長谷川英祐のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「働かないアリに意義がある」10年ほど前でしょうか、TVで取り上げられたようで会社給湯室で話題に上がった。組織の中に一定割合で働かない者が生まれるのは必然らしい。当時は同僚の鈴木さん(仮称)が頭に浮かんだ。
そんな懐かしい記憶が本屋さんに陳列されている本書を目にしてよみがえった。またドーキンスの「利己的な遺伝子」で登場した利他的行動をする社会性動物の代表的な”アリ”について詳しく知りたくなったため購入。
アリはキリギリスと比較され、行列で忙しなく餌を運び小さい頃から働き者のイメージだったが、シワクシケアリの研究でなんと2割のアリは働かない。そして、その働かない2割を実験的に取り除くと残りの今まで働いていたアリのうち2割がサボりだすらしい笑。パレートの法則でいわれる2:8の法則が成り立つようだ。当時のお茶の間の話題そのまんまだった。
遺伝で決まる腰の軽さは「反応閾値」の個体差で決まる。仕事が増えると働かないアリも働きだす理屈
具体例として部屋の汚れ具合を見て、気になって片付けてしまう人はいつも同じ人になるって、なんだか妙に納得させられた。動き出すのに気になり出す汚れ具合が人によって違う。ちなみに、私はかなり耐性があるほうで、その意味では働かない部類に入りそう笑
全員が疲れて働けなくなると、誰かがいつもやっていなければいけない重要な仕事をこなすことができなくなり、コロニーが大打撃をうける。
みんなで働くといざという時に働く係がいないため、長期的にみると働かないアリがいる組織(コロニー)の方が長生きするとのこと。
つまり、鈴木さんはイザという時に備えてスタンバイしているのだ。
で、利己的な遺伝子の内容と被るところだが、他人のために働く利他的な振る舞いは基本的にダーウィンの進化論から説明されている。
しかしそれだけでは矛盾が生じる事象がアリの世界にはみられる。
従来の説が覆らない構造的な問題点を指摘しながら、「無駄」が世界を救うと新説を温め著者はパラダイムシフトをおこすチャレンジ中だ。カッコイイ。
あと、時間のかかる基礎研究なので日本人に向いているのか、登場する研究者に日本人が多い。
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Posted by ブクログ
生物現象の基盤には進化がある。DNAにしても、分離の法則にしても、進化に関わる事実や法則の上に相互に関連して起こってくるもの。だからまず基盤となる進化について理解することが生物学を理解する早道 だと。しかし生物教師の多くは進化についての理解がない場合が多かったり、教科書は関連性もないまま、知識羅列されているだけになっているのが現状だとか…(たしかに…)
他に昆虫も魚も人間と同じように鬱になることや、オスがメスにアピールをしたりメスがオス選びに慎重な理由は配偶子が関係して いたことなど、今回も大変興味深い内容でした。
また私たち人間にも身近に関わる性についても、それがなぜ存在するのか証明されていないことは意外でした。今もまだ明らかにされていないことって案外多いんだな…と。未知だからこそ神秘的で奥が深い。 -
Posted by ブクログ
今の『生物』の教科書は、進化と言う生物を貫く軸を顧慮せず、生物が示す現象をバラバラに置いた構成になっている。生物学とは単に暗記する物ではなく、理解し何故そうなるのかを知ることにより分かりやすくなる。本書はその手助けをするガイド本なのである。
人に限らず、生き物の大多数のオスとメスは協力し子孫を残していくものだと思っていましたが、それは当たり前ではなかったのですね。両者の間にも熾烈な戦略合戦があったとは・・・理解し合えないのも無理からぬことなのかもしれません。
常日頃社会性昆虫は何故に自己よりもコロニーを優先するのか?と不思議でなりませんでした。これを読んで謎が解けたわけではありませんが、人体でも細胞レベルで考えれば同じことが言えるとは驚きです。本当に生命とは奥が深い。