佐藤真理子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ好評と不評のレビューが極端なのを見て改めて感心。
ミヒャエル・エンデに生み出されし古典であり、駄作ではないのに、無条件でいいものともされない不思議。
読者と同じ土俵まで降りてきて、読者と本で取っ組み合いをし始める感じですよね。美しい世界のファンタジーのはずなのに、気軽には読み切らせてくれません。上下巻読み切るのに結局3日かかってしまいました。上巻は半日、下巻が2日半。
ファンタジー物で明確な悪役を作らず、勧善懲悪でなく話をまとめ上げた作品を他に知らず、ああ、これが空想の世界の現実、とノンフィクションを見る気持ちです。空想によって救われる生き物は空想によって苦しみ、欲しいと空想するものは毒であ -
Posted by ブクログ
ネタバレ大切なことが数えきれないほどたくさん詰まっている!
・私たちがファンタージエンは虚偽だと思うことで人間界も含めた2つの世界は救えなくなる。
・人間は虚偽に支配されやすく、そのために生き物の命がむごい形で利用されてしまう。
・虚無の吸引力はすごくて、狂って飛び込んでしまいたくなるけど、アトレイユは自分の足で一歩ずつゆっくり遠ざかる。
・フッフールは幸福を信じて進むからこそたくさんのピンチを切り抜けられる。
・善悪・美醜・自分が耐えられること耐えられないこと、すべて区別しない幼心の君の強さと美しさ。
・自信がなくて重要なことに対して踏み出せないとしても、既にその渦中におり、逃げ出す道はない。
・解 -
Posted by ブクログ
ネタバレ原作を読むのをキッカケに、久々に映画を観た。
それで初めて、映画の題材になったのは上巻のみで、下巻のほとんどは知らないストーリーだと分かった。
上巻と下巻はガラリと印象が変わる。上巻がアトレーユの物語なら下巻はバスチアンの物語だ。
バスチアンがアウリンによって万能の力を手にし、望むものは何でも叶えられる代わりに、人間世界に居た頃の記憶を一つずつ失っていく。
自分の力に溺れ、次第に傲慢で気性が荒くなっていく。対して、本当に大切なものには盲目になっていく様は、なにもファンタジーの世界だからではなく、私達現実世界にも言える事だと思う。
バスチアンの様な人間の多くがやがて辿り着く、「元帝王たちの都」の -
購入済み
何度読んでも素晴らしい
中学生の頃に読んで大好きになった本。
初めて読んだ時は、自分が物語の主人公になった気持ちでワクワクしながら読んだのを覚えています。
また大人になって改めて読んでみても、やはりワクワクは変わらない。そして、子供の頃と違った視点で読めるのも面白さの1つに加わりました。
物語を読み進めている内に映画も観たくなり合わせて観てみました。映画を観たあとに本を再開して読むと背景や登場人物が更にハッキリして読み進め安かったです。両方とも素晴らしい作品です。 -
Posted by ブクログ
実はまだ読んでいなかった名作。やっと読みました。
昔、映画で見た時中盤までは面白くわくわくしながら見たのですが、ラストがどうしても納得できずモヤモヤ感が残ったのです。バスチアンの役割が腑に落ちなかったんですね。
そうしたらば、映画は原作の序盤部分しか映像化せず無理矢理終らせていたことが判明。なるほど本当の物語、バスチアンの物語はこれから始まるところだったのかと納得。
壮大な物語の中で主人公が出会う人々にもまた物語があることを示唆する「けれどもこれはまた別の物語」という一文に、物語世界のはてしない広がりを感じます。そのことが最終段階で意味を帯びてくることにも驚嘆させられます。いやもう本当に物