動に結びつかない何らかの要因があったということだ。

    たぶん、避難しなかった人には、私が冒頭に書いたように一種の自己判断により避難する必要なしと(勝手に)決め込んだ者もいただろう。
    そういう一般社会の雰囲気を河田先生も十分すぎるほど感じてして、津波被害を減らすためには、私たちが津波を正しく理解し、正しく行動することであると何回も力説している。つまり、ここで「正しく」と書いたように、この本では私たちが津波をいかに「誤解」し、「間違った行動」を取ろうとしているかが多くの角度から論証されている。
    しかし結局のところ、冒頭の私の例のようにインフラ面の整備とか、地震発生後にどうしたらいいのか教えてくれるとかに期待するのでなく、究極は自分の判断ですぐに、そして一直線に逃げるというのがこの本で得られる“最終結論”である。(だから今はスマホでの個々の情報のやり取りの時代だから…とかいうのは根本的な発想の誤り。)

    この本の中で私が特にマーキングして頭の中に残しておきたいと思った箇所は次のとおり。
    ①津波は引き波(潮が沖の方にいったん引いて海の底が見えるくらいの状態になる)から起こるというのは間違い。押し波から起こる場合もあるし、微弱な引き波であればその発生は気づかないまま押し波が来ることもある。
    ②「事前に被災後のまちづくりの青写真を作っておくことの大切さを理解すべき…被災してから防災集落をつくっても、肝心の住む人が減少したのでは災害に負けたのと同じ」(P44)
    ③「いかに情報システムや警報発令の精度が上がろうとも(内容的にはより正確、迅速、詳細になるということである)、結局は早期避難に勝るものはない」(P49)
    ④「津波は長時間にわたって変化する危険性をもっている。せっかく避難所に素早く避難しても、1、2時間後に素人判断して「もう大丈夫」と考え帰宅すると危険な場合がある」(P74)
    ⑤(2003年午前4時台に発生した十勝沖地震の翌日、著者が震度6弱だった豊頃町の子どもに話を聞くと、父親からこんな地震で津波は来ないと言われて初めは避難しなかったと言われ)「自分に都合の悪いことは屁理屈をつけて自分で納得してしまう『正常化の偏見』が見られた」(P100)
    ⑥「津波による被害は、深さ(津波の高さ)よりも流れ(速さ)によって発生する場合が多いことを考えないといけない」(P128)
    そして最後のこれにつきる。
    ⑦「2011年東日本大震災では、小・中・高校生のおよそ1700人が親を失った。残された彼らは一生、悲しみから逃れることはできない。だから、命を亡くしてはいけないのである。命を落とさないためには、逃げればよいのである。」(P203)

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    2019年04月28日
  • 日本水没

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    著者は防災の専門家。2016 年の本。
    2018 の関西国際空港水没の時、よく大阪本土の堤防を越えなかったものだと思う。

    現在の状況で、被害規模が最も深刻な災害は、地下鉄、地下街が発達し、地盤が海面下に沈んだ領域も広い大都市の高潮による水没であると説く。具体的な被害想定に、納得させられる。近年の熊本地震、鬼怒川氾濫への対応の杜撰さの指摘から、今後起きる大都市水害で起きる事態が想像できて、絶望的になる。

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    2018年12月29日
  • 日本水没

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    ■鬼怒川水害で常総市の約3分の1,約40平方kmが水没したにもかかわらず犠牲者が3名に留まったのはひとえに堤防の高さが4メートルと低かったから。堤防が低いゆえに氾濫速度は遅く,氾濫水深も浅かった。
    ■雨が降るメカニズムは単純である。空気には飽和水蒸気圧という値があり,この値以上,水蒸気の形で水分を含むことができない。気温が下がるとこの飽和水蒸気圧も小さくなり,水蒸気が液体,即ち雨に変わる。これが大雨になるかは温かくて充分湿気を含んだ空気がどれくらい長期にわたって一定の方向から吹き続けるかどうかによる。
    ■大雨警報の発令基準は地域によって異なる。雨の降り方や水害の起こり方には地域性があるから。長崎市の場合には1時間に50mm,3時間に100mm,24時間に150mm以上の雨が予想されるときに発令される。長崎市に比べて平年降水量の少ない広島市ではそれぞれ50,80,120mm,札幌市では40mm,60mm,100mmとなる。
    ■警報の発令は知っていたのに漫然として何の注意も払わないという人がますます増えている。リスクコミュニケーションではこれを「知識レベルと行動レベルの不一致」と呼ぶ。万一浸水しているところに車で差し掛かったら浅いと考えて突っ込んではいけない。30cm以上の浸水深では乗用車は簡単に浮いてしまう。道路上を水が流れていたら流れと直角方向に逃げることが基本。
    ■暖かい空気と冷たい空気の塊が接すると境界面で 擾乱(じゅうらん・大気が乱れる現象)が起こり積乱雲が連続的に発生し,局所的に大雨が降る。
    ■地球温暖化の進行とともに台風やハリケーン,サイクロンなどは強大化する傾向にあり,一方発生するは減少すると言われている。
    ・これらは海面水温が27℃超える海域で発生するがあまりにも水蒸気が多いと,むしろ発生が抑制されるため
    ■台湾の面積は我が国の約10分の1であるにもかかわらず,3000m以上の山が286座ある。これは日本の21座に比べて10倍以上で我が国以上に国土が険しいといえる。
    ■すべての川筋から構成されるシステムを「水系」と呼ぶ。同じ水系に属する川の水は河口部で全て交じり合うという特徴がある。
    ・水系は我が国では便宜的に2つに分類されている。
    ①一級水系:国土交通大臣が直轄管理しており全国に109水系ある。これに14053河川が含まれる。
    ②二級水系:都道府県知事が管理し,全国に2711水系あり,7078河川ある。
    ・これらの河川ではそれぞれ何年に一度の大雨で氾濫するかの基準を設けており,これを「再現期間」と呼ぶ(例えば利根川の下流では200年)
    ・我が国の河川は最長の再現期間は200年に設定されているが,オランダの高塩堤防は高潮で決壊すると非常に大きな被害が出るため1万年が採用されている
    ■我が国の防災の歴史をみれば致命的な災害を経験しない限り過去からの考え方を変えない国であることは明らか。また法律の発案段階で画期的な取り組みを含んでいても関係省庁の調整の間に骨抜きにされる。2000年に成立した土砂災害防止法がその典型例。
    ■地下水は水温が安定し水質も良好なものが多く昭和初期から3大都市圏では第二次産業によって大量に使われてきた。無料に近い使用料もそれを助長した。東京は特に沈下が激しいが,それは地下水にメタンガスが含まれており,メタンガスを工業用に使うため,膨大な地下水が汲み上げられてきたためである。その結果,昭和初期から1985年前後までの約50年間で東京では最大4.5m,大阪では2.8mも累積沈下した地域が出現した。これらの地域は大河川が運んできた川砂や粘土が堆積した沖積平野上に位置している。このような土地では大規模に地下水を汲み上げると地下水位が下がり,粘土の中の水分が上からの圧力を受けて抜け,粘土の体積が減少し沈下する。隙間が無くなった状態のため後世になって地下水位が回復しても再び膨らむことはない。即ち,一度沈下した地盤は元の高さに戻らない。土質力学ではこの現象を「圧密沈下」という。新潟平野や筑後平野でも地盤沈下が起こっているがすべて地下水の汲み上げに由来する。
    ■先進国の大都市の多くは川が運んできた土砂が堆積してできた平野や盆地に位置しているため,川が溢れれば都市は浸水し,酷い場合は水没する。さらに海に面している地域は高潮や津波でも水没する危険がある。その典型例は大阪。
    ■我が国には世界の大都市と異なる固有の都市構造がある。それは東京23区,名古屋市,大阪市にもみられる地下空間の高度利用である。さらに50年以上にわたる野放図な地下水くみ上げの結果,いずれ広範囲に「海抜ゼロメートル地帯」が広がりそこに約400万人が生活している。
    ■東京都心が広範囲に水没すると千人単位の死者が発生することは確実。水没原因としては,利根川と荒川の氾濫や東京湾に来襲する高潮と津波が考えられる。
    ■我が国の巨大災害の四天王は歴史的に地震,津波,高潮,洪水であるが東京23区を中心とした地域はこれらの4点セットが揃っている。
    ・4点セットが揃った都市は他に横浜,名古屋,大阪があるが東京の被害規模が断然トップで世界の大都市を含めても断トツ
    ・高知市も4点セットが揃っており都市規模が小さいため被害「率」では断然大きくなる
    ■利根川は我が国で最も人工的な改変が加えられた河川であり治水だけでなく舟運や灌漑などの多目的な改修であった。しかし当時の技術では治水と利水,舟運を両立させることは不可能だった。治水は水面を下げる努力が,利水と灌漑は水面を上げる努力が必要だったからである。
    ■徳川家康によって進められた利根川の東遷工事により関宿から加工までの流路長は約120kmとなり東京湾に直流していた時代の約60kmの2倍になった。これにより河床勾配は約2分の1に小さくなったため洪水により下流に流れ下る水の深さを東遷工事前と変わらないようにするには川幅をおよそ1.4倍に広げるか,堤防の高さを1.4倍に高くする必要があった。江戸時代にはそのような科学的知識がないため東遷事業により千葉県の印旛沼付近を中心に下流でも洪水が頻発するようになった。
    ■ドイツのハンブルクでは新都市域で建物を創る場合,個人住宅,マンション,商業ビルにかかわらず浸水を前提とした街づくりをしている。
    ■建設省が洪水ハザードマップを公表するのに完成してから7年を要した。理由は不動産業界が猛反対するのではないかという心配であった。ところが公開しても何の問題も起こらなかった。不動産取引では洪水危険性などは全く考慮外というのが実態だったからである。これは現在もほぼ同様。我が国では住宅選びにおいて災害は完全に無視状態。
    ■南海トラフ巨大地震がマグニチュード9で発生した場合,大阪には3.8mの「津波が来襲すると想定されている。大阪の計画高潮位は3mとして防潮堤が建設されているからその差80cmが防潮堤などを乗り越えて市街地に入ると考えてよい。
    ■我が国で起こる大きな高潮は台風によってもたらされる。台風の中心部付近の「吸い上げ」と暴風による「吹き寄せ」の二つの効果によって海面は上昇する。
    ・台風の中心気圧が940ヘクトパスカルとすれば1気圧即ち1013ヘクトパスカルとの差の72ヘクトパスカル分海面が上昇
    ・1ヘクトパスカル低下すると約1cm上昇するから70cmは確実に上昇
    ・吹き寄せは海面近くの風速の2乗に比例し,かつ海が浅くなれば増幅するから間違いなく2~3mは海面が上昇すると考えてよい
    ■1959年の伊勢湾台風による高潮でなぜ5098人もの死者が出たのか。最大の理由は住民が洪水氾濫と高潮氾濫の違いを知らなかったからと思われる。住民は洪水と高潮の氾濫の違いを知らず,どちらも同じと錯覚していた。
    ・洪水,即ち川を流れる水量は有限で堤防が決壊した時点以降は河川の水面が下がるから洪水の破壊力は時間の経過とともに衰える一方
    ・高潮は海の水であるから堤防が決壊しても台風が通過しない限り海面は下がらず勢いがなくなる訳でもなく下手をすると一層高く海面が上がり風も勢いを増しかねない
    ■マグニチュード9の南海トラフ巨大地震が起こったとき,大阪市内では11万9千人が犠牲になることが想定されるが,この条件は東日本大震災と同じく30%の住民が避難しないという前提である。
    ■最近では洪水氾濫の危険があり避難指示や避難勧告が発令されても対象地域の住民の1%程度しか避難しないことが常態化している。こういう状況では逃げ遅れて避難できず家ごと流されて被災する住民が多数に上ることが懸念され新たな課題となっている。
    ■シェイクアウトは2008年10月にカリフォルニア州で始まった地震防災訓練のこと。シェイクアウトとは「地震を吹き飛ばせ」といった意味の造語。
    ■東京では国全体にかかわるほぼすべての重要事項の意思決定を行っていることから,気を付けなければいけないことは,人流,物流,情報など見えない「フローの被害」である。
    ・日本銀行やメガバンクなど5つのネットワークで取引される金融量は平均一日当たり約151兆円,約640万件(2014年実績)
    ・山手線,東京メトロ,都営地下鉄での一日当たり乗降客数は,それぞれ約250万人,約650万人及び約250万人
    ・首都圏で必要な食料品は一日数万トン
    ・首都直下地震は世界初の巨大フロー災害となる可能性がある
    ■自治体などから避難勧告や避難指示が発令された時に対象地域住民のうち避難所に避難する住民が近年極端に少なくなっている。
    ・2000年の東海豪雨災害に際しては愛知県では各市町村から合計約65万人の住民に避難勧告が発令されたが,実際に避難した住民は約6万人に過ぎず避難率は9%
    ・2006年11月と2007年1月に北海道千島沖で発生した地震による津波警報下での避難指示あるいは勧告では全社で13.6%,後者で8.7%の住民しか非難しなかった
    ・2010年2月のチリ沖地震津波では避難勧告・指示が約168万人に発令されたにもかかわらず3.8%の6.4万人が避難したに過ぎなかった
    ・2011年台風12号の場合,岡山市民21万4千に避難指示・勧告が発表されたが,避難したのは0.7%の1700人だった
    ・2013年9月に台風18号に伴う特別警報下で賀茂川と桂川の周辺の京都市民約30万人に避難指示・勧告が発表されたが避難したのは1%の約3000人だった
    ■低避難率の原因
    ①大雨,洪水,津波,高潮などの予報精度が必ずしも高くない
    ②避難情報を発令する市町村長の判断レベルが一定ではない
    ③災害未経験住民が避難情報を軽視する
    ④高齢者が避難のタイミングを失いやすい
    ・避難空振りの理由を殆どの場合自治体が説明しないことも低避難率の原因だろう
    ■津波時の低避難率は2011年東日本大震災における未曽有の人的被害につながった
    ・約40%近い住民が直後に避難しなかったことが分かっている
    ・一度帰宅した人が31%に達している
    ■津波の避難行動の順番
    ①津波に関する包括的な知識を身に着ける
    ②まず,自分が助かるためにはどのように避難すればよいかを訓練で覚える
    ③さらに,家族や近隣の人を助けるために,自分の役割をはっきりと認識して一緒に訓練する。このとき避難行動を困難にする制約条件を話し合いで明らかにし,状況認識を共有して近隣の人との密接で友好的な関係を作る
    ④その間,地域コミュニティにおける様々な活動を通して,住民同士が楽しい経験を共有して親しくなる
    ⑤災害図上訓練(DIG)で,更に実践して非難する場合の問題点を共同作業で見つけて改善策を考える
    ■明治以降の災害被害の多発は決して異常な自然力が多発・強化したからだけではなく,危ない場所に人がたくさん住むようになったからであるが,多くの人は災害は自然現象であると誤解している。
    ・地震・台風の発生は物理現象でハザード(hazard)で無人島では社会的・経済的被害は発生しない
    ・物理現象にとどまらず被害をもたらすことで社会現象になる(disaster)
    ■よく知らない地域で戸建て住宅を購入する場合,どのような情報が必要かという問いに対し,その土地で過去に発生した災害という答えは10位にも入っていなかった。
    ■東日本大震災で被災した津波常襲地帯では津波を知らない他所から移ってきた住民が被害者の30%を超えていた。
    ■2014年の広島市土砂災害の現場で発生した被災地の「八木」という地名は宅地造成前は「八木蛇落地悪谷」(ヤギジャラクジアシダニ)であった。
    ・江戸時代は土石流のことを「蛇抜け」(ジャヌケ)と呼び同地は50年から60ねんごとに起こる土砂災害の常襲地帯であった
    ・常総市の多くの住民は「鬼怒川(鬼が怒るような暴れ川)」や中心地の「水海道」(水に囲まれた土地)という名称に無関心だったに違いない
    ・地名に関心を持てば色々なことが理解できる
    ・漢字と災害をつなげる例として代表的には,「荒田」:天井川,「龍」:土砂災害,「谷」:地震時の液状化,「落合」:川の合流氾濫,「留」:長期湛水など
    ■resilience(レジリエンス)の類似語
    ①flexibility(柔軟性)
    ②adaptability(適応性)
    ③innovation(革新性)
    ④robustness(強靱性)
    ⑤responsiveness(応答性)
    ⑥redundancy(冗長性)
    ⑦resourcefulness(人材のゆとり)
    ⑧rapidity(即応性)
    ・つまり一言で言い表すことが不可能な言葉
    ・筆者はdisaster resilienceを「縮災」と訳した
    ・national resilience は「みんなで協力して進める縮災」であるが,国はこれを「国土強靱化」と訳した
    ・日本政府は national をいつも「国土」と訳してきたが英語で「国土」は national land である
    ■災害の歴史性を忘れてはならない。1853年から3年連続で起こった安政の巨大複合災害がきっかけとなって江戸幕府が倒れ明治維新政府が誕生した。討幕運動という内圧と開国要求という外圧だけで時代が変わるはずはない。
    ・1755年11月1日に発生したリスボン地震と津波そして火災がポルトガルを衰退させ,1789年のフランス革命につながった
    ■今年4月14日の熊本地震後,4月15日に気象庁が行った最初の記者会見で担当課長が言わなければならなかったことは「これまでの地震災害では地震の揺れによる建物の被害に伴う犠牲者のおよそ半数は本震で発生し,残りの半数は余震で起こっています。だから,被害が発生した住宅にいることは危険ですから近づかないようにしてください。」
    ■2014年9月27日の御嶽山の噴火災害でも,噴火前の8月31日から山頂付近の地震活動が始まり,9月11日には活動がピークを迎えていた。なぜ微小地震が起こっているのか科学的に分からなかったから放置していた。原因が判明せずとも取り敢えず警戒レベルを2(火口周辺規制)に上げることは可能だった。

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    2016年10月10日
  • 日本水没

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    巨大災害を研究テーマとしてマスコミにもよく登場する河田先生の著書。東日本大震災以来、地震と津波のリスクはかなり考慮されるようになってきましたが、過去の発生頻度や被害規模から考えると、3大都市圏への高潮・洪水による被害リスクの方が断然大きいという著者の主張が展開されます。そして何より国難となり得るパターンは、南海トラフ地震と首都直下型地震が起こり、河川堤防などにダメージが残る状況で、温暖化によって強大化した台風や、豪雨による河川氾濫、高潮などが追い打ちをかける複合型災害であるというのは非常に説得力があります。「そんな酷い災害が、立て続けに起こるのか」という素朴な疑問が沸きますが、実は江戸時代末期、3年立て続けに南海地震(海溝型地震)、江戸地震(直下型地震)、江戸高潮災害が起こり、その被害による財政圧迫が江戸幕府が倒れる一因となった事実があるのです。
    日本の3大都市圏が広大な地下街を持つというのは先進国でも実はかなり特殊な特徴で、それらが高潮災害の際には即、水没してしまうリスクを抱えていることなど、著者の長年の研究成果をまとめた1冊となっています。
    私が大学に在学中は河田先生の授業を一度も聞いたことがなかったのですが、これからも災害リスクを広く伝える研究を続けていただきたいです。

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    2016年10月02日
  • 日本水没

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    災害対策を本質的に重要視しない(重要だといいつつ、抜本的に変えない)スタンスが続くと、国は衰亡するという主張がよくわかる。

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    2016年08月26日
  • マンガでわかる 災害の日本史(池田書店)

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    すごい力作で、色々な人に読んでほしい。

    ただ、ちょっと読み解きにくいと思う。

    日本史上の災害から、事実を描写することと、当時の生活や倫理が被害を大きくしたこととが混ぜて描かれているため。

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    2026年06月14日
  • 津波災害 増補版 減災社会を築く

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    東日本大震災以来、津波に関する情報はテレビや新聞でかなり伝えられるようになりましたが、玉石混交でどれが信頼できる情報か、却って分かりにくくなった面もあります。私自身、大学で土木工学を専攻し、一般の人よりは知識はあると思っていましたが、一旦知識を整理しようと思い「何か良い書籍はないかな」と探していました。そこで辿り着いたのが、私も学生時代に在籍した防災研究所の所長も務められ、現在も巨大災害への提言をされている河田先生の執筆で、しかも出版は岩波新書という組み合わせの本書です。
    専門的になり過ぎず、かつ重要な部分は割愛せず内容充実の印象でした。津波のメカニズム、特に「津波・高潮・高波」の違いの説明は、分かったようでわかっていなかった部分を明確に説明されていてすっきりしました。しかしそういった「津波」の科学的解説は全体のボリュームの半分以下です。後半の大部分を占めるのは「いかに被害を軽減するか。津波情報を避難につなげるか」という点に力点が置かれています。
    「津波は防ぎきれないから、まず逃げる」これが鉄則です。「この程度の揺れなら津波は来ない」「ここは今まで津波が押し寄せなかった」「暗いから避難は朝になってから」「夜に警報を発令したら混乱するから」等々、人間の”思い込み”や行政の”自分の都合”で避難しない理由を作ってしまう私達。そういう判断が命を落とす原因になることを本書は丁寧に指摘しています。
    本書は「増補版」となっていますが、初版は2010年12月に出版されています。東日本大震災のわずか4ヵ月前というタイミングです。本書前半部、津波災害の事例を紹介する部分で「東海・東南海・南海地震連動の津波災害の被害者数予測9100人」という政府中央防災会議の数字に対し、明治三陸大津波での被害者数22000人の事例を引き合いに「9100人にとどまらない可能性がある」との記述、この本がもしももう少し早く多くの人が手に取っていたら、と思わずにはいられませんでした。

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    2024年05月16日
  • マンガでわかる 災害の日本史(池田書店)

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    日本で起きた、地震、津波、噴火、台風、洪水、土砂災害、感染症、の歴史を知る。
    未来の予測はできないが、起これば戦争よりも多くの死者が出てしまう自然災害。

    1855年の安政江戸地震で浅草、本所・深川あたりは多くの家屋が崩れた。
    1923年の関東大震災では、10万人以上の死者を出したが、墨田区だけで火事で4万人近くが死んでいる。
    その20年後は、戦争で空爆を受け再度ひどい目に遭っている。
    私の住まいの近辺は迷路のような狭い道だらけだが、両国・錦糸町、本所・深川の辺りは東西南北きれいに区画整理された街並みになっている。
    この碁盤のように修復された道は、かつて地震と戦争でボロボロにされたことを物語っている。

    今年の夏もコロナの猛威に加え豪雨と熱波に襲われている。
    墨田区は全域が海抜0メートル地帯で、自宅の近所には海抜-0.6メートルなんて看板もある。
    荒川の決壊か、かつて経験したことのない大雨に遭うと一帯が水浸しになるだろう。

    東京に住んでいて怖いのは、
    ・東京直下型地震でのインフラ麻痺、建物の倒壊、火事、東京湾の津波・高潮
    ・富士山噴火の火山灰によるインフラ麻痺(特に水)、各種機械の故障
    ・(これは私だけかも知れないが)浜岡原発の事故による放射能汚染

    南海トラフ地震が発生すると大阪でも4mの津波に襲われる可能性があるらしい。
    そうなると大阪駅や新大阪駅あたりまで津波が到達する。
    南海トラフ地震による東京への直接被害に関してはわからなかった。
    東海道の交通マヒによる影響が大きいようだ。

    本書では、熱波・干ばつと寒波・大雪については触れられていなかった。

    台風による高潮、洪水、強風。
    ゲリラ豪雨、線状降水帯、竜巻、落雷。
    土砂災害、土石流、地滑り、崖崩れ。

    年々狂暴化しているこれらの災害に要注意ですね。
    我が家は防災グッズはいろいろ揃えているが、最近は確認と見直しをしていない。
    非常用トイレと紙おむつは買い足しておいた方がいいかも。

    戦争なんかしている場合ではないよ。

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    2022年08月28日
  • マンガでわかる 災害の日本史(池田書店)

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    著者である歴史学者の磯田道史氏が大量の古文書を読み込んで日本の災害の歴史を研究(磯田氏は新聞と同じスピードで古文書を読めるということ)。江戸時代は識字率が高かったこともあり、様々な記録が残されている。本書はそれをマンガという形にして、若者でも受けられられやすいようにまとめたもののようで、ところどころ漢字にルビがふられている。

    しかしマンガだからといってあなどるなかれ。文章量も多く、なかなか読みごたえがある。日本は本当に災害大国だ。記録を丹念に見ていくと、同じ場所で何度も同じような災害が起きているのがわかる。果たして現代人は、この教訓は生かせているだろうか…?

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    2021年10月17日
  • マンガでわかる 災害の日本史(池田書店)

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    歴史から学び現代の生活に活かすことが出来るのだなと実感した。

    昔の人と同じ過ちを繰り返さないために、身を守る行動をする。

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    2021年09月25日
  • マンガでわかる 災害の日本史(池田書店)

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    災害という視点で見ていくことで、日本史をより深く理解できるようにもなる一冊。

    日本に住む以上、地震、津波などの天災と無縁ではいられない。これは多くの日本人が肌感覚でわかっていると思う。
    古来より日本は天災の多い国だった。本書を読めば、それがよくわかる。

    歴史から学ばなければ、僕らは命を奪うような天災には対処できない。なぜなら、一人の人間が幾度も経験できることではないからだ。人は失敗からしか学べないともいわれるが、失敗すなわち死に直結するような災害を何度も乗り越えながら学んでいくのはあまりにもリスクが高い。

    だから思う。すべての日本人の基礎教養として、この手の知識をもっと学ぶべきであると。小学生でも読めるように書かれた本書は、その入門書としておすすめできる。

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    2021年03月11日
  • 日本水没

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    "地震だけではない。台風、爆弾低気圧、高潮などの水害。
    地下鉄網が分断されるほどの被害は十分想定される。
    世界各都市で発生した災害と過去に発生した日本の災害を検証し、今取るべき対策を警鐘する。"

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    2018年11月23日
  • 津波災害 増補版 減災社会を築く

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    ネタバレ

    災害の話は考えたくないのがデフォルトなんだ。そりゃそうだ。これからスマホが見たいものだけ見せてくれるようになると、リスク対応はする人としない人にもっと分かれていくんだろうなあ。うー。

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    2018年10月14日
  • これからの防災・減災がわかる本

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    東日本大震災の記憶。
    被災したわけではないので次のような言い方が誤解を生みそうなことも
    考えられるのですが、…3年近経ってその「リアルさ」というものが薄れてきています。
    とはいえ、まだまだ復興について忘れたわけではないですし、
    福島第一原発事故が収束したとは考えていません。
    そんななか、手に取ったのが2008年出版のこの『これからの防災・減災がわかる本』でした。

    本書で、これから備えておかなければいけない災害として述べられているのは、
    首都直下型地震や東海・東南海・南海地震で、2008年当時にもまったく
    (少なくとも公には)東日本大震災は想定されていなかったことがわかります。
    だからといって、本書の価値が無いわけではまったくないのです。

    これまでの日本の大きな災害や世界の大きな災害を紹介あるところからはじまり、
    地震などのメカニズムを簡単に教えてくれて、危機管理や事前・事後対応のありかたなどを
    わかりやすく箇条書きのように可視化した形で紹介してくれます。

    地震のメカニズムでは、共振という、地震の揺れの波長が建物などの構造物とあってしまうことで、
    崩壊する現象が書かれていて、むかしテレビで観たことがあるなぁと改めて学びました。

    新しい知識として目立って読めたものには、
    専門用語である「正常化の偏見(正常化バイアス)」がありました。
    これは、津波警報が出ても、「なあに、二階に避難すれば大丈夫」だとか、
    「いつも低い津波だからきっと今度もそうだ」とタカをくくってしまう心理のことを言うそうです。
    災害による死亡者の割合では65歳以上の高齢者が多いそうですが、
    それは、高齢のために身体の自由がきかないということよりも、
    こういった高齢者自身が自身の勘や経験をあてにしてしまうがゆえの判断力の衰えである、
    「正常化の偏見」によるものだ、と本書にはありました。

    そして、ここが大発見でした。
    「自助・共助・公助の意識」というものです。
    災害が起こる前は、自分で自分をを助けるべきだという自助の意識、
    周囲の人とともに助け合おうとする共助という意識、
    自治体や国といった公的機関の助けをあてにする公助という意識は、
    1:2:7の割合だそうで、
    これが災害後になると、7:2:1に逆転するそうです。
    つまり、災害を経験すると、「自分のことは自分で守らねばならない」という意識が大きく育ち、
    「国や自治体はあてにならない」という幻滅が生じるということです。
    これは真理であると思いました。
    自分は自分で助けてやらねばならないという「自助」というもの。
    そして、これは災害時に限らず、各人が生きていくうえで一番大切なことなんじゃないでしょうか。
    自助は危機管理の上で大事だ、と本書の最後のほうでも再度書かれていましたが、
    要するに、スポーツ選手なんかが一時期よくインタビューで答えていたことが多かった、
    「危機感を持つ」という意識に直結するのです。
    危機感を持つことで、自助の意識が高まるということは、
    他人をあてにせずに自分でよく考えるということです。
    そうやって、スポーツ選手は成長してきたのかなと思えやしませんか。
    「満足しない」という言葉もスポーツ選手からよく聴かれますが、
    それも、この「自助」に繋がることがわかりますよね。
    そうやって、自助への意識を「危機感を持つ」のと「満足しない」ことで
    作っているということになります。
    これが、イチロー選手くらいになると、一本一本のヒットに満足する。
    満足しないなんてありえないということになりますが、
    そうやって超一流の野球選手で有り続けられるのは、
    イチローさんはイチローさんなりの、「満足しない」というスイッチ以外の
    スイッチでもって、自助の精神をオンにしているからなんじゃないかなと思うわけです。

    まぁ、それほどまでに、「自助」は大事でしょうということで、
    僕もこの意識は少しづつ高めていくべきで、今は足りていないと思っています。

    ということで、そういうところにまで思索が飛んでいきもするんですが、
    本書はしっかりした防災や減災の意識付けをする本です。
    この方面の基礎中の基礎の知識を教えてくれているので、
    自然災害、特に地震の多い日本に住んでいるみなさんは、
    読んでおいたほうがいいだろうなぁと思いました。

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    2025年06月23日
  • これからの防災・減災がわかる本

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    ジュニア新書だけあって、災害のメカニズムなどわかりやすく説明。

    「日本の原子力施設全データ(ブルーバックス)」が震災を受けて、改訂版を出したように、こちらも改訂版の出版を希望する。

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    2012年04月22日
  • imidas特別編集 完全版 放射能 地震 津波 正しく怖がる100知識

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    半分は放射能、半分は地震津波に関する対策。
    この1冊で放射能についての基礎的な知識を得ることができる。
    食料保存やエコクッキングの知識などは日常生活でも役立ちそう。

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    2011年08月30日