長谷川英祐のレビュー一覧
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「働かないアリに意義がある」10年ほど前でしょうか、TVで取り上げられたようで会社給湯室で話題に上がった。組織の中に一定割合で働かない者が生まれるのは必然らしい。当時は同僚の鈴木さん(仮称)が頭に浮かんだ。
そんな懐かしい記憶が本屋さんに陳列されている本書を目にしてよみがえった。またドーキンスの「利己的な遺伝子」で登場した利他的行動をする社会性動物の代表的な”アリ”について詳しく知りたくなったため購入。
アリはキリギリスと比較され、行列で忙しなく餌を運び小さい頃から働き者のイメージだったが、シワクシケアリの研究でなんと2割のアリは働かない。そして、その働かない2割を実験的に取り除くと残りの -
Posted by ブクログ
生物現象の基盤には進化がある。DNAにしても、分離の法則にしても、進化に関わる事実や法則の上に相互に関連して起こってくるもの。だからまず基盤となる進化について理解することが生物学を理解する早道 だと。しかし生物教師の多くは進化についての理解がない場合が多かったり、教科書は関連性もないまま、知識羅列されているだけになっているのが現状だとか…(たしかに…)
他に昆虫も魚も人間と同じように鬱になることや、オスがメスにアピールをしたりメスがオス選びに慎重な理由は配偶子が関係して いたことなど、今回も大変興味深い内容でした。
また私たち人間にも身近に関わる性についても、それがなぜ存在 -
Posted by ブクログ
今の『生物』の教科書は、進化と言う生物を貫く軸を顧慮せず、生物が示す現象をバラバラに置いた構成になっている。生物学とは単に暗記する物ではなく、理解し何故そうなるのかを知ることにより分かりやすくなる。本書はその手助けをするガイド本なのである。
人に限らず、生き物の大多数のオスとメスは協力し子孫を残していくものだと思っていましたが、それは当たり前ではなかったのですね。両者の間にも熾烈な戦略合戦があったとは・・・理解し合えないのも無理からぬことなのかもしれません。
常日頃社会性昆虫は何故に自己よりもコロニーを優先するのか?と不思議でなりませんでした。これを読んで謎が解けたわけではありませんが、人体 -
Posted by ブクログ
社会的生物アリ、ハチ、サルからわかることを人間の組織に当てはめて考えた。
効用の考え 人間以外の生物は次世代への遺伝子をどれだけ残せるかで測れるが、人間は異なる。
組織と個体 まず「我々」という認識の範囲がどこまでかという問題。生物は基本的に遺伝子の濃い薄いで測れる。人間社会は、家族、国家、会社、学校など様々な組織に複数属しているケースが多い。個体の効用を無視した組織は成り立たない。ただ生物では、生殖機能を失った働きアリみたいなものもあり、組織に貢献するしかなくなっている。
環境への適応 環境に余裕があれば、指数関数的に員数が伸びる。そののちに環境要因でフラットになり、減少へ転じる。
適応の仕