アンドリュー・マカフィーのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
デジタル・トランスフォーメーション(DX)に関心が強く本書を購入しました。読後の率直な感想としては、DXに関係するであろう事柄を実直かつ網羅的に説明している本だという印象です。まずデジタル技術の活用度合いについて、デジタル能力の高低、リーダーシップ能力の高低で4象限の分類を提示しています。両方高い企業は「デジタルマスター」、反対に両方低い企業は「初心者」です。この判定は企業の経営幹部に対するアンケート調査(自分の企業を自己評価する)からきていますが、本書によれば、デジタルマスターは同業他社と比較して売上高では+9%、利益率では+26%高いとのことです。興味深かったのは、デジタル能力だけが高い企業の場合、売上高は同業他社より高くなりますが、利益率はむしろ低くなるということ。つまり先端的なデジタル技術に手を出しすぎたり、各部署がバラバラにデジタル投資をしているため、コスト面で状況が悪化したということでしょう。
そのような状況説明ののちに、デジタル能力、リーダーシップ能力を細かく分解して、それぞれの能力をいかに高めていくべきかを、企業事例をベースに説明されています。このあたりの解説はよく言えば非常に丁寧なのですが、かなり退屈な個所や、「そんなにうまくいくわけがないだろう」と反発心を覚える個所もありました。第3部では「実践する」ということで、デジタル・シフトのための羅針盤なるものが紹介されていますが、似たような項目が複数回出てきたり、無理やり各項目の項数をそろえた感が否めないところもあり、正直あまり感銘を受けませんでした(頭に入ってきませんでした)。本書、丁寧に真面目に書かれた本という意味で良書だとは思うのですが、書かれていることは想定内の範囲であり、ハッとする気づきや分析の切れ味はほとんどなかったかもしれません。 -
Posted by ブクログ
経済成長するにつれて資源の消費量が増えていき、やがて使い果たしてしまうという言説の間違いを指摘して、明るい未来と何をすべきかを提言する。
「希望の四騎士」として挙げられていた、資本主義、テクノロジー、政府の行動、市民の声によって、消費する資源を減らしつつ経済成長していく、というの理論は面白かった。
例えば、資源量が減るほど価格が上がるので、使用量を削減するインセンティブがはたらくというのは、「後40年で石油が枯渇する」論では抜け落ちてた概念だと思う。
四騎士すべてが噛み合った自動車業界と、すべてが裏目に出たソ連によるクジラの絶滅も腑に落ちた。
「世界は良くなっている」という明るい未来の提示は、ファクトフルネスに近いものを感じ、アクセルを踏み続ける必要性には納得。
遺伝子組み換え、核エネルギーの活用も、証拠と数字に基づけば推し進めてもいいのかもしれない、と思わされた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレマルサス 人口論 1798年
マーシャル
人間の欲求と欲望は数限りなくある。
もっと良質、より多くの選択肢、全く新しい要求を満たしてくれるものを求める。
脱物質化 ~より少ないものから、より多くのものを
アメリカでの原材料の消費はピークを過ぎた。経済成長は続いているにも。
リサイクルは経済的だがインプット、アウトプットの脱物質化とは無関係。
大地に帰る生活はエネルギー効率が下がり環境に良くない。
①テクノロジーの進歩
スリム化 アルミ缶軽量化
置換 水圧破砕法による天然ガス汲み上げ
最適化 航空会社の空席削減、列車稼働率向上
消滅 iPhoneに機能統合
コンピュータ活用 目的達成のためにテクノロジーの組合せが可能になった。
②資本主義
利潤追求
自由参入と競争
財産権と契約履行義務
非中央集権的な仕組み
私的所有
自発的交換
✖ 利己的/道徳は通用しない/不平等
希望の四騎士
①テクノロジーの進歩 ②資本主義 ③市民の自覚 ④反応する政府
賢者=皆が希望に満ちているなかでひとり絶望する人
2016年 世界人口よりスマホ契約数のほうが多い 2017年 15億台の販売
世界の公園や保護区:1985年 4% →2015年 15.4%
貧困人口 :1999年 17.6億人 →2015年 7.5億人
安全な飲み水 :1990年 世界人口の75% →2015年 90%
中等教育就学率 :1986年 50%未満 →2015年 75%以上
平均余命 :1800年 28.5歳 →1950年+20年 →2015年+25年
都市にはサービス業が集中
84%が都市住人 欧州委員会 2015年 衛星画像調査
売り上げ利益の集中 勝者総取り グローバル化と新しいテクノロジー
2016年 アメリカの株式市場の富の84%が全世帯上位10%に集中
④社会関係資本 Social Capital の衰退 ・・・答えがない
人として温かいつながりがなくなっている
絶望死 アメリカ 2016年 19.7万人 ≒ 死亡者の8%
多様性の増加=多元主義 ⇔ 権威主義
権威への不信、価値観の衝突、コンセンサス欠如、アイデンティティ崩壊
アメリカの20%の郡は マイナス成長(2010~2017年)
ヨーロッパは工業化より前から町が存在、
アメリカは工業化を支えた文化、構造が消える
エレファントカーブ 2008年
裕福国の先端は伸びているが、中流層はこの20年で所得が伸びていない
③人的資本
アイデアを生み出す力 デジタルツールが増やす 経済活動の再拡散
10年後 地球へのフットプリント(天然資源、温室効果ガス)は縮小する。
ノードハウス 税収中立型炭素税 税収が直接市民へいく
原子力の正当な評価を受けていない
ブランドを守るための協調 炭素クレジットの購入 -
Posted by ブクログ
著者は、マサチューセッツ工科大学のスローン経営大学院主席リサーチサイエンティスト。デジタル技術が世界をどう変えるかを研究している。
資本主義への信頼が揺らいでいる中で、資本主義とテクノロジーの発展が世界を豊かにしている事実と理由を解き明かしてくれる。ただし市場だけでは対処できない問題も多く、市民の意識と反応する政府が必要であると説明する。一方でテクノロジー企業の寡占と、中流の没落、社会の分断といった、現代社会が抱える問題も浮き彫りにしている。
<要約>
これまでの常識を覆すMore from Lessというパターンが出てきた。少量の物質や材料、エネルギーで、より多くの製品や食料を生み出すことができるようになったのだ。つまり脱物質化が起きている。
米国ではGDPは右肩上がりに成長している反面、金属などの材料の消費量は1970年代でピークを迎え、その後は減少している。農作物の収穫量も年々増加しているが、肥料、灌漑の水、作付面積はピークを過ぎて減少している。経済成長に比べてエネルギー消費量も鈍化している。
このMore from Lessのパターンは「テクノロジーの発展」と「資本主義」がもたらした。近年のコンピューターを中心とした技術発展により、より少ない物質から多くの製品を生み出すことが可能になった。また企業にとって原材料費はコストであるため、利益追求のためにそれらを削減する努力を惜しまない。
イノベーターにより技術が生みだされ、起業家と投資家により革新的な企業へと成長を遂げる。既存の技術は特許により守られるため、他の企業は新たな技術を開発しなければならない。資本主義の中で企業や製品は常に競争に晒されるため、テクノロジーは絶え間なく発展していく。資本主義とテクノロジーがMore from Lessを加速させるのである。
ただし資本主義とテクノロジーだけでは解決できない問題がある。それは公害と動植物の絶滅など環境問題への対応だ。市場は多くの重要な事柄について対処できるが、負の外部性については適切に対処できない。
市場では売り手と買い手、取引に直接関係するものに便益を提供する。しかし第三者への負の影響にはうまく対処できない。例えばある商品を生産する工場の周辺で重大な汚染が発生しているとする。売り手と買い手には直接の被害は発生しないが、近隣住民といった外部には被害が発生している。このように公害や動植物の絶滅など環境破壊へ対処するためには、テクノロジーの発展と資本主義だけでは不十分で、これら2つを適切にコントロールするための「市民の意識」とそれに「対応する政府」が必要である。
「テクノロジーの発展」「資本主義」「市民の意識」「反応する政府」。これらの4つを「希望の四銃士」と呼び、これらがバランスよく適切に機能することが、豊かな未来を創る。More from Lessのような脱物質化と同時に世界の貧困も減っており、世界は豊かになっている。
しかし、ここ二十年で貧困層と富裕層が実質所得を大幅に伸ばしている中で、先進国の中流層だけは所得があまり伸びていない。中流層が没落しているのである。
これは産業が工業からサービス業へシフトする中で、多くの工場労働者や未熟練労働者が職を失ったためである。一方で破壊的なテクノロジーを持つ企業は、勝者総獲りの寡占状態で、勝者と敗者の二極化が起きている。また、工場や企業、職場を失った地域は衰退し、経済活動を通して生まれていた人と人のつながり(社会関係資本)も希薄化している。
「テクノロジーの発展」と「資本主義」は、中流層の没落、市場の寡占、社会の分断といった新たな問題を引き起こした。「市民の意識」と「反応する政府」は、これらの問題にも対処していかなければならない。 -
Posted by ブクログ
「イノベーションのジレンマ」の言葉を借りると、
人間自体が「持続的技術」で、機械が「破壊的技術」と言えるかもしれません。
テクノロジーの急速な進歩によって、雇用が減り、クリエーターと肉体労働者に二極化するという話です。
1.この本をひと言でまとめると
「機械との競争」に人は負けている。機械を味方につけよ。
2.お気に入りコンテンツとその理由を3から5個程度
・eディスカバリーが弁護士の仕事を肩代わりしたように、高度なスキルもコンピュータに浸食される恐れなしとしない。(p101)
→ちょうど昨日、「弁護士収入:2割が年収100万円以下」というニュースを見た。ネットで調べれは大抵のことはわかるからかも。
・ソフトなスキルの中でも、リーダーシップ、チーム作り、創造性などの重要性は高まる一方である。これらは機械による自動化が最もむずかしく、しかも起業家精神にあふれたダイナミックな経済では最も需要が高いスキルだ。大学を出たら毎日上司にやることを指示されるような従来型の仕事に就こうなどと考えていると、いつの間にか機械との競争に巻き込まれていることに気付くだろう。(p.127)
→働き方について従来の考え方を見直さないといけない。
・著者からの提言(p131)
→基本的には「小さな政府」のような考え方で、納得できる。
3.突っ込みどころ
・「解説」で指摘していたが、著者が具体的な対応策として述べていることが「アメリカでは十分やっているではないか」という指摘はその通りだと思う。
・5章の「人類も世界もデジタルフロンティアでゆたかになると私たちは確信している」はあまりにも楽観すぎないか。楽観の根拠も抽象的。
・看護師を肉体労働者と分類するのはちょっとちがうのでは?
・技術の進化が指数関数的としているが、そこまで急激といえる根拠がわからなかった。
4.自分語り
・本が硬くて読みにくかった。
・極論を言えば、人間にしか出来ない仕事(肉体労働)をするか、新しい仕事を創出するしかない -
Posted by ブクログ
テクノロジーは雇用を破壊する。
コンピューターは雇用に影響を与えず、近年低迷しているのではないか、と言われていたが、むしろ逆だ。発展が早すぎて人類が進化に追いつけていない。
コンピューターの発展は雇用体系を大きく変え、失業を起こしている。
労働力を節約する手段が、その労働力の新たな活用先を見つけるペースを上回ることで、失業率が高くなっている。
技術の発展の恩恵は存在がするが、誰もが技術の恩恵にあずかれるという保証はどこにもない。むしろ大半の人が恩恵を得られるかどうかという法則すら存在しない。
現にアメリカの平均賃金に変化はなくとも、中央値は下がっている。テクノロジーの発展により格差が広がり、富めるものは富み、貧しきものはより貧しくなる。
富めるものと貧しきものの差は何かが言及されている。
・スキルの高い労働者 ↔︎ スキルの低い労働者
これからの時代を生きぬくにはSTEAM ( Science , Technology , Engineering, Art , Mathematics )らしい。
仕事を奪われると嘆く人は、コンピューターにもできる仕事しかしていない。
・スーパースター ↔︎ 一般人
コンピューターの発展により誰でも世界に発信できることや、様々なもののコピー可能なことが大きな影響を与えている。
現在 ( 2007) の アメリカの0.01%の人間が、アメリカの6%の資産を持っている。
・投資家 ↔︎ 労働者
労働者は機械に変わるが、投資家は変わらない。投資家は労働者の賃金ではなく機械に投資するようになる。
これから我々はどうするべきか、筆者は提案している
・教育
1.とりあえず先生の報酬を増やし、よりよい人材にとって訴求力の高いものとす2.る。
2.教師の終身在職権を剥奪し、裁量制とする。
3.学生の指導と、試験・資格認定を切り離す。学校は学生の募集や評判や社会的地位向上を考えるのでなく、教育を重視するべき。
4.義務教育の時間を増やす。(そして経営学やプログラミングなどを学ぶ)
5.スキルを持つ移民の積極的な受け入れ行う。
・企業家精神
6.全ての高等機関で企業と経営の基礎を教え、起業家層を育成する
7.起業家ビザを作り、企業家精神の発展に努める
8.起業の手間を簡略化。意見交換の場も揃える。
投資
9.通信、輸送インフラの強化に投資する(アメリカはインフラが弱いらしい)
10.基礎研究や、政府の重要な研究機関への予算を増やし、無形資産や組織改革を新たな研究対象に設置する。
法規制
11.労働市場の流動性を保つ。解雇が処罰されるとなれば、企業にとっては雇うことがリスクになる。
12.技術の導入より人間の雇用の方が相対的な魅力になるような状況を作り出す(これは雇用の観点なので、僕としては懐疑的である)
13.福利厚生と企業を切り離し、市場の流動性を高める。医療保険やその他の福利厚生が雇用に義務付けられていると、転職や起業がしづらくなる。企業を考えていても、医療保険がなくなるかと思うと踏み切れないように。
14.新しいネットワークの規制はゆっくり行う。実験段階の、とりわけ新しいプラットフォーム作りに関しては、最大限試行錯誤や実験ができるようにするべき。
16.金融サービスに対して供給されている補助金を削減する。「金融機関が大きすぎて潰せない」と政府に存続を保障されることで、金融サービスに多くの優秀な人材とテクノロジーが吸われてしまう。
17.特許制度を改革し、審査官を増やす。
18.著作権の保護期間は伸ばすべきではない。新しいアイディアは既存のアイディアの掛け合わせで生まれるから。
日本はアメリカを目指してすらいないが
日本より教育が進んでるとされているアメリカでも、教育に関して問われているのだ。今こそ改革の時、ということなのだろう。 -
Posted by ブクログ
蒸気機関の登場がザ・ファースト・マシン・エイジであり、まさに訪れようとするシンギュラリティがザ・セカンド・マシン・エイジである。冒頭のグーグルカーのくだり、GDPの形骸化の指摘は視座に富む。
しかし後半の提言は意外に基本に忠実で現実的なもの。経済学の王道をゆくものだ。ベーシックインカムに対する労働の真価の議論は興味深いながらも、未知の時代の対応策がこれでよいのか、多少の疑問は残る。
どういった時代が訪れるのか概観する中盤まではよく現状がまとめられている。その答えは、筆者は一つの考え方を提示しているものの、我々自身がこれから模索していくことになるのだろう。 -
Posted by ブクログ
人工知能の実用化など、IT革命が”シンギュラリティ”に入りつつある今日を、18世紀の産業革命に続く「第二機械時代」と位置づけ、そこに内在する”機会と脅威”を解き明かした一冊。
「第二機械時代」では、「ムーアの法則」に従って指数関数的に進化するコンピュータ技術と、低コストで無限に複製可能なデジタル技術がネットワークを通じて融合し、これまでにない高度で多様な組み合わせ型イノベーションが生み出され、社会に新たな価値をもたらすが、それらは情報経済や非貨幣経済といった従来のGDPだけでは捉えきれない動きでもあり、また高スキル労働者や資本家などに富が集中する「勝者総取り」によって、格差を助長する構造を孕んでいるという。
組織が自動化できる仕事を全て機械に任せた後の個人は、豊かな発想力やパターン認識、複雑なコミュニケーションといった人間固有の能力を活かして「機械と共存する」ことが求められる。同時に税制や教育によって格差拡大を防止することも重要であり、様々な政策が提言される。前著「機械との競争」と同様、著者の目線は基本的に「楽観論」であるが、そのための”条件”は厳しい。「運命を決めるのはテクノロジーではない、私たちだ」という結びの一文が、重たく響く。 -
Posted by ブクログ
『とくに注目すべきは、従来人間にしかできないとされてきた知的な仕事をデジタル技術がこなし始めたことである。
汎用コンピューターは、労働人口のうち情報処理的な仕事に携わる60%に直接的影響をおよぼすだけでなく、残りの40%も次第に侵食しつつある。
チェス盤の残り半分を進むにつれて、テクノロジーのパワーは倍々ゲームで強化され、その用途は飛躍的に拡大し、職業や雇用に影響を与えずにはおかない。
したがって、スキルの面でも、社会制度や産業の面でも、遅れを取り戻すべく努力しなければならない。さもないと、この先もっと多くの労働者がテクノロジー失業に直面することになるだろう。』
簡潔で分かりやすい問題提起的な作品。
我々としては、機械で出来ることは最大限機械で行って、機械では出来ない部分をいかに強みとして人間に働いてもらうのかを真剣に考えることが大事なんだろうなぁ〜。
』