【感想・ネタバレ】ヤマケイ文庫 働かないアリに意義があるのレビュー

あらすじ

アリの巣を観察すると、いつも働いているアリがいる一方で、ほとんど働かないアリもいる。
働かないアリが存在するのはなぜなのか?
ムシの社会で行われる協力、裏切り、出し抜き、悲喜こもごも――。
コロニーと呼ばれる集団をつくり階層社会を営む「真社会性生物」の驚くべき生態を、
進化生物学者がヒトの社会にたとえながらわかりやすく、深く、面白く語る。

ベストセラーの復刊文庫化にあたり、著者による新たな研究成果と、京都大学名誉教授・鎌田浩毅氏の解説を収録。
文系・理系の読者を問わず、生物と進化についての一般教養書であり入門書として必読の一冊。

【内容】
ヒトの社会、ムシの社会/「とかくこの世は住みにくい」/個体は社会から逃げられない
7割のアリは休んでる/アリは本当に働き者なのか/働かないことの意味/なぜ上司がいなくてうまく回るのか
アリに「職人」はいない/お馬鹿さんがいたほうが成功する/働かないアリはなぜ存在するのか?
「2:8の法則」は本当か/怠け者は仕事の量で変身する/経験や大きさで仕事は決まる
みんなが疲れると社会は続かない/規格品ばかりの組織はダメ/わが子より妹がかわいくなる4分の3仮説
生き残るのは群か?血縁か?/実証不能のジレンマ/社会が回ると裏切り者が出る
なぜ裏切り者がはびこらないのか/最初にやった仕事が好き/自然選択説の限界
説明できないという誠実さ/いつも永遠の夏じゃなく
など

■著者紹介
長谷川 英祐(はせがわ・えいすけ)
進化生物学者。北海道大学大学院農学研究員准教授。動物生態学研究室所属。1961年生まれ。
大学時代から社会性昆虫を研究。卒業後、民間企業に5年間勤務したのち、東京都立大学大学院で生態学を学ぶ。
主な研究分野は社会性の進化や、集団を作る動物の行動など。
特に、働かないハタラキアリの研究は大きく注目を集めている。
『働かないアリに意義がある』(メディアファクトリー新書)は20万部超のベストセラーとなった。

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Posted by ブクログ

とても、面白くて楽しい本でした。
アリの研究を通して、遺伝子がいかに利己的に残っていくのか、利他と利己はどう考えるのか、社会の進化とは、一個体も細胞から言えば一つの社会であること、などが、語られます。
働かないアリの意味が、気になり読みました。働かないアリとは、大変になるまで働けないアリのようで、出番が来るまで待つアリだということでした。

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2025年10月02日

Posted by ブクログ

働きアリの中にも働かないアリが存在するそうで、なんでそんなことになるのか…!?
その答えは、「全員が疲れて働けなくなると、誰かがいつもやっている重要な仕事をこなすことが出来なくなり、集団が大きなダメージを受けることを回避するため」だそうです。
その時々の効率よりも、自分たちの存続を優先するために、一見無駄と思われる働かないアリが存在しているらしいのです。
「誰もが必ず疲れる以上、働かないものを常に含む非効率的なシステムでこそ、長期的な存続が可能」…生物学的には、無駄にこそ意義があるということがよく理解出来ました。

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2024年09月18日

Posted by ブクログ

ハウスに放たれたミツバチはなぜかすぐに数が減り、コロニーが壊滅してしまう。
人間も効率ばかり求めてはいけない、最大限に頑張るときでも2割(時間?)は休む必要があると思えました。
余裕がないと、効率の下がる事って(考えたり、気付けない)良くありますよね。

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2024年01月04日

Posted by ブクログ

社会を持つアリの世界の奥深さ、そして社会性という面で人の世界との対比もあり、どんどん読み進めて面白かった。もう一度読んで、更に熟知したくなる本である。働かない働きアリは、無駄に意味を見いだし、それを楽しめることを体現しているのかもしれない。

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2023年02月27日

Posted by ブクログ

昆虫学にとどまらず、集団意思決定やネットワーク理論、個別最適化など、AI研究に関わってくる部分もあり

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2022年04月17日

Posted by ブクログ

働かないアリと一見すると、ネガティブに捉えられがちな存在だが、視座を上げて見ていくと、持続可能性にとっては必要なものだということが理解できました。その観点において、余裕、無駄、の必要性を改めて理解できたように思います。今は何かしら無駄なく、効率的にという世の中の風潮ですが、アリの世界から人間界に警鐘をならされてるようにも感じました。非常にユニークな視点が描かれておりとても面白かったです。

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2025年09月25日

Posted by ブクログ

あり社会は人社会を投影してるな感じる。
ニートは次の働き要員、確かにそれもある。
しかし、これからの世界、AIや機械がほとんど人の仕事をするようになれば、人自体もいなくなり、より働かなくなっていくような気もしてる。

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2025年07月20日

Posted by ブクログ

全く働かなくても会社に居座って大丈夫!という話ではない。
タイトルで働かなくても生きる方法が載っているかと思ったがもちろん違った。
アリの社会を覗くことによって自分の所属する組織を見つめ直す機械になったし、結局は利他的な構成員による組織が繁栄するのだとアリに教えられた。
いざ!というときに活躍できるよう、きちんと休養して真面目に働こうと思えた。

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2024年11月18日

Posted by ブクログ

2010年に発刊された『働かないアリに意義がある』を底本とし、改訂されたもの。2021年初版。改訂版とあるが、うーん、正直どこが変わっているのか。読み比べてみたが、章立てもまとめも同じように感じるのだが。
ただ、あとがきが追加されているのは、明らかに変わっている点。(ここだけ読むだけでもお得感あり)
「働かないアリ」以降、筆者の生活がどのように変化したか、また、コロナ過の社会を迎えてしまい、人類がどのように”存続”を考えていくべきなのか。
「大地変動の時代」に柔軟性を維持するヒントが満載だ。

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2023年04月21日

Posted by ブクログ

難しく理解が仕切れなかった部分もあるけど面白かった!
特に反応閾値の件らへん
他にも女王蜂の精子を体内で生かす事や
蜂の蜜の場所を仲間に八の字の向きや回数で伝える事とか

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2022年04月13日

Posted by ブクログ

<目次>
序章   ヒトの社会、ムシの社会
第1章  7割のアリは休んでる
第2章  働かないアリはなぜ存在するのか
第3章  なんで他人のために働くの?
第4章  自分がよければ
第5章  「群れ」か「個」か、それが問題だ
終章   その進化は何のため?

<内容>
5年以上前に一度読んでいるのだが(2016年中経の文庫)、これを改訂したもの。コロナ禍においてより意義が高まったといえよう。進化生物学の泰斗が、”社会”がどのように作られているのかを解いている。アリやハチの社会は、確かに我々人間とは違っているのだが、それでも”似た社会”なのだ。そこをこの本から考えてしまった。「ヤマケイ文庫版あとがき」と鎌田浩毅氏の解説が秀逸である。  

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2022年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・巣の中は安全、外は危険がいっぱい。だとすると余生が長い若いアリには巣の中で安全な仕事(子育て等)をしてもらい、歳を取ったアリには外で危険な仕事をしてもらう。結果として死んでしまったとしても余生は短いので巣全体に対する損失は小さい。人間は逆(老人を敬う)のは、過去は老人の経験や知識が有益であったから。現代はどうだろうか?
・エサを取りに行く時に、発見したアリのルートを辿らずに間違えてしまうアリがいた方がショートカットを見つけられるかもしれない。
・個々のアリは仕事をしたい/したくないという主観ではなく、単に刺激(=業務)に対しての閾値が違うだけ。怠け者も仕事量が増えれば働くようになる。
・皆が同じ閾値を持っているといざという時に疲れてしまっていて、酒が絶滅する可能性がある。短期的には怠け者のアリがいると非効率になるものの、長期的には種の存続に貢献するのである。
・短期的な効率性の追求と長期的な持続性はトレードオフの関係ということか。
・中には全く働かないフリーライダーも出てくるが長期的には、巣はフリーライダーだけになり滅びる。その滅びた巣に種への貢献だけを行うアリが移ってきてまた反映していく。つまり、フリーライダーだらけにはならない。

・今は役に立たないことでも社会が変化した際に役に立つ可能性があることは持続性の意味ではmake sence(ふらふらしてるアリが餌までの最短距離を見つけることもある)

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2022年02月19日

Posted by ブクログ

面白いタイトルなので手に取ってみたが、想像通り面白く読めた。全員がフル稼働でタスクにあたるのが、必ずしも最良ではないと読み取れ、それは自分たちの組織においても理解できる。働かないアリをボトルネックと捉えるのだとすれば、ボトルネックを取り除くのではなく、如何に活用するかを考える方がよほど生産的なのだと思う。

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2025年11月05日

Posted by ブクログ

「働かないアリに意義がある」10年ほど前でしょうか、TVで取り上げられたようで会社給湯室で話題に上がった。組織の中に一定割合で働かない者が生まれるのは必然らしい。当時は同僚の鈴木さん(仮称)が頭に浮かんだ。

そんな懐かしい記憶が本屋さんに陳列されている本書を目にしてよみがえった。またドーキンスの「利己的な遺伝子」で登場した利他的行動をする社会性動物の代表的な”アリ”について詳しく知りたくなったため購入。

アリはキリギリスと比較され、行列で忙しなく餌を運び小さい頃から働き者のイメージだったが、シワクシケアリの研究でなんと2割のアリは働かない。そして、その働かない2割を実験的に取り除くと残りの今まで働いていたアリのうち2割がサボりだすらしい笑。パレートの法則でいわれる2:8の法則が成り立つようだ。当時のお茶の間の話題そのまんまだった。

遺伝で決まる腰の軽さは「反応閾値」の個体差で決まる。仕事が増えると働かないアリも働きだす理屈

具体例として部屋の汚れ具合を見て、気になって片付けてしまう人はいつも同じ人になるって、なんだか妙に納得させられた。動き出すのに気になり出す汚れ具合が人によって違う。ちなみに、私はかなり耐性があるほうで、その意味では働かない部類に入りそう笑

全員が疲れて働けなくなると、誰かがいつもやっていなければいけない重要な仕事をこなすことができなくなり、コロニーが大打撃をうける。
みんなで働くといざという時に働く係がいないため、長期的にみると働かないアリがいる組織(コロニー)の方が長生きするとのこと。

つまり、鈴木さんはイザという時に備えてスタンバイしているのだ。

で、利己的な遺伝子の内容と被るところだが、他人のために働く利他的な振る舞いは基本的にダーウィンの進化論から説明されている。
しかしそれだけでは矛盾が生じる事象がアリの世界にはみられる。
従来の説が覆らない構造的な問題点を指摘しながら、「無駄」が世界を救うと新説を温め著者はパラダイムシフトをおこすチャレンジ中だ。カッコイイ。

あと、時間のかかる基礎研究なので日本人に向いているのか、登場する研究者に日本人が多い。

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2025年09月27日

Posted by ブクログ

アリやハチといったコロニーを作る生き物の生態について。当然,そこをベースに人間社会への考察となる。働くアリばかりだと同じタイミングで疲れてしまうというのが面白い。働かないというより働くスイッチが入るのが遅いそうだ。スロースターターにバトンタッチして休憩し,休憩後にまたバトンタッチする。うまくできている。生物学の言葉が出て来てもそこまで難解ではないが,各章末にまとめがあるので,そこだけ読んでも良い。興味があればもっと読めばいい。個人的には「文庫本あとがき」と「解説」が最も興味深かった。あこがれるなぁ。

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2025年04月05日

Posted by ブクログ

思いのほか薄くサラッと読めてよかった。生物の複雑さと持続させるための戦略はすごい。
章ごとにポイントでまとめてくれているのもよかった。

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2023年09月02日

Posted by ブクログ

自分とは全く違う専門の科学書だったが、分かりやすく応用しやすいエッセンスを取り込んであった。あまり実践的に役立つものではないが、知識を広げ考え方を拡張するという観点では長期的に有効と感じた。閾値と余力、適応度などの考え方は活かしていきたい。

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2023年05月22日

Posted by ブクログ

興味があって手に取った本ではなく、完全なるパケ(帯)買いならぬパケ読み。
コロニーについて深く考えたことは全くなかったのだけれども、とても面白い読み物で、新しい知識を得られたことがうれしい~!
虫大嫌いなので、虫の繁殖についてなんて考えたこともなかったけれど、すごい面白いね…!?
不思議な出来事がいっぱいだった。

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2023年02月17日

Posted by ブクログ

やっぱり蟻は面白い‼︎
反応閾値や個性があってこその社会。
人間世界もそれで協力し合えるものであればなぁ。
それも違うからこそ世界は面白いのかな。

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2023年01月27日

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